第15話 王と王女
王呼びから陛下へと変更
「お父さんが試してやろう…………」
そう言って、ルメリアと同じ髪色の金髪の男性はゆるりと立ち上がる。
すると、周りにいた人達が慌てて男性を止め始める。
「ちょ、ちょ、ちょ、お待ちください!」
「そうです! ルメリア様のことになると、すぐそうなる!」
「落ち着いてください!」
「あの馬鹿に関わらない方がいいです!」
「「「「陛下!」」」」
周りにいたに人達に王と呼ばれた男性は渋々席に戻る。
いきなりこちらに来ようとした男性にルメリアは若干どぎまぎしていて、男性が席に座ったのを見て、ホッとしていた。
「確かめるのはまぁ、追々やるとして。ルメリア、本当に冒険者になりたいのか?」
「私は、冒険者になりたい! お父様は私にお前にパーティーを結成出来る求心力があるのなら私は何も言わないって言ったじゃん!」
そう言って、ルメリアは御影の腕を取り、男性に言い放つ。
「私はきちんとパーティーメンバーを見つけてきたもん!」
「いや、まだ全然パーティーメンバーになるとは言っとらんが」
しかし、御影。普通に空気を読まない。
そんな御影の返答に満足げに頷く男性。
「だそうだが?」
「なんで!? ここは私に賛同するところでしょ!?」
ルメリアは振り返り、御影に食い付く。
だが、御影の鋼メンタルには効果はない!
「そもそも話を聞こうと言っただけではないか。パーティーメンバーになるとは一言も言っとらんぞ」
「ぐぐぐぐ、でも普通はこんなに必死にお願いしてるんだから、協力してくれるものでしょ!」
「いや、知らんがな」
「もぉー!」
そう言って、頑なな御影に地団駄を踏むルメリア。その様子を見ていたラウは既に顔面が蒼白を通り越して黒色になっている。
「ふっ、そこのお嬢さん。よくやってくれた。そうだ、ルメリアにはまだ冒険者は早いようだ。」
「うむ。ただでさえ、弟子の育成をしているというのにお荷物はいらぬ」
「ん?」
「ん?」
男性は御影が言ったことを吟味し、一度固まる。御影も何か様子がおかしくなった男性を見て固まる。そして、次の瞬間。
「……………うちの娘がお荷物だと?」
「「「「陛下ーー!?!?」」」」
そう呟くといきなり立ち上がり、御影へと詰め寄ろうとする。それを必死に引き止める周りの人達。
「お父様!?」
「あー、地雷かこれぇ」
「御影ちゃん、冷静に分析してる場合じゃないでしょ!?」
「キュイ!」
鬼の形相の男性が周りで引き止めている男性達を引きずりながら、じわじわと御影に近付いていく。
一緒になって引き止めているラウが御影に向かって叫ぶ。
「ミカゲェ! いいから謝るんだ! それだけでもマシになるから!」
「え~~、事実言っただけではないか」
「ブッ飛ばすぞテメェ!!」
駄々をこねる御影にラウは瞬間的に怒りゲージがマックスになる。彼の胃は既に限界が近付いている。
しかし、先に限界が来たのは王を引き止めている人達であった。
「「「「どわぁ!」」」」
周りにいる人達を振り払い、御影へと襲いかかろうとする男性。しかし、男性の手は御影に触れることは無かった。
男性は空中から現れた十数本の鎖に体を雁字搦めにされ、空中に宙吊りで固定されていた。奇しくも似たような存在がいたなぁと御影は思い出す。
「ウオォォォォォ!!!」
鎖をガチャガチャと鳴らし、暴れる男性。
周りにいる人達は目の前に起こった光景を見て、これは現実なのか?という表情をしている。ルメリアも同じような表情をしている。ラウはこの光景を見て現実逃避をすることを決めたようである。目が完全に死んでいる。
「さて、捕まえたけどどうするか」
「まさかのノープラン!?」
御影の呟きに、リエナが驚きの突っ込み。
「んじゃ、こうしよう。ルメリア。お主はなんで冒険者になりたいんじゃ? それによってはワシのパーティーにお主を入れるのも考えてやろう」
「ほんと!?」
御影の言葉にルメリアは目を輝かせる。どうやらルメリア的には自分がパーティーリーダーになれなくても良いらしい。
「ほれ、言ってみるのじゃ」
「お父さんは冒険者になるなんてモガァ!?」
「お主も黙って聞いとれ」
一応、念のために魔力で作り上げた柔らかい素材で口を塞ぐ。
「私は立派な冒険者になりたいの! 私は凄いダンジョンを、まだ誰も攻略したことないダンジョンを攻略して! 有名な冒険者になりたい! そして、お姉様達を見返してみせる!!」
ルメリアはそう高らかに叫ぶ。その様子を先ほどまで暴れていた男性も黙って聞いていた。それを見て御影は口の拘束を外す。
「ルメリア…………。立派になったなぁ……………」
そう言って、男性は泣き始める。意外にも涙腺が脆いようである。
「分かった。私の敗けだ………。お前が冒険者になることは認めよう」
「ほんと!? やったぁ!」
「だが……………」
そう言った瞬間、男性が纏う空気が変わる。
「ルメリアを連れて歩く資格があるのか、私直々に確かめてやる」
そう言うと、男性は繋ぎ止めていた鎖を引き千切る。
(ぬおっ!? 一応人間相手だからとそんなにガッチリした鎖を作らなかったが、引き千切られるとはのぉ…………)
御影も内心でびっくりである。
「中庭に出るといい。ミカゲとやら…………」
どうやら、この国の王らしき人と一戦交えるしかないようである。
短くてすみません。明日はがんばります。




