第13話 公爵
ラウが書いてる内に若返ったので若返りました。詳しくは3話の登場シーンを。
「ほれほれ、避けんと痛いぞ~」
「既に殴られてるんですけど!? グエッ!」
ダンジョンから少し離れた草原で2人の少女の声が聞こえてくる。
「この状態で! 魔法を唱えるなんて! 無理ゲーでは!」
ゴーレムからの猛攻を避けながら、リエナは御影に対して文句を言う。
避けるのに必死で、本来の目的である戦闘行為をしながらの魔法詠唱が出来ていない。
「無理ゲーじゃなくて、やるんじゃよ。あくまで痛い程度にしとるんじゃから、歯を食いしばるんじゃ」
厳しめにリエナに指導する御影。だが実際、Lv500を超えた辺りになると、逆にそれができなければただ死ぬだけである。そして、現実となったこの世界では本当に死んだら困るので御影の指導にもつい熱が入る。
「とりあえず、今日はこのへんにするかの。まずリエナは魔法を素早く扱えるところから始めた方が良さそうじゃの。明日からその訓練をするとしよう」
「は~い」
こうして、ダンジョン前の家に戻ると大きな馬車が数台、家の前に止まっていた。
「なんじゃ?」
「なんでしょうね?」
「キュイ?」
リエナの腕の中に抱かれてるうーちゃんが耳をピコピコさせて、辺りを気にしてる。
家に近付いていくと、男達の話し声が聞こえる。
『これがラウさんが言ってた屋敷かぁ』
『とんでもなく美しいぞ…………。俺はいままでこんな美しい建築を見たことがない…………』
『この門の美しさ……………しゅごい…………』
『オイ! ここで意識を失うな、馬鹿!』
どうやら、建築関係の人達らしい。
御影は男達の元へと近付いていく。
「お主ら、ワシの家に何か用か?」
御影の声を聞き、男達は声の主の方角へと一斉に顔を向ける。向けた方角に誰もいなくて困惑するが、すぐ視線の下に少女が立っていることに気付く。
すると、一番親方っぽい男が口を開く。
「この家がお嬢ちゃんの家なのか?」
「そうじゃと言っておるだろう? で、お主らは何なのじゃ?」
妙にガタイはいいのだが、武器を持ってない男たちを見て御影は質問ふる。
「おっと、すまねぇ。俺達はこのダンジョンの前の宿や組合の建物を建てるようにラウさんに言われて来た職人だ。道を辿ってきてみれば、こんな更地のど真ん中に美しい建築物がありゃあ誰だって気になるだろ?」
「まぁ、そうじゃの」
確かに自分も更地のど真ん中に豪邸があったら気になるだろうと職人達の言葉に頷く。
「んで、館を観察してたらお嬢ちゃんが帰ってきたって訳だ」
「ふむ。建築が始まるなら、この家は撤去した方が良いか? 邪魔じゃろう」
御影が職人達の仕事のことを考え、家を仕舞うか聞く。
すると、職人達は。
「この美しい建築物を壊すってか!? そんなことするなら俺らは死んだ方がマシだぜ!!」
「おうよ! しばらく仕事の合間に見れるイイモンがあると思ってたのによぉ!」
非難轟々であった。
「う、うむ………。撤去しないから落ち着くのじゃ」
「なんなら、俺らが建物作るときにお嬢ちゃんのこの屋敷を参考にさせて貰っていいか?」
「別に構わんぞ。いい建築が増えるのはいいことじゃ」
「フッ、お嬢ちゃんとはいい酒が呑めそうだぜ………」
こうして、後にこのダンジョン周辺街は世界一美しい街と言われるようになるのだが、それはもうちょっと後の話である。
「そういえば、ラウから話を聞いたと言っておったが、ラウは今どこにいるんじゃ?」
ラウから予定を聞かされていたはずなのに、すっかり忘れている御影。
「ラウさんなら既に王都に向かったと思うぞ? いまから行っても会えないと思うが」
「なに、そのへんはきちんと手段があるわい」
そう言って、後ろで待機していたリエナを手招く御影。
「ということで、ワシらはラウのところに行くので建築楽しみに待っとるぞ」
そう言って、御影達は虚空へと消えていく。
その様子を男達はじっと見ていた。
「あ……………。行っちまった…………。てか、今の何の魔法なんだ…………?」
「さぁな。だがまぁ、確かにラウさんに言われた通りやべぇ奴とだけは分かったな。よーし、てめぇら。ここに素晴らしい見本があるんだ。良い建築物を作るぞ!」
「「「「「「「オォウ!!!!」」」」」」」
ある豪華な部屋で2人の人間が穏やかな表情で会話をしている。
「ほう、ラグナの所にダンジョンが」
「はい、公爵。今もその周辺に建てる店などの選別をしているところです。一応、宿と組合と武器と消耗品の店はしばらくはウチの直営でやらせてもらいますがね」
ラグナ男爵の様子を聞き、苦笑しながら公爵と呼ばれた男性は会話を続ける。
「お前がいるなら、俺がわざわざ手伝いにいく必要が無さそうだな」
「一応、会いに行ってやってください。忙しいのは分かっていますがね」
「フッ、そういうのなら行ってやるとしよう」
「ありがとうございま………す………?」
会話の途中で不自然に固まる男性。
「どうした、ラウ?」
「公爵! すみません! 先に謝っておきます! 俺の【未来予測】が嫌なものを見ました!」
「ん? どういうことだラウ? はっきりと」
そう公爵と呼ばれた男性がラウに問いたださそうと言葉を掛けようとした瞬間に、ラウの後ろの空間が歪む。
そして、空間が歪んだ瞬間、この部屋を覆っていた盗聴や転移などを封じる対魔法結界
が全て壊れる。
「なっ!?」
「本当にすみませえええええええん!!!!!」
既にラウは泣きそうであった。
そして、空間の歪みが終わると、可愛いらしい少女と活発そうな少女が2人、ラウ達の目の前にいた。
「なんじゃ、ラウ。若干転移しにくい場所におって。面倒じゃろうが」
開口一番、そんなことをのたまう御影にラウはまたプツリとキレた。
「面倒なのはテメェだアアアアアアアア!」
「アイタァァァァァ!!!!!」
美少女の頭にラウは平然と拳骨を落とした。
「いちちちち……………。ごめんなさい……………」
「全く! 何してんだお前は!」
ラウに全力でぶっ叩かれて御影はとりあえず素直に謝罪をする。ちなみに、ラウは明らかに連れてこられたリエナには叱らない。基本的にこういうことをするのは御影しかいないと決めつけているからだし、事実そうであるからである。
「ラウ、いい加減に説明してくれ。いきなり怒り出すし、いきなり殴るし、その子は一体何なんだ」
ラウの前に座っていた男性が口を開く。
「む? 誰じゃ?」
「誰じゃ、じゃない」
御影の言葉にラウはまたチョップをする。
そして、ため息を付きながら説明を始める。
「ハァ…………。ミカゲ。この方がパーシタル公爵だ。失礼の無いようにってもう無理だな…………。公爵、こちらはミカゲです。例のダンジョンの発見者です」
ラウは御影とパーシタル公爵の双方に分かりやすい説明をする。
「公爵…………。とりあえず偉いということは分かる」
「当たり前だ、ボケェ!」
「ほら、こうしゃくって言い方として2つあんじゃん」
「いや、まぁ確かに…………。って、そうじゃねぇよ!」
御影とラウがコントを繰り広げている間に、パーシタル公爵は御影をちらりと見る。
そして、目の前の存在が明らかに常軌を逸した存在であることを一瞬で察知する。
「なるほど………。ダンジョンを見つけたか………。確かに…………」
公爵は瞬時に目の前の存在と争った時の損得勘定をし、切り捨てるより拾う方が良いと判断する。
「ラウ。そんなに怒鳴るな。レディだぞ?」
「公爵、コイツにはこのくらいでいいんですよ」
「うむ。もっと言ってやってくれ、アイッタァ!」
すぐさま、ふざけたことを言う御影にまたまたチョップが炸裂する。
頭を抱え、痛がる御影を見て鼻を鳴らし、ラウは御影に問い掛ける。
「んで? 何か用があるからわざわざここに来たんだろ?」
「んぁ、あぁそうじゃった。お主、この周辺で転移者の情報はないかの? 出来れば空中から降ってきたみたいなの」
そんな御影の質問にラウは表情を曇らせる。
「いや、特に聞いてないな」
「私も特にそう言った情報は手に入れてない。しかし。なぜ転移者の情報を欲しがる?」
横で聞いてた公爵がどうして情報が欲しがっているかを御影に聞く。その公爵の質問にラウを見る御影。ラウは無言で頷き、返答を催促する。
「ワシらも転移者じゃからじゃよ。仲間を探したいというのは当たり前じゃろ?」
「ふむ、なるほど」
御影の発言に特に驚きはせずに、公爵は少し考え込んだと思ったら口を開く。
「なら、私もその情報を集めて君に提供するということをしてもいいかな?」
「公爵!?」
「なぜじゃ?」
急に御影の手伝いをすると言い始めた公爵に御影は怪訝そうな顔をする。
そんな御影の様子を見て、公爵ははっきりと答える。
「いや、ただ単に君と仲良くしておいた方がいいと思っただからだよ。個人的には恩を売っておきたいというのもあるがね」
「うーむ。まぁ良いか。リエナも良いよな?」
一応、リエナにも聞く御影。
リエナは完全に自分とは世界が違う会話として全く話を聞いていなかったが。
「あ、はい! いいです!」
「だそうじゃ。これから頼むのじゃ」
「フフ、こちらこそ。いざというときには手助けを頼むよ?」
「それが狙いじゃろうに」
「「フフフフフフフフ」」
貴族と笑みを交わす御影を見て、ラウとリエナは戦慄する。コイツ!手慣れてやがる!と…………。
そうして、御影はラウから転移する際に壊した魔道具を修理しろと言われ、魔改造してる間に、公爵から話し掛けられる。
「転移者の情報が今すぐ必要なのかい?」
「んー、まぁそうじゃの。やっぱり早い方が良い」
「なら、私達と一緒に王都に行くかい?」
「公爵ゥ!?」
御影にそんなことを言う公爵に、ラウは悲鳴にも近い声を上げる。
「公爵、やめましょう。絶対に面倒なことになります。未来予測なんて使わなくても分かる」
「ハハハハ、良いじゃないか。あの王都が変わるなら私は別に構わないさ」
中々に意味深なことを言う公爵だが、御影はそこらへんは無視する。
「王都に行くと何があるんじゃ?」
「まぁ、単純に情報が集まりやすいのは王都という単純な話だ。王都に行くならうちの転移門を使えばすぐに行けるしね」
「ミカゲ。悪いことは言わない。俺が情報を集めるから、せめてこの公爵領までにしてくれ」
ラウは何としてでも御影を止めたいようだったが。
「うむ。王都行くか。あ、魔道具は元に戻しといたぞ」
「ンナアアアアアアアアア…………。それは良し」
「フフッ、やはり彼女がいる方が楽しくなりそうだ(ボソリ」
王都行きを決めた御影と絶叫するラウと、そのラウを見て密かに笑う公爵とリアクションはそれぞれだったが、こうして御影達は王都へと行くことになった。
「うーちゃん、何か凄いことになったねぇ」
「キュイ~」
若干蚊帳の外にいる1人と1匹であった。
土日で書き留めたい所存だけど、FGOのすごろくで全然出来ないカモ………




