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先生はたぶん、人じゃない  作者: 国栖乃羽
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初めての裏側




「安心して寝ちゃったか。良かったよ、今からはまだ見せられないからね」


ローブで優しく包み込み頭を撫でる。脂と排泄物や泥で汚れた髪は綺麗にすれば白髪ではなく銀の髪だと分かるだろう。


「さて、じゃあ掃除をしようじゃないか」


辺りに転がる賊に目を向ける。見開かれた目がお前は何者だと訴え掛けてくるがそんなものはどうでもいい。一ヶ所に集められている女子供にも目を向ける。助かったと安堵する者とどう逃げるか思案する者。


それを全員、魔力で首を締め上げる。


なぜどうして、苦しい、息ができない、私達は奴隷よ!何もしていないわ!とそれぞれ似たことを思い浮かべボクを見る。


「五月蝿いな、なんでボクがお前達を助けないといけないんだ?義理も何もないだろう?何もしていない?したじゃないかこの子に」


してもいない罪を被せられ、噂でしかない夫人殺しの犯人に仕立て上げられ、話を聞こうともせずこの小さな体には悪意をぶつけていたくせにね?


腕の中で眠る子供の髪に頬を寄せる。酷い臭いの中に魔力の芳しい香りが届く。この魔力の香りは間違えようがない。


「この子は奴隷にされていい子じゃないんだ、お前達と違ってね」


赤黒くなっていく顔はいつ見ても気分が悪い。


「それに、お前達は必要ない」


一気に高めた魔力のお陰で必要のないその他全員の首があらぬ方向に向く。捻れ引き伸ばされたり骨が折れたりと様々な様子にこの姿では細かな調整がしづらいと思考する。


「まあいいや、どうせろくな死に方は出来ないのが早まっただけだ。にしても宝石も質が落ちたな。これなら一昔前の宝石の方がまだ質が良かったし魔力を宿していたっていうのに…ちょっとした小銭にはなるか?この子のお小遣いぐらいには売れるだろうし」


集められていた宝石やら硬貨を月明かりに照らしながら確認していく。ましなものはアイテムボックスに価値のないものは穴を開けた地面に埋めていく。


「こんなもんか、さてさて街の宿にこっそりと戻るとするか…、と」


声が低くなったのを感じ水鏡を作り姿を確認する。硬い髪質の燃える様な赤毛と血よりも鮮やかな赤い瞳は鋭い眼光を携えている。


「………まったく、今でなくともよかろうに。街に行けなくなったではないか」


顔を隠す為にフードを被り、拠点の一つを選び座標を固定する。


掃除と料理と治療、後は何をするべきだったかと考えながら姿が揺らぎ消えた。


それを見ていた生者は居なかった。



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