第16話 魔法王国の王(ゴリラ)
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王城の中庭で対面する2人。
中庭を見下ろせる窓からたくさん人が様子を伺っている。なんせ自分達の王がいきなり決闘をしようとしてるなら、王城で働いてる人間だったら、誰しも気になるであろう。
男性が御影に向かって1歩踏み出し、口を開く。
「我が名は、グリニアム魔法王国第13代国王のエイハル・グリニアムだ!」
王城中に響くほどの声で名乗りを上げるエイハル王。
それに対して御影は。
「ワシは十六夜御影じゃ。しがない魔法使いじゃ」
であった。御影の言葉を聞いた数人は顔を引きつらせていたが、御影はそのことを知らない。
「先に謝っておこう。娘のことに巻き込んでしまってな。あぁ、見えて繊細な子だ。だからこそ、大事に扱ってきたのだが、それが今のルメリアを形作る原因となってしまった」
「…………………」
御影は黙ってエイハルの言葉を聞く。
「だから、こうして私の元を離れる時が来るときは私が安心して託せる人間に託したいと思うのは親の我が儘だろうか?」
「それは、俺には分からねぇな。だけど………」
御影は敢えて素で答えることにする。御影の口調が突然変わったことにエイハルは一瞬驚くが、すぐさま元の表情に戻る。
「アンタの期待には応えられるということは保証出来るぜ?」
「…………! フフッ、いいだろう。行くぞ」
御影の言葉にエイハルは笑い、拳を構える。
そして、次の瞬間に姿がかき消えた。
「【アイギス】」
御影は瞬時に自分の周りをグルリとアイギスで囲む。
魔法障壁が生成され終わった瞬間に、エイハルは御影の横で拳を振り抜いていた。
凄まじい轟音が連続して辺りに響き渡る。
「(コイツ、俺みたいなバフと魔力でステをブーストさせてる魔法ゴリラか。しかも結構強い)」
「(ミカゲとやら、最高位障壁魔法を魔法名だけで発動させている! 少なくとも詠唱破棄か無詠唱どちらかは確実に出来る人間………。油断は禁物か…………)」
御影は反撃しようと、横を向くが既にエイハルは空中に飛び上がっていた。
「どうやら、本物のようだ」
その言葉と共に、エイハルは空中に飛び上がり腕を掲げる。
「烈風よ。【ウィンドショット】!」
エイハル王は風の弾を複数個作り上げ、御影に対して撃ち出す。
それに対して、御影は有利属性の魔弾で対抗する。
「【ファイアショット】」
王が放った数と同じ弾丸が空中でぶつかり合う。
しかし、それを囮にしてエイハルは御影へ既に詰め寄っていた。
「むん!」
普通の人間だったら、即死するレベルの複数の拳撃が御影へと迫る。実際、御影の態度は国が国であったら不敬罪で処刑されそうであるが。
エイハルは障壁魔法も張っておらず、拳が全て命中することを確信する。
しかし。
「温い」
エイハルにとって、理解不能な体さばき、技能で必殺の拳全てが防がれる。
しかも、エイハルの胸の中心に手が当てられると、カウンターとばかりに御影は技を放つ。
「【撃衝寸剄】」
「ぐぅ!?」
衝撃魔法だけが付与された寸剄がエイハル王へと突き刺さる。エイハルは、御影の細い体から来たとは思えない衝撃に、御影が自分と同じ魔法ゴリラタイプであることを察する。
「………なるほど。これは強い…………」
エイハル王は自分の体を走った衝撃を思い出しながら、呟く。
すると、御影はニヤリと笑う。
「じゃあ、俺のターンだな」
そう言うと、御影は瞬時にエイハルの元へと移動すると、反応し切れていないエイハルへと容赦なく足払いを掛ける。
「なっ!? げふ!?」
そして、御影は止まらない。足払いを掛けたエイハルの背中を蹴り上げて無理矢理空中に浮かし、その浮いた体に容赦なく掌底を叩き込む。吹き飛ぶエイハルの元へと魔力でブーストしたステータス物を言わせて移動し、吹き飛ばした方向の逆へとまた殴り飛ばす。
「ぐあ!?」
そして、またゴリラ力に物を言わせて、また反対方向へと殴り飛ばす。
そう、これは…………。
「秘技…………。1人キャッチボール、ただしボールはお前」
ふざけた名前であった。ただし、一国の王が実際にボールになってしまわれているが。
「へ、陛下を助けるのだー!」
「あの娘を捕らえろ!」
その様子を見ていた偉そうな人が兵士へと王の救出命令を出す。一緒になって王との戦いを見守っていた兵士達がハッとした顔をし、御影へと詰め寄ろうとする。
しかし。
「おっと、そのへんは来ない方がいいぞ? 既に魔法陣を設置してあるからな」
いつの間に設置したのか、御影に近付こうした兵士達は全員魔法陣から現れた鎖で地面へと強制的に組み伏せられる。
そして、1人キャッチボールに飽きたのか、御影はナ○トを締め上げるサスケみたいな感じでエイハルを持ち上げる。一国の王にやることではない。
「で? まだやるか?」
御影は確認の意味も込めて、エイハルへと聞く。
エイハルは割とボロボロではあるが、まだ意識はあった。
「やるわけないだろう…………。私の負けだ」
「その返答で安心したわ」
そう言って、御影はエイハルを地面に下ろす。
地面に下りたエイハルは辺りに向けて声を上げる。
「いつまで、野次馬している! すぐに仕事に戻るんだ!」
こうして、御影とエイハルの戦いは御影の勝利で無事に終わった。
「ふぅ……………。イテテテテ。久しぶりに全力で動いた…………」
「陛下! 無茶し過ぎです!」
あれから、御影達はエイハルの私室へと案内された。
そこで、いまエイハルはラウからお小言を貰っていた。その後ろではパーシタル公爵が静かに笑っている。
「すまんの。一応手加減はしていたのじゃが、お主程度になると手加減があんまり手加減にならんでの。【ハイキュア】」
御影が唱えた回復魔法でエイハルの傷が瞬時に癒えていく。
「手加減してあれなのか…………」
「回復も一級と…………。規格外だな…………」
ラウとエイハルが御影の言葉に戦慄する。
パーシタル公爵は御影の実力が少し見れて満足のようである。
「しかし、お主ら仲が良さそうじゃの~。何かやっておったのか?」
仲つむまじく、騒いでるラウとエイハルに御影は質問する。
すると、後ろにいたパーシタル公爵が意外な事実を明かす。
「私達は過去に学院でパーティーを組んでいたのだよ。その成り行きに冒険者パーティーも組んでいたのさ」
「ほう」
「まぁ、過去の話は今はいい」
御影の回復魔法で全快したエイハルがそう言いながら立ち上がる。
エイハルは御影の方へと向き、頭を下げる。
「ミカゲよ。お前なら安心してルメリアを預けられる。だからルメリアを連れてってやってくれないか………?」
「お父様………」
エイハルは御影にルメリアを連れていってやってくれと頭を下げ続ける。その様子を見てラウは複雑な表情をする。なんせ御影であるから。
「まぁ、そうじゃな…………。ここまで言ってまた断るのもあれじゃし、巡り会ったのも運命ということじゃ。それに王族とパイプが出来るのはいいことじゃしのぉ…………」
そう言って、悪い笑みを浮かべる御影。
ラウに頭を引っ叩かれると御影はルメリアの方を向く。
「ルメリア。お主はどうなんじゃ? ワシに付いてきたいと思うのか?」
御影の質問に対して、ルメリアは即答した。
「うん! 付いていきたい! そしてあなたみたいに強くなりたい!」
「フッ、ワシほど強くなるのは地獄じゃぞ?」
「なってみせます!」
「良かろう! お主は弟子2号じゃ!」
こうして、御影に仲間が1人増えた。
明日辺りから徐々に忙しくなってくるので、毎日更新が途切れるかもしれません。それでも読んで頂けたら幸いです。




