第19話 黒い影
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「私はアレの後始末をしてこよう。君らとはここで少し別行動させてもらうよ」
そう言って、パーシタル公爵は部屋を出ていった。
その様子を見て、ラウも思い出したかのように立ち上がる。
「そういえば、俺は魔法開発局に行かないとな」
ラウはそう言って部屋を出ようとするが、ふと思い止まり立ち止まる。
そして、御影達の方へ振り返り、口を開く。
「お前らも来るか?」
そのラウの問いに3人は顔を見合せてからラウを見て。
「行こうかの」
「「行くっー!」」
「キュイー!」
そう元気よく答えたのであった。
4人と1匹は元気よくパーシタル公爵の別邸から魔法開発局へ向かっていった。
ラウに案内されて、王都の東側にある職人街へとやってきていた。
ここには、王都に店を構えられる高名な鍛治職人や、アイテム職人、薬屋等々のこのグリニアム魔法王国の中でもトップレベルの職人達が集まっている街なのである。
そんな中に割とデカデカと建っている魔法開発局へと4人と1匹は到着した。
中に入ると、色々な人が忙しそうに駆け回っており、そこら中に魔法陣を書いた紙や、書きかけの詠唱を書いた紙などが散らばっている。
ラウは辺りを見渡しても目的の人物を見かけなかったからか、偶然近くを通った職員を捕まえてから、人を呼び出す。
すると、数分後に建物の2階から、いかにも魔女!みたいな服装をした黒髪ショートボブの女性が降りてくる。
「なんだい、ラウ? 用があるって。こちとら新型魔法陣製作に忙しいんだ。上の奴らが王都を守る守護結界陣をもう少し簡略出来ないとかいうクソみたいな依頼が来てんだから」
「相変わらずだな、カレンお前………。とりあえず今日来たのは少し成分解析してほしいもんがあるからなんだ」
そんな愚痴るカレンにラウは少し同情の視線を送るも、すぐさま切り替えて宝物庫からアイテムを取り出して女性に手渡す。
「んー、何だいこれ?」
「そうだな…………。我々の国の道を概念から変えてくれる物の元………かな………?」
カレンはジト目で煮え切らない回答をするラウに視線を送る。
「よく分からんね」
「まぁ、詳しいの俺じゃなくてコイツだ」
そう言って、ラウは御影を指差す。
「ん? 成分は教えんぞ?」
「ふむ?」
そんな発言をする御影をカレンはじっと見つめる。
「君……………、うちで働かない?」
「いきなり勧誘かよ!?」
御影を観察した結果、勧誘を始めるカレン。
「いやさ、見るにこの子ヤバいじゃん? 私の魔眼で魔力が測りきれないってどういうことよ?」
「いや、まぁ確かにコイツはやべー奴だが」
「オイ」
初見であるカレンですら、やべー奴扱いをしてくることに御影は突っ込む。
「とりあえず、このよく分からん物の成分を解析すればいいんだね? さぁ、帰った帰った」
ラウからアスファルト材を受け取り、4人を帰す。
その時、カレンが御影を見る目は少し狩人の目をしていたのは誰も気付かなかった。
「よし、とりあえず領地に帰るか……………。ほれ、お前ら転移門から帰るぞ」
だいぶ、日も傾いて来た時間でラウがそう呟く。
その呟きを聞いた御影がラウの肩をトントンする。
「ん? なんだミカゲ?」
「そんなもん、使わなくていいぞ」
「あ?」
「ほれ、この通り」
御影がそう言った瞬間に、全員がダンジョン前の御影邸へと移動していた。
「んな!?」
「え!? え!?」
突如として、風景ががらりと変わったことにラウとルメリアが驚く。
「おー、既に骨組みが何個か出来とる」
御影はそんな2人はお構い無しに自分の家の周りを見渡している。
既に御影の家の周りに家の骨組みが何個も出来ており、あの職人達が凄腕なのがよく分かる。
「さてと、ルメリアは勿論ここで泊まるとして、ラウ。お主も泊まっていくかの?」
そう言って、御影はニッコリと笑う。
ラウは前にリビングに上がったときの光景を思い出すと。
「泊まるわ」
そう即答したのだった。
御影から使っていいと言われた空き部屋を自室にもらい、そこにあるベッドにルメリアはゴロリと転がった。
「はぁ………。本当に凄いわね、ここ……………。王城が安っぽく見えちゃう………」
そう言って、ルメリアは辺りを見回す。
派手すぎず、しかし品がある調度品がこの部屋に美しく設置されている。
「私もあんな風に強くなれるのかな…………」
ルメリアは中庭で見た御影が戦っていた光景を思い出し、そう呟く。
「絶対にお姉様達を見返してみせる……………」
ルメリアの心に蝕む過去の記憶。上の姉達と見比べられる日々。学院に姉達が入ったあとでもルメリアの耳に聞こえてくる姉達の功績。それら全てがルメリアの心を蝕んでいく。
そんなルメリアの背中に黒い影が漂っていた。
少々たてこんでいるので1~2日ほど本編を休ませて頂きます。もしかしたら外伝を誤魔化しにあげるかもしれませぬ。




