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機鎧大戦  作者: 間咲正樹
第一章 黒い魔人
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第5話 報告

「ナー。そいじゃここからは大事な話だから、特別にJK用語抜きで説明するね」

「いや、大事な話じゃない時もJK用語は使わないでくれ」

「まったくもー、ヴォルフはチャチャを入れてばっかなんだから」

「お前が言うな」

「では改めまして、この国、<ベラルジオ王国>は一年くらい前に元首(げんしゅ)が今のベルメス・オリューホスって男に代わってから、急速に世界屈指のカジノ大国になったんだって」


 ドクン。

 ()()()の名前が出たことで、ウェンゼルは急激に脈拍が早くなるのを感じた。


「それまでは砂漠の中心にある、オアシス的な立ち位置の国だったみたいなんだけど、ベルメスがあの高台に見えるおっきなカジノを建ててからは、世界中から観光客が集まるようになって、今では国家資産も世界ランキング4位に入るお金持ちの国になったんだ。ただカジノを建てる時に大分無茶な立ち退きをやったみたいで、国民からは相当嫌われてるみたい。でもベルメスの機鎧のバーデン=バーデンってのが超強いみたいで、誰も逆らえないんだってさ。契約機人(けいやくきびと)のアルゴスって大男も常に一緒にいるし、隙なしって感じだね。んっ?どったのウェンたそ?顔色悪いよ」

「あ、いや何でもないよ。気にしないでくれ……」

「ふーん。あれ?どこまで話したっけ?ああそうそう、ベルメスがメッチャ厄介ってとこだ。しかも性格もクソみたいなやつで、自分が殺した前元首の息子のフィアンセ、つまり未来のお姫様になるはずだったひとを人質に取って、王子様を無理矢理手下として使ってるんだって。まあ控えめに言ってクソ・オブ・クソだね」

「辛辣ゥ!でもまあ俺も同意見だ。ただその感じじゃ、そいつ相当恨み買ってるだろうな。オイチビ助」

「え、何だよ」

「お前もそのベルメスってヤローに一物あるクチじゃねーのか?」

「なっ!何でだよ!」

「いや、何となくそんな気がしただけだがよ。違うなら気にすんな」

「ああ……」


 マズい。今ここでヴォルフ達に自分の気持ちを悟られるわけにはいかない。


「だが、もしベルメスをぶっ飛ばしたいってんなら良い方法があるぜ」

「え?」

(いくさ)を吹っ掛ければいいのさ」

「いくさ……」

「ああ、国のあちこちにある受戦碑(じゅせんひ)ってあるだろ」

「あの慰霊碑みたいなもの?」

「それだ。だがありゃ慰霊碑じゃない。宣戦布告の受付所みたいなモンなのさ。そして宣戦布告の方法は簡単だ。核人じゃねえと宣戦布告は出来ねえが、自分の私物を何でもいいんで受戦碑に叩きつければいい。それだけで宣戦布告成立だ。自動的に戦場に転送されて戦が始まる。どちらかの大将の核人が死ぬか、降参すれば戦は終了だ。お前も知っての通り、各国は薄繭(うすまゆ)と呼ばれる謎の透明なバリアみたいなもんに守られてて、機鎧の攻撃は一切効かない。その上、薄繭の中じゃ他国の機人は機鎧化できない。つまり相手から国を奪いたいなら、正面から堂々と宣戦布告して戦に勝つしか方法はないってことだ」

「ちょっと待ってくれよ。俺は別に国が欲しいわけじゃないし、核人でもないからそんな話聞いても意味ねーよ」

「でも将来核人になる可能性はゼロじゃねーだろ?つまりお前がこの国を欲っするなら手順はこうだ。その1、超強い機人と契約して核人になる。その2、この国に宣戦布告をする。その3、ベルメスをぶっ飛ばす。その4、二人は幸せなキスをして終了」

「最後何かおかしいぞ!いや、最後以外も色々おかしい!超強い機人なんかそうそういないだろ!」

「わかんないぞ。意外とヒョッコリ伝説の機人とかを雨の日に拾うかもしんないぞ」

「そんな捨て猫みたいな!はあ、もういいよ。俺のことはほっといてくれよ」

「あっ、そういえばあたしさっき大事なこと言い忘れてた。そのベルメスだけど、明日からこの国にいなくなるらしいよ」

「えっ」


今何と言った?いなくなる?アイツが?


「アン?どういうことだカリン」

「何か資金も十分貯まったし、満を持して明日から他国に戦を吹っ掛けまくるんだってさ。だから下手したらずっとこの国には戻らないかもね」


 なんだと。じゃあ俺はどうすればいいんだ。まだ色々と準備は終わってないのに。

 クソッ!一か八かだが今日やるしかないのか。


「悪いみんな!俺用事を思い出したわ!夜までには戻るから、みんなはここでくつろいでてくれよ!」

「アッ?オイチビ助。どこ行くんだよ」


 ヴォルフの声を無視してウェンゼルは家を出て裏の倉庫に行き、倉庫から黒い塊を取り出しカジノの方に走り出した。

 頭の中では一年前のあの日のことがフラッシュバックしていた。



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