第24話 第2次チャレンジダンジョン攻略 その2
6層目を歩くラウ達は今目の前で起こっている光景に、若干現実逃避をしかけていた。
「ぶっ飛べ~」
まず、天井が溶岩の時点で色々言いたいが、その溶岩の天井からマグマスライムが大量に降ってくること。
「ほれ、もう一丁」
そして…………。
「おかわりはいるかい?」
その降ってきたマグマスライム達を、衝撃魔法で遥か彼方まで吹き飛ばしている御影。
どんな威力にしたら、あんな勢いで豆粒になるぐらいの距離まで吹き飛ばせるのかと思う3人であった。
「ふぅ。前より酷くはないがそれでも多かったのぉ…………」
降ってきたマグマスライムをあらかた吹き飛ばした御影がそんなことを呟く。
「これ以上に酷くなるのかよ……………」
「本物の雨みたいにボトボト落ちてくるぞぉ? 流石にビビったわい」
「絶対に遭遇したくねぇな……………」
ラウが両手で肩を抱きながらそんなことを言う。リエナとルメリアは今の会話を聞いたのと、先程までの光景を思い出したのか、しきりに天井を気にしている。
なんせマグマで出来ているスライム、頭からスライムを被ったら骨すら残らないだろう。
そんな光景を考えてしまったのか、2人は常に天井への警戒を緩めなかった。
御影達がもう少しで7層目への入口へと辿り着こうというところで、邪魔が入る。
「む、みんな止まるんじゃ。何かが高速で接近してきておる」
「了解。準備しとくか」
御影の言葉にラウはすぐに槍を握る。
残りの2人も各々戦闘態勢に入ったところで、ソイツらは溶岩から勢いよく飛び出してきた。
「KISYAAAAAAAAAA!!!」
赤い鱗に槍や剣を持った蜥蜴人が5体、御影達の前に立ち塞がった。
「溶岩蜥蜴人か。前に潜ったときは出てこなかったんじゃが…………」
「ダンジョンの中で生まれると言っても、住み着いてるのが大半だ。たまたまお前が潜っていたときはコイツらの活動時間じゃなかったってだけだろう」
御影の疑問にラウが答える。
そして、ラウの言ってることは概ね事実である。ゲームだと何時でもポップする敵も、現実となると変わってくる。向こうも生物だからいつでも出てくるとは限らないのである。
「とりあえず………」
「「始末するか」」
御影とラウが同時に動く。
「【烈風手刀斬り】」
「【竜ノ顎】」
御影は、風魔法を纏わせた手刀で2匹まとめて斬殺。ラウは竜の顎を錯覚させるような槍技で3体の溶岩蜥蜴人の胸に大穴を開けた。
「は、はえ…………」
「す、凄い…………」
自分達の目の前で見せられた技を見て、2人は憧れの視線を御影とラウに向ける。
そんな視線に気づいていない2人は呑気にお互いを誉めあっていた。
「ほう。中々な技じゃのう」
「そっちこそ、手刀でだけで蜥蜴人が真っ二つとはたまげたもんだな。てか、魔法だけじゃなくて近接もやべーレベルとはなぁ…………」
「魔法が効かない敵が出てきたとき用じゃったが、面倒な時は殴り倒した方が早いって最近気付いたんじゃよ」
「脳筋の思考過ぎる……………」
御影の言葉にドン引くラウ。
こうして、一行は無事に7層目へと降りていった。
「これは闘技場………かしら……………?」
ルメリアが目の前にある溶岩の海の上に浮かぶ円形の岩塊とそれに繋がる橋を見て呟く。
「なんか真ん中まで行くと敵がぬるっと出てきそうな…………」
リエナがド正解を言い当てる。
そんな不安そうな2人を置いて御影はずんずんと岩塊へと進む。
「ほれ、お主ら行くぞ。こっちに来るのじゃ」
「はーい」
「分かったわ」
全員が岩塊の上に乗った瞬間、渡ってきた橋が崩れる。そして、前回と同じく溶岩の中から溶岩騎士人形達が飛び出してきた、が………………。
「あー、はいはい。見た見た。【シャインバースト】」
御影が溶岩騎士人形の着地を待たずに、高火力魔法でまだ空中にいる溶岩人形達を消し炭にする。
爆発が終わったあとには僅かに塵がパラパラと降ってくるだけで、そこには魔物のまの字もなかった……………。
「んな……………! せめて着地をさせてやれよォ!?」
「カッコつけて空中に飛び上がる方が悪い」
「か~、確かにそうだけどよォ! あの重厚そうな騎士達が揃って着地するとこ見てぇじゃん!?」
「お主の言ってることは分かるが時間の無駄じゃ。ワシは1度見たイベントシーンは容赦なくスキップする派じゃ」
そんな少しズレた会話をする2人に……………。
「「(論点そこなんだ……………)」」
と追い付けていない女子2名がいた。
「さて、無事に8層目まで来た訳じゃが。条件達成しとるといいのぉ」
「条件がはっきりと分からないんだろう? もしかしたら戦わなくてす…………」
【条件達成者、確認。規定人数、確認。これより試練を開始します】
「クソがああああああああ!!!」
「綺麗なフラグを建ておって……………」
「ラウさん……………」
見事な1級フラグ建築士を見せたラウに同情の視線を送る御影とリエナ。
そんな中、状況が呑み込めてない者がいた。
「え!? え!? 何!? 何が起きるの!?」
「あー、お主。初めてじゃったか」
「は、初めてって!?」
そんな慌てまくるルメリアに御影は肩に手を置き、こう言い放った。
「やったな、ルメリア。貴重な階層解放ボスじゃぞ~。この感じ、そうそう出会えない奴が出てくるぞぉ。例えば皇帝龍とか」
「…………………え?」
一瞬固まるルメリアの視界に床に浮かび上がった魔法陣が光り始める。
「やだやだやだやだ! まだ私死にたくなーい!」
「いやいや、死なせんから…………」
そう騒ぎ始めたルメリアと近くで不安そうに見ていたリエナの周りに、御影は念のためにアイギスを設置する。
「さてさて、何がでてくるかのぉ」
「面倒くせぇ奴じゃなきゃいいなって、俺はまた障壁の外かよ!?」
「まぁ、なんとかなるじゃろ」
「かっる!?」
そんなコントをしている間にも魔法陣の輝きは大きくなっていく。
「さぁ、ラウ! 来るぞ!」
「チクショー! やってやらぁ!」
階層解放ボス戦、開始___。
90HellをAT外で2ターンで倒せるようになりました。でも、古戦場から逃げるぜ。




