第14話 王都
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「おぉ~」
「うわぁー!」
「キュイ~!」
2人と1匹が公爵家から出て、目の前に広がる王都の光景を見て感嘆の声が上がる。
いま、2人は王都の北でかなり傾斜のある坂に建てられた貴族街にあるパーシタル公爵の別邸のすぐ外にいる。
貴族街は爵位が高ければ高いほど王城に近い位置に建てることが出来る。公爵であるパーシタルの別邸はかなり王城に近い場所にあった。ちなみに、王城は坂の一番上にある。
別邸から出るときにラウに言われた言葉がふと御影の脳裏に浮かぶ。
『絶っ対に騒ぎを起こすなよ!! 絶対にだぞ!? 俺は騒ぎがあっても知らん顔するからな! とりあえず、俺達は王城に行くから2時間後にはここに戻ってろよ!?』
ラウの凄まじい表情で言われ、無言で頷くしか無かった御影は「まぁ大丈夫だろ」としか考えていないのであった。凄まじいフラグである。
「これから、どうします?」
「そうじゃなぁ。とりあえず王都の組合に行ってみるかの」
そう言って、2人は公爵の別邸がある貴族街から王都の中心へと歩いていく。
貴族街から歩いてくる、2人の少女を見て人々は『どこの子だ…………?』『どちらの子も違う美しさを持っている…………』『さぞかし大切にされているのであろう』などと、本人達が知らないところで噂されていた。
「おぉー! 人がたくさんですね~!」
「キュイー!」
「お主ら、あんまり騒ぐんじゃないぞ~」
王都の中心街はラグナ男爵領と比べて、遥かに人が多くてとても賑わっていた。
『いらっしゃーい! 今なら串焼き銅貨10枚だよー!』
『ただいま~こちらの防具銀貨10枚ポッキリ~』
『へい、兄さん! ここいらで一杯どうですか~?』
『お兄さん、私とお茶しな~い』
色んな人が客引きをしたり、されたりと活気がある通りを抜けていき、2人は王都の冒険者組合の建物へと入っていった。
中では昼間から受付前のテーブルで1杯やってる冒険者達がたくさんいた。基本的に大半の組合ではクエストの報告をした冒険者向けに酒場が併設されていることが多く、昼間から酔っ払いが現れるのがたびたび問題になっていたりする。
「流石にあそこよりは人が多いのぉ」
「あそこと比べたらちょっと悪いと思いますがね………」
そう言って、苦笑するリエナ。
御影はとりあえず何か情報がないかとクエスト掲示板へと近付いていく。すると………。
「オイオイ、お嬢ちゃん。ここはおつかいの場所じゃねーぞ? 大人しくお家に帰りな。それとも俺の酌でもしてくれるのか?」
と御影に絡む奴が出てきた。
御影が絡んできた奴の方を見ると、ジョッキを片手にテーブル席に肘をついて御影のことをジロジロと見ていた。
「なんじゃ、お主。見たところ冒険者みたいじゃが、同業者の見分けもつかんのか?」
その言葉に男は数秒間固まり、そして笑い出す。
「ギャハハハハハ!! お前が冒険者!? 冗談はほどほどにしとけェ! お前は俺の相手をするぐらいがちょうどいいぜ! ギャハハハ!!」
「おい、ヤンス! もうちょっと優しく言ってやれェ! ギャハハハハ! 可哀想じゃあないか!」
「「ギャハハハハハ!」」
周りの冒険者も同調するように笑い始める。
そして、ヤンスと呼ばれた冒険者は御影にヨロヨロと近付く。
「ヘヘヘ、よく見れば本当に別嬪じゃねぇか……! オラ、こっち来いよ」
そう言って、御影の細い腕を掴もうとする。しかし、御影はその掴もうとする腕を払いのける。
「生憎、お主のような人間に付き合う奴はおらんのぉ。よく鏡を見てから言うんじゃ」
「うわ、エグ…………」
ストレートに悪口を言う御影に、さらっと御影の後ろに避難してたリエナはドン引く。
そして、その言葉にヤンスは顔を真っ赤にさせて、立ち上がる。
「言ってくれるじゃねぇか! この小娘がァ! なんなら力付くで連れてってやる!」
そう言って、御影に再度を腕を伸ばし強引に御影を引っ張ろうとする。だが、次の瞬間、ヤンスは口を閉じ、ピクリとも動かなくなる。
動かなくなったヤンスを周りにいる冒険者が心配をし始める。
「おい、ヤンスどうした?」
「いつまで突っ立ってるんだよ。4級冒険者の力(笑)を見してくれよ~」
「一体どうしたん……………」
そして、周りにいた冒険者達もヤンスと同じように黙り始める。
目の前にいる少女の形をした存在から放たれる莫大なプレッシャーを感じ取って。
組合にいた冒険者達は掲示板の前にいる少女から目が離せなくなる。いや、正確に言うと、目を離すことが許されていない。今、この場にいる冒険者達は目を離したら死ぬと直感で感じているのだ。
「良かったのぉ……。ワシが温厚での。じゃが、次はないと思うんじゃぞ? 次、同じことをするなら全員両手足もいでからダンジョンに放置するからの?」
辺りにいる冒険者に向かって御影はそう言う。その発言に冒険者達は首を全力で動かして頷く。
その様子を見た御影は歩き出す。
「リエナ。行くぞ」
「あっ、うん………」
ここではまだまともに情報は得られないなと考え、御影達は組合を後にする。
そんな御影達を追って、組合から出た人影が1つあった。
公園らしき場所で一休みする2人。手にはこれまたまだアイテムボックスに在庫があるエナドリである。リエナは人生初エナドリらしく色んな表情をしながら飲んでいる。
「おぉう………。凄い不思議な味がします………。それで次はどこに行きます~」
「うーむ。ここはファンタジーの定番の奴隷とやらを見てみるかのぉ」
「確かに定番だけど、行く意味ある………?」
その言葉に御影ははっきりと断言した。
「ない!」
「ないのかーい!」
「うむ、普通にワシ好みの子を探すぐらいかの? まぁ、まだ組合から金を下ろしてないからまだ無一文じゃがの! ワハハハ!」
「え、まだ下ろしてないんですか………?」
そんなやり取りをしていると、御影達の前にフードを被った人影が立ち塞がった。
「ねぇ、あなた達!」
「はい?」
「ん? ワシらか?」
「そうよ! いい? あなた達、今日から私のパーティーの従者になりなさい! この私がパーティーリーダーになってあげるんだから感謝しなさいよね!」
御影と同じくらいの身長の人影が偉そうな態度をして、そんなことを言い放つ。
すると、御影は…………。
「え? 嫌じゃし、そもそも誰じゃよ、お主」
普通に断った。
「えぇ!? え、えーと、私はルメリアよ! てか、なんで断るのよ! 私のパーティーの一員になれるのは名誉なのよ!?」
そう言って、フードを被った人影はフードを下ろす。すると、中からは金髪ツインテールの身分が高そうな少女が出てくる。いかにも、ツンデレお嬢様といった見た目である。
しかし、御影はその手の攻撃は効かない!なんだって自分も美少女であるから……!
「いや、自分より弱い奴のパーティーに入るメリットなんか無いじゃろ。名誉でもなんでもないのぉ」
そう言って、御影はルメリアの勧誘を改めて蹴る。しかし、ルメリアも女の子ばかりのパーティーであるから自分が勧誘したら入ってくれると思っていたのか諦めが悪く、まだ御影を勧誘しようとする。
「え、え、えーと………、私とパーティー組んだら報酬もきちんと山分けするわよ!」
「基本的にパーティー組むなら報酬は山分けじゃろ。なに言っとるんじゃ」
「なら、私と一緒にクエストが……」
「じゃから、一緒に行く意味が………」
「じゃあ! 私が………」
「いらん」
「…………………」
御影とルメリアの言い合いは続く。
そして、数分後…………。
「うぇ……………」
「ん?」
「うぇええええええん!! なんでー! なんで誰も組んでくれないのー!」
そう言って、ルメリアは大号泣し始めた。
その様子に言い過ぎたと慌てる御影。
「お、落ち着くのじゃ。確かにワシが言い過ぎたと思うから」
「ええぇーーん! なんでぇー!」
「とりあえず、泣き止むのじゃ。なんでパーティーを組みたいか、聞くから落ち着くのじゃ。な? な?」
完全に遊園地で子供に泣かれた父親である。
「ほ、ほんと………?」
「ほんとじゃ。とりあえず落ち着いた場所で話を聞こう。ちと、ここじゃ人目がの……」
そう言って、辺りを見渡す御影。辺りにはルメリアが大号泣したせいか、なんだなんだと様子を見に来た人達がちらほらといた。
「なら、私の家に来る…………?」
「う、うむ! 行こうではないか! 案内してくれ!」
御影はこの奇異な視線から逃れるためにルメリアの言葉に適当に同意する。
そして、歩き出したルメリアにそそくさと付いていく。リエナは呆れた顔をしながら2人の後を付いていった。
そうして、ルメリアはずんずんと王都を歩いていく。御影達は黙って付いていくが、段々と建物が豪華になっていくのを見て、予想通りの身分が高い子であると確信する。だが、次第に建物が少なくなっていくのだが、少女の歩みは止まらない。
既に貴族街のかなり上の位置なのだが、ずんずんと進んでいく少女に御影は嫌な汗が止まらない。そういえば、ゲーム内でもこんなイベントがあったなと思い出していた。
そうして、少女は貴族街の一番上。そう王城へと入っていく。顔パスである。
御影達もルメリアに説明してもらい、王城の入口に立っている兵士にボディチェックをされ、王城へと入っていく。
王城に入ってからもずんずんと中を進んでいくルメリアに大人しく付いていく御影達。
そして、ルメリアはある扉の前で止まり、勢い良く扉を開け部屋に入るや否や。
「お父様! 私のパーティーメンバー(になるかもしれない人達)を見つけたわよ!」
そう叫んだ。部屋の中では数人の大人達が書類を持って会議をしており、その中には御影達が見知った顔もいた。
ルメリアの言葉に一番奥の席に座っていた男性が口を開く。
「ふむ、では紹介してみなさい」
男性の視線が、御影達に移る。
その近くに座っていたラウは既に白目を剥いていた。
「お父さんが試してやろう………」
ルメリアの父親らしき男性が、立ち上がった。
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