第26話 進化
御影達は無事に8層の階層解放ボスを討伐して、拠点である屋敷に帰ってきたのだが。
とある異常事態が起こっていた。
「だ、誰じゃ…………お主は……………」
「うにゅー?」
リビングのソファーでウサミミの白い長髪の女性が座り、こちらを見て首をかしげていた。
女性は目を細めながら御影達を凝視する。そして、突如として耳をピンと立てると御影に向かって抱き付いてきた。
「ますたー!」
「ぬおっ!? やわらかぁ! それより、何も見えん!」
抱き付いてきた女性の豊満な胸が御影の顔面一杯に広がる。御影を胸一杯に抱き込みながら女性は御影の感触を楽しむ。
そんなたわわな胸に仕舞い込まれてしまっている御影を見たリエナが不満げな顔をして口を開く。
「み、みかげちゃーん!? う、羨ましい! そこ変わって!?」
「何で揃いも揃ってお前らは出てくる言葉がおっさんくせぇんだよ!?」
リエナの的外れなコメントに本来はそういうコメントをする側であろうラウがツッコミに回る。すると、御影を抱き締めていた女性がグリンとリエナの方を向く。
「…………え、な、何か御用が…………?」
女性は御影をゆっくりと解放して、体をリエナの方へと向ける。頭の上のウサミミがゆっさゆさと揺れている。
「りえなー!」
「え!? ちょ、何、うわっぷ!」
リエナの名前を叫んだ女性が今度はリエナを抱き締める。体格が御影より少し大きい程度のリエナもすっぽりと胸に仕舞われてしまう。
「もがががががが~! (特別意訳:ごごご、極楽~!)」
「もはや、何を言ってるのかも分からん!」
完全にツッコミ役へと回っていたラウにも女性は顔を向ける。
「待て待て待て! 俺は一向にされても構わないが! いや、構わなくない! しないで! いや、それも違うな…………。だが……………」
「おじさん!」
「………………………………」
そんな1人で謎の葛藤をしていたラウが女性からの一言で無言で床へと膝から崩れ落ちる。
「ラウさん……………」
「ラウ……………」
リエナとルメリアが同情とゴミを見る目を向ける。御影は元男として気持ちは痛いほど分かるのでスルーを決めた。
場が落ち着き始めて来たところで、御影はリエナに抱き付いている女性を鑑定をして、ようやく女性の正体に気付く。
「うむ、なるほどな。みんな聞くんじゃ」
「もが?」
「お前はいつまで谷間に埋まってるんだ………………」
女性の谷間に埋まったまま、返事をするリエナにラウが突っ込みを入れる。
そんなリエナを放置して御影は話を進める。
「こやつはワシらも知っている奴じゃ。なんならリエナ。お主が一番仲が良かったぞ」
そんな御影の言葉にリエナは女性の谷間から顔を上げて女性の顔を見つめながら呟く。
「私が…………? はっ!? まさか、うーちゃん!?」
「うーちゃん!」
リエナのうーちゃんに反応にして、女性はおうむ返しのように返事をした。
「ほ、本当にうーちゃんなの…………?」
リエナの当然の疑問に御影は「うむ」と言って説明を始める。
「きちんと鑑定した上で名前欄がうーちゃんとなっておる。種族は兎獣人じゃの。なんでこうなったかは、離れていてもモンスターとのテイムの関係は切れはしない。これによってワシとリエナが稼いだ経験値がうーちゃんに流れ込み、その結果こういう進化をうーちゃんが選んでこうなったって感じじゃろう」
御影の長々とした説明にほえーって感じで聞く3人。
そんな中、ラウがふと思った疑問を口にする。
「しっかし、一角兎から兎獣人とは大出世だなぁ………。よくそんな進化が出来たもんだ」
「まぁ、魔物の進化についてはまだまだ分からんことがたくさんあるからのぉ。突然変異で何でも片付けられちゃうからの……………」
ゲーム内でも魔物の進化は色々条件が複雑で、色んなプレイヤーを苦しめていたりした。ちなみに、御影も吸血鬼への転生してから真祖に至る進化の道はかなり苦労していた。
そんな回想をしていると、うーちゃんがリエナを抱き締めながら口を開く。
「わたし! うーちゃん! よろしく!」
「うむ」
「そうだね、これからもよろしく! うーちゃん! 」
「またちょっと厄介そうなのが増えたと思うが、俺からもよろしく」
「え、えーと、よろしくですわ?」
あんまりうーちゃんと接してなかったルメリアが少しおかしくなっていたが、皆全員スルーをする。こういうのには余り触れない方がいいのである……………。
「さて、先程ふと思ったのじゃが、こんな立派に育ったがうーちゃんのままというのは少々違うのではないか? なんならうーちゃんも仮の名前だったはずじゃ」
「あ、そういえばそうだったね。何にしようか?」
御影が折角人になったのだから、もう少し人っぽい名前にしようと提案をする。
「うーん、何がいいかなぁ。うさみ…………、うさこ…………、うさな…………」
「もう良い。リエナ、黙ってろ。【サイレンス】」
「酷かったな……………」
ラウも認めるリエナの壊滅的な命名センスに、御影はリエナを容赦なく黙らせる。沈黙魔法を使ってリエナの周りの空間から一切音を出さない徹底ぶりである。
「うーむ、うーちゃんよ。お主の名前じゃ。何か要望はあるか?」
「うーん! わたしはうーちゃんでいい!」
「それじゃと、変わらんのじゃよ…………」
うーちゃんのそのままでいい発言に悩む御影。すると、ルメリアが。
「なら、うーちゃん。つまり"う"を入れた名前にしてあげれば? それなら愛称とかでうーちゃんとでも言えるでしょう?」
「あー、いい案じゃな。採用」
「なら、元々の種族の一角兎からラを取ってウラとか?」
「なかなか良いが、ちとその名前だと色々あるからもう一声じゃな」
「じゃあ、ウララはどうかしら?」
「それ採用じゃ。よし、うーちゃん! 今日からお主はウララじゃ! 愛称でもうーちゃんとも呼べるぞ!」
御影からの命名にうーちゃんもとい、ウララは自分の名前を呟く。
「…………ウララ。…………ウララ! うれしい! わたし、ウララ!」
「うむ、気に入ってくれて嬉しいぞ」
「ますたー! ありがと!」
「うぷ! もういひゃひまひてひゃ」
またウララに抱き付かれた御影は谷間の中で感謝を返す。
ここに、新たな?御影の仲間が加入した。
誤字報告助かります!
ブクマや評価も感謝!




