第11話 チャレンジダンジョン攻略 その2
溶岩人形ノ王は上半身しか溶岩から出してないにも関わらず、御影が豆粒に見える程の大きさであった。
「か~、コイツそんなに戦ってないから行動パターン知らないんじゃよなぁ………。さて、では先手は向こうに譲ってあげようではないか」
溶岩人形ノ王が戦闘態勢に入ったのを見て、御影はそんなことを呟く。
そんな巨体が拳を握り、パンチを打つだけで。
世界が揺れた。
「おほ~、あぶねぇ! パンチ1発でとんでもねぇナァ!」
溶岩人形ノ王がストレートパンチを打っただけで、拳の着弾地点には新しい溶岩湖が出来ていた。その威力の凄まじさに、つい素が出てくる御影。
「フィールドが無くなる前に片を付けないとヤバいな、って、うおっ!? あぶねぇ!?」
御影がそう分析してる間にも向こうは待ってくれないようである。
その大きさ故に、御影が想像しているよりも早く、御影の元へと拳が次々に襲ってくる。
「1発が1発が、俺の普通に撃った【ボルケーノメテオ】より少し弱い程度かこりゃ。レベルデザイン大丈夫か、このダンジョン……………、ん?」
「GAOOOOOOONN!!!」
御影が何回も拳を避けるのを見て、溶岩人形ノ王は金属音のような咆哮を上げると、口から溶岩弾を吐き出す。
「溶岩………弾………じゃない! 眷属召喚ならぬ眷属ゲロか! ってふざけてる場合じゃねぇな! 現れよ!【影の騎士団】!」
床へ着弾した瞬間、全ての溶岩弾が人型へと変異し溶岩騎士人形に変わる。御影も流石に雑魚の相手をしながらアレの相手をするのは不味いと思ったのか、魔法で作り上げた騎士団を召喚する。
「主様。お呼び頂きありがとうございます。今回はどのような用で?」
「あ~、目の前の奴等処理出来たら、俺の援護を頼めるか?」
前回と同じく、列の真ん中にいた騎士が御影に対して、恭しく膝をつく。
そして、御影が指示を出すと既に溶岩騎士人形達に対して斬り掛かっていた、他のメンバーに真ん中にいた騎士が指示を出す。
「承知しました。お前ら! 姫からのご命令だ! 1分以内で目の前のゴミを片付けて、姫の援護をするぞ!」
「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」
「ちょ、待てェ! 姫ってなんだァ!?」
そんな御影の言葉は聞こえていないのか、溶岩騎士人形達へと果敢に向かっていく影の騎士達。
「チッ、あとできちっと会話してみるとして、後ろでふんぞり返っている奴にいっちょ吠え面かかしてやりますか………」
騎士達同士の戦いを黙って見ていた溶岩人形ノ王も動き出した御影を見て動き出す。
御影は右手と左手に別々の魔法を構築し始める。
「右手に【コキュートス】。左手に【インフェルノ】。合成。さて、何が出来ると思う?」
両手それぞれに、火属性最高位魔法と氷属性最高位魔法を構築し、それを無理矢理合成させる。そんな御影の質問に、溶岩人形ノ王は火と土と爆発の混合魔法である【ボルケーノイラプション】を放つことで答える。
迫ってくる溶岩爆発に対して、御影は不敵に笑い両手を突き出す。
「答えは無属性爆発だ。【ゼロバースト】」
御影から放たれた圧倒的な魔力の塊が溶岩爆発を飲み込み、そのまま溶岩人形ノ王まで飲み込む。
原理としては、火属性と氷属性がお互いに属性を喰い合い、残った荒れ狂う魔力が圧倒的な破壊力を持って爆発するのである。本来、爆発魔法は火属性を構成に使うために火属性を持っているのだが、この【ゼロバースト】は爆発というよりは、純粋な破壊エネルギーの塊と言った方が正しい。
「GAAAAAOONN!?」
突如、襲い掛かった魔法を喰らい、上半身に軽くはないダメージを喰らい驚きの声を上げる。しかし…………。
「オイオイ、並のボスモンスなら今ので丸ごと消し飛んでるんだが、ピンピンしてんじゃねぇか」
御影の想定してた耐久とは違った。
(そういえば、魔物相手に久しく【鑑定】を使ってなかったな。使ってみるか)
鑑定スキルの存在を思い出し、早速使ってみる御影。
そして、見えたステータスを見て、「ゲッ」と声を漏らす御影。
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名前 なし Lv451
種族 溶岩人形ノ王
HP 247071/365804 MP 48004/58047
物攻 182544 魔攻 75804
物防 75240 魔防 425804
敏捷 5804
スキル
【溶岩に生きる者】Lv9
【溶岩人形ノ王】Lv_ ……>>スキル一覧を見る
称号
【階層を守る者(偽)】【王となりし者】
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「魔防めちゃくちゃかてーじゃねぇか!!! てか、やっぱり隠しボスじゃあないか!」
余りに自分のステータスと相性が悪くて、思わず叫ぶ御影。
そんな隙を見たのか、溶岩人形ノ王は攻撃を仕掛けてくる。
「GUAAAAAAAA!!!!」
「んな!? 複腕生成!?」
一気に6本腕となった溶岩人形ノ王は全ての腕を使い、御影達へとパンチのラッシュを叩き込む。もはや、その威力は御影の【ボルケーノメテオ】とほとんど同等であった。
辺りに溶岩で出来た拳の雨が降り注ぐ。
数十秒間に続く破壊の嵐が終わった後は、まるで御影が森林ダンジョンに隕石を降らしたような惨状へと変わっていた。
そんな中、聞こえてくる声がある。
「いきなりなんだコイツはァ!」
「くそ! いてぇ!」
「主様!? 無事ですか!?」
「あぁ、お前らのおかげでな。てか、全員喋るのかよ…………」
ひび割れた魔力壁の中に男数人が女の子を守るように覆い被さっていた。
ラッシュが降ってくる寸前に、影の騎士達が防御スキルを発動させて御影へと覆い被さり、御影は瞬時に障壁魔法を張り、降り注ぐ暴虐の嵐から身を守った。
しかし、無傷とはいかなかった。
「我々の被害は3人残して、あとは全員一時退去させられてしまいました。また身体が再構築されるか、主様から魔力を戴かないと仲間の復活は無理でしょう………」
「俺は若干骨がイッたな。これぐらいはいいが、アイツ想像以上に魔法が効かねぇのが問題だ………」
無事に生き残ったリーダー格と現状を確認する。生き残った騎士団の面子は3人だけ、御影は肋骨辺りを骨折と………。
「あの、主様…………」
「なんだ?」
「その、主様の………、透き通った玉膚がお見えに…………」
防ぎ切れなかった衝撃によって、肩からへそ辺りまで衣服が消し飛んでいた。
「ん? あっ、そういえば今日の服の素材、普通の布だったわ。いっけね」
本人にはまだ女の子の自覚は無かったようである。そのために…………。
「まぁ、バフ掛けりゃいいか」
上半身がほぼ裸で戦闘を続行するつもりであった。
そのせいで、残った騎士団達が使い物にならなくなったことを御影は知らない。
「よし、切り札1枚切るか」
そんなことは露知らず、御影は切り札を1枚切ることを決意する。
御影の変化を感じとった溶岩人形ノ王は3本の左腕を1本にまとめて巨大な腕にして、御影に向かってその巨大な拳を叩き付ける。
「「「主様!」」」
御影から零れている慎ましい胸に意識しないようにするのに一杯の童貞騎士達は御影に対して振り下ろされた腕から御影を守るのに間に合わず、無慈悲にも御影は巨大な腕に潰される、ように見えたのだが……………。
「甘ぇ。【衝爆寸剄】」
拳の下から声が聞こえた瞬間、衝撃魔法が付与された寸剄が溶岩人形ノ王の左腕を粉々に砕く。
そして、腕の破片をぶち壊しながら御影が歩いてくる。
「俺、キャラ育成してるときに思ったんだよね。絶対運営のことだから魔法が効かない敵をいつか出すだろうと。だから俺は格闘スキルを鍛え上げた」
そんな会話を聞いてか、聞いていないのか、溶岩人形ノ王は自身が浸かっているマグマを吸い上げ左腕を再生し、再度御影へと殴りかかる。
しかし。
「【衝天正拳突き】」
今度は空手の正拳突きで粉々に砕かれる。そして、また溶岩人形ノ王へと歩みを再開する。思い出話をしながら。
「だから、俺は魔法の合間に格闘スキルを上げ続けたんだ。そしたらさ」
ありとあらゆる魔法を絡めた武術を駆使して、溶岩人形ノ王の拳を迎撃していく。
掌底や単純な当て身、時折蹴り技を混ぜながら、着実に近付いていく。
「【魔導神】を習得してから数日経った、ある日【武神】なんてもんを習得したんだよ。そして、その時思い付いたんだよね」
溶岩人形ノ王の渾身のラッシュを同じようにラッシュで迎え撃ち、全て砕き壊す。
その光景を見て、騎士達は唖然とする。
そして、御影は溶岩人形ノ王の懐へと辿り着き、呟く。
「俺のこの魔法系ステータスでバフ盛りまくって、魔法込めて殴れば強くない?と」
「「「…………え?」」」
御影から聞こえてきた、凄まじい脳筋なセリフを聞いて、思わず聞き返す騎士達。
「ということで、全力でぶん殴ります。死にさらせやぁ!【爆裂崩拳】!!!」
爆発魔法の最上位魔法である【ワールドエクスプロージョン】を込めた全力のストレートパンチが溶岩人形ノ王の身体に突き刺さる。
「GAOOOOOOONN!?!?」
身体中をほとばしる破壊エネルギーに耐えきれず、悲鳴を上げながら爆発四散する溶岩人形ノ王。
雨のように降ってくる溶岩人形ノ王の残骸を見ながら御影はボソリと呟いた。
「あ、コイツの素材も欲しいわ」
こうして、8層は無事に攻略が終わった。
あ、Twitterアカウントひっそりと作っときました。
舞茸シメジって検索すれば引っ掛かると思うので、更新チェックなどにどぞ。
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