第17話 喧嘩
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御影達はこれからルメリアをどうするかを話し合うため、王城からパーシタル公爵家別邸へと戻った。
パーシタル公爵の私室へ案内され、ドアが閉まった瞬間に御影は喋り出した。
「さてと、無事に戻ってこれたの」
「いや、無事じゃないだろ」
そんな御影の呟きにラウは即座に突っ込む。
どこをどう見たら無事に戻れたと思うのかとラウは内心で愚痴る。
王族とどこかしらで知り合った挙げ句に、この国の王と城の中庭でガチの殴り合いをして、最終的には一方的に王様をボコボコにする。普通に賞金首にされるレベルである。
「別に、こちらは損害は被っておらんしのぉ…………。なら、ワシにとっては無事じゃよ?」
「なんか、お前に対して普通の思考でいるのが馬鹿らしくなるな…………」
ラウはそんな呟きをして、ゲッソリとしている。心なしか白髪が増えたような気もする。
御影も口ではそんなことを言ってるが、御影も王様とガチで殴り合いをしたことは内心ではビビっていたりする。なんなら新しいお供というか面倒なのもついでに拾ってしまったと思っている。表には出さないが。
「それより、これからのことじゃ」
意識を切り替えて、御影は話題を変える。
「まずは、ルメリアを冒険者をどこで登録させるか、じゃの。許されておらんかったということはまだ登録してないじゃろ?」
「そうだな。えーと、ルメリア様?」
「なに? それと私のことはルメリアでいいわよ? 私はもう王女じゃなくて一冒険者なんだから!」
ラウが恐る恐るといった感じでルメリアに話し掛ける。ルメリアはそんな下手に出るラウに自分を呼び捨てにしていいと言う。
一瞬、ラウはどうするか悩んだが、話が進まなそうなので割り切る。
「ルメリアはどこで登録したいとか要望あるか?」
「それは勿論、王都の組合よ!」
「まぁ、だよなぁ。とりあえずさっさと登録だけでも済ました方がいいなって、ミカゲ? そんな明後日の方角を向いて」
王都の組合という単語が出た瞬間に、御影は瞬時に明後日の方向を向いていた。そんな御影をリエナはジト目で見つめる。騒ぎを起こすなと言われていたにも関わらず、組合で騒ぎを起こしたことを御影はばっちりと覚えていた。
当然、ルメリアも覚えており………。
「私がミカゲを見かけたのは王都の組合で、あのヤンスを威圧だけでコテンパンにしてたのよ!」
「あのコネ野郎をかって、ミ~カ~ゲ~??」
ラウは御影の両肩をガッチリと掴み、体を思い切り揺さぶる。
「騒ぎを起こすなと言ったよなァ~?」
「わ、ワシ悪くないもん」
「騒ぎを起こしている時点で悪い、悪くないじゃねぇ!!!」
ラウは疲れた表情をして、シェイクした御影を放す。
「それなら、王都で登録するのは無しだな………。ただでさえ、王城で騒ぎを起こしているというのに……………」
「し、仕方ないわね…………。別に王都以外でも別にいいわよ………?」
ルメリアが妥協の姿勢を示した瞬間に、突如として轟音と共に屋敷そのものが揺れた。
「キャ!?」
「おわぁ!?」
「キュイ!?」
ルメリア、リエナ、うーちゃんが驚いて声を出す。
一方、御影とラウとパーシタル公爵は既に戦闘態勢を取っていた。
「どうなっとるんじゃ」
「分からん。パーシタル。何か知ってるか?」
「ふむ。大体予想は付くが、本当にやるのかという疑念が出ている最中だ」
そんな会話している最中にも、屋敷はまた揺れる。
「こ、これ大丈夫なの…………?」
「安心してください。ルメリア様。おそらく屋敷を守っている結界を壊そうとしているだけです」
「大事じゃない!?」
さらっと言うパーシタル公爵にルメリアは突っ込む。
パーシタル公爵は普通にルメリアを無視して現状について説明し始める。
「さて、とりあえず私の予想を話しておこう。おそらくは私のことを気に入らない者が今回のミカゲ嬢の騒動に便乗して、私を弾糾しようとしているのであろう。なぜ、陛下に暴力を振るった者を匿っているだ、なんだのとね」
「ふむ」
「陛下か自らが誘った決闘行為だったのだが、それも理解できない阿呆だ。逆に利用させて貰うとしよう」
言外に喧嘩を売ってきた相手を潰すと言うパーシタル公爵に、少し顔が引きつる御影達。
そんな御影を見るパーシタル公爵は交渉を持ち掛ける。
「さてと、ここで交渉だ。ミカゲ嬢」
「ん?」
「これから、こういう貴族関係でのトラブルを私が矢面に立つ代わりに、今回のこの実力行使してきた奴を私の目の前に連れてきてくれないか?」
「おい、パーシタル!!」
パーシタル公爵の言葉にラウが言葉を上げる。
「ラウ。これから彼女は幾度となく貴族と関わりが出来るのは予想が付くはずだ。これは彼女にとっても良いことではないかね?」
「くっ、確かにそうだが…………」
「それに」とパーシタル公爵は言葉を付け加える。
「これを決めるのミカゲ嬢だ。で、どうかね? 悪い条件ではあるまい?」
「そうじゃのぉ…………」
御影は考えるフリをして、後ろをチラリと見る。そこには不安そうな顔をしたリエナがいた。
「ワシの行動でリエナ達が危険に晒されるのは嫌じゃし、ええじゃろう。承った」
「ありがとう。その辺もきちんと織り込み済みだとも」
「フッ、なら安心じゃ。これはワシへの喧嘩………ということじゃよな?」
御影は獰猛な表情をしながらパーシタル公爵に問い掛ける。
パーシタル公爵はその質問に頷きだけして返事をする。
「では、行くかの」
そう言って、御影は部屋の外に出ようとする。
部屋から出ようとする御影をリエナが呼び止めた。
「御影ちゃん! その…………気を付けてね………」
「うむ。行ってくるのじゃ」
そう言って、御影は部屋を出た。
『行ったか』
『はぁ~、やっぱりこうなったか…………』
『なんだラウ。予知でもしていたのか?』
『予知なんてする必要がないレベルでトラブルメーカーなアイツが何もないことなんてないと思ってただけさ。想像の遥か上を行かれたが』
『あの、本当に………』
『安心したまえ、リエナ嬢。私はアレに喧嘩を売るような馬鹿ではないさ』
『おい、その理論だと陛下が馬鹿になるぞ』
『ルメリア様のことになると、馬鹿になるのは仕方があるまい』
『その話題はやめてちょうだい』
『『了解です』』
転移で屋敷の前へと移動する御影。この程度の距離なら御影は何もポイント設定などせずに転移が可能なのである。
屋敷を包む透明な壁の前にゴテゴテとした装飾を付けた魔法使いらしき男達が魔法をぶつけていた。
「で、出たぞ!」
「コイツが、例の…………!」
「陛下が首だけでも持ってこいと言っておられた! 子供の見た目で騙されるな! 手加減なんぞしなくていい!」
「「「「はっ!」」」」
そんなことを言い放つ男達に御影は……………。
「別にボコボコにしても構わんのだろう?」
ニヤケ面でそう言い放った。
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