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ネカマ君、異世界に落ちる。  作者: 舞茸 シメジ
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第22話 ラグナ・ゼマナン男爵

お待たせしました。


 一瞬で門の前にやってきた御影は守衛室に顔を出す。

 

 「ルーオとやらはおらぬか?」


 部屋の中に突然入ってきた美少女に、中にいた男達はざわめく。

 

 「なっ、ルーオの奴こんな可愛い子ちゃんを………!?」

 「なんつー野郎だ………。生かしておけぬ…………」

 「いつ殺りにいく………? 私も同行しよう…………」


 部屋にいた男達がそんなことを口走っていると、奥のドアからルーオが顔を出す。


 「なんか呼ばれた気がするけど、呼んだ?」

 「けっ! ルーオ! お前に客だよ!」

 「ん? あぁ、ミカゲさんではないですか。どうしたんですか?」

 「なに、ラウの奴がラグナ男爵に会ってこいと言うのでな。渋々来てやったという訳じゃ」  

 「なるほど、案内します」


 そう言って、ルーオは御影を領地の奥へと案内していった。

 



 領地の奥の屋敷に御影は案内される。  

 屋敷の前に付くと、門番にルーオが声をかけて言伝を頼んだようであった。

 

 「じゃあ、僕はここまで。あとはエリヤルさんが対応してくれるよ」 

 「えーと、ミカゲ様ですね。今ラグナ男爵に連絡いたしますので暫くお待ち頂けると………」

 「構わぬ。ルーオもすまんな」 

 「いえいえ、では」 


 そう言ってエリヤルは屋敷へ、ルーオは街へと帰っていった。

 

 数分後、エリヤルは戻ってきて御影を屋敷の玄関まで案内する。


 「お待たせしました。屋敷の中に入ればメイドが対応しますので、あとは彼女らの指示に従ってください」

 「うむ。すまないの」


 屋敷の中に入ると、既にメイド達が列をなして御影を待っていた。

 メイド達の中から1人が前に出てきて、手を奥へと向ける。


 「どうぞ、こちらへ」

 「う、うむ」


 メイドが既にズラッと並んでことに若干驚く御影。

 そんな御影を置いて、移動しだすメイド。御影は慌ててその後ろを追う。


 

 そうして、メイドがある部屋の前で止まると、その部屋のドアをノックする。


 「ご主人様。ミカゲ様のご到着です」

 『あぁ、入ってきていいぞ』 

 「では、どうぞ」


 そう言って、メイドはドアを開ける。

 御影が部屋に入っていくとそこは書斎のような部屋で、その奥にある高価そうな執務机の椅子に座ってこちらを見ている金髪を短く刈り揃えたイケメンがいた。


 「君がミカゲ君か?」

 「うむ、そうじゃが」


 御影の言葉を聞くと男は椅子から立ち上がり、御影の前へとおもむろに出てくると。


 「本当に感謝する!!!」


 そう言って、御影に頭を下げた。


 「ん?」

 「あなたのおかげでこの何もなかった領地にようやく………ようやく………」

 

 そう言いながらペコペコする男。


 「まぁ、この領地の為になってたら良いのじゃが、それよりお主がラグナ男爵で良いんじゃよな?」

 「あ、あぁ、そうだ。私がラグナ・ゼマナン男爵だ」

 

 御影の言葉にラグナ男爵はハッとなり、忘れていた自己紹介をする。

 

 「それと、私のことは別にラグナと呼んで構わない。ラウのことも呼び捨てだろう?」

 「む、それは助かる。堅苦しいのは苦手での……」

 「構わんさ。私としてもこの領地に光をもたらしてくれた者に傲慢な態度は取るつもりはない」

  

 そう言ったラグナは落ち着いたのか椅子へと戻る。

 ラグナは椅子に深く座ると、ゆっくりと喋り始める。


 「本当に感謝しているよ、君には…………」

 「……………」

 「感謝してもしきれないほどだ。そんな中…………」

 

 雰囲気の変わったラグナに御影は「この流れ、本で読んだことある」とぼそりと呟く。


 「ミカゲ君、君にお願いがあるのだが、いいだろうか?」

 「まぁ、何によるかじゃな」

 「ダンジョンの探索はどこまで済んでいる?」

 「まぁ、確定しているの8層目までじゃな」


 御影はダンジョンの階層を思い出しつつ、そう答える。


 「なら、キリがよい10層目までの攻略を頼めるかな? 一応、私としてもダンジョンを早く公開したい気持ちがあるのだが、かと言って犠牲者を闇雲に増やすのは頂けない」

 「んー、それなら12層目までで良いかのぉ。あのダンジョンは4層ごとに区切られておるんじゃ。じゃが、未探索状態で公表した方が良いのではないか? 餌に釣られて金を落としにくる奴もおろう」

 

 御影はラグナから言われた条件を訂正しつつ、疑問を口にする。


 「私もそう考えたが、ある程度の安全が確保され、安定した稼ぎ(・・・・・・)を出せるダンジョンというのは、やはり人気があるものなんだ。誰だって進んで死にたくはないだろう?」

 「なるほどのぉ…………」

 

 ラグナの言葉に、思わず頷く御影。これまで自分達はゲームということで新しく実装されたダンジョンに潜っては攻略をしていったが、それでもたまに初見じゃ引っ掛かる罠に嵌まったりしてリスポーン送りにされることはある。

 だが、この世界ではダンジョンで失敗をすることは死に繋がる。ならば、ほとんどギミックも判明して魔物の種類も分かっているダンジョンで稼いだ方が良いというのは当然の帰結であった。

 

 「ラウにミカゲ君は凄まじい実力者であると聞いている。なんなら、こうして目の前で対峙すると君が常識外の存在だとよく実感できる。だからこそ、そんな君に攻略をお願いしたいんだ」


 そう言って、またラグナは御影に頭を下げる。


 「お願い出来るだろうか。報酬も考えている」

 「全然、構わんよ。あそこはワシが攻略する気ではおるしの」


 御影の言葉にラグナは顔を輝かせる。


 「そうか! それは良かった…………。ちなみに報酬は君がダンジョン前に建てた家の周りの土地を正式に君の物として与えようと思っていたが、それで良いか?」

 「おおう………。もう報告いっていたのか…………。まぁ、ワシが勝手に設置しただけだったし、実際助かる」

 「ふふふ、報告の素早さが私の領地の取り柄だ。なんせ人が少ないからね。割り込む奴がそもそもいない」

 「そこは誇るところではないじゃろ…………」


 ラグナの悲しい自慢に御影はジト目で突っ込む。



 「じゃあ、宜しく頼むよ。今日は来てくれて有り難う」


 ラグナはそう言って、御影に手を差し出す。


 「うむ。ワシもお主と知り合えて良かった。では、ワシはこれで」


 御影もラグナに握手返すと、颯爽と転移していった。


 「うおっ…………、さらっと転移魔法も使えるのか………………。本当に凄まじい異世界人だな……………」


 ラグナの呟きが書斎に漏れた。

 すると、部屋にノックの音が響く。


 「入れ」

 「失礼します。ご主人様。お食事の準備が出来ましたが、ミカゲ様の………、おや? ミカゲ様は?」

 

 入ってきたメイドは姿が見えない御影のことをキョロキョロと辺りを見て探す。


 「あー、さっき帰ったから準備はしなくていい」

 「帰った? 私達は帰る姿を見てませんが………」

 「颯爽と転移をして帰っていったよ。報告よりとんでもない奴だ」

 「なるほど……………」

 「さて、飯を食べてもう一仕事するかね……………」

 

 そう言って、ラグナ達は書斎を後にした。







 「帰ったぞ~って、お?」

 

 御影が家に戻ると、家の中に香ばしい香りが漂っていた。


 「あ、おかえりなさーい!」

 「転移で帰ってきたのかよ、お前…………」

 「凄い美味そう…………、あっ、涎が………」

 「キュイー!」


 元気よく、おかえりを返してきたリエナは鍋をゆっくりとかき混ぜており、その鍋を凝視しているルメリア。ラウはソファーでうーちゃんと寛いでいた。


 「カレーか。前にも食べたじゃろ」

 「倉庫に残ってたから、継ぎ足して使いきっちゃおうかなって! それに2人にもカレーの美味しさを伝えたくてね!」

 

 この瞬間のリエナはカレーの伝道師となっていた。ルメリアはもうカレーに釘付けである。そんな中、ラウが御影に声をかける。  


 「で、どうだったよ? そんな悪い奴じゃなかったろ?」

 「そうじゃな。なんならこの家が建っている土地を貰ったしの」

 「マジかよ……………。大盤振る舞いじゃねぇか」


 御影は部屋の陰で服のマイセットで着替えをしつつ、会話を続ける。


 「その代わりにダンジョンの攻略をもう少しせねばならなくなったがの」

 「まぁ、そうだろうなとは思った」 

 「ということで、ラウ。お主も明日ダンジョンに引っ張っていくからの」

 「え"?」


 御影の言葉にどこから出たのかよく分からない声を出すラウ。


 「オレ、シゴトアルカラ…………」  

 「チャレンジダンジョンは最低4人からのパーティーじゃないと階層解放ボスが出現しなかったはずじゃから、駄目じゃ」

 「チクショオオオオオオオオオ!!!!」


 ラウの慟哭が家中に響き渡った。




 しかし、カレーで一瞬で機嫌は直ったが。





 『なんだこれ! めちゃくちゃうめぇな!』

 『…………………(ガツガツガツ』

 『ルメリアちゃん、無言でかきこんでる………』

 『余程待ちきれなかったようじゃな……………』


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