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ミリア  作者: フジマル軍
プロローグ
1/89

#1 始めとマスクと二回目と

現実(リアル)――――誰が見ても分かる通り、この二文字は我々の生活するこの世のことを意味する。

誰しもこの現実(みち)から逃れることは出来ない。

唯一の可能性があるならば、それは『死』だろう。

だがこれも輪廻転生という概念があるのならば決して有効的なもの出はない。

生きとし生けるもの全てが同じ現実(みち)を歩く。



ゲーム(リアル)――――この言葉を聞き、平面的な二次元のものを想像するものも多いのではないだろうか。

あるものは単なる娯楽として、あるものはストレスの捌け口にして、またあるものは生きるための手段として、多種多様な人物達が利用する数少ない擬似的な現実からの逃避する手として存在する。

しかしそれはあくまで『疑似』であり、これに没頭し現実(みち)を歩くことを疎かにすれば、振り出しに戻りかねない。

何しも利があれば否があるのだ。



異世界(リアル)――――この言葉を聞き、何をイメージするだろうか。

無限大を越えて拡がる夢多き世界(りそう)か、もしくは現実から目を反らした果てし無い世界(じごく)か。


後者はただの偽善者だろう。存在しないはずの昭和六五年の精巧に作られた硬貨が物としてあり、平行世界や代替宇宙という考えがあるのだから夢物語を描くのも無理はない。


かといって前者を擁護するわけではない。チーレムしかり、主人公無双俺TUEEEしかり、ただこれらが見るものの需要と欲を満たすために目立つのであって、たった一人の人間が、たったひとつの出来事が有るか否かだけでそれはある意味異世界と言えるのだろう。




現実(リアル)ゲーム(リアル)異世界(リアル)


全てが本物であり、本当であり、真実である。













































「んー、ちょっと中二臭すぎるかな♪」


白い奇怪なマスクで顔を隠すスーツ姿の女性は、無地の本を開き羽ペンを片手に語る。


「さて、後ちょっとで二十六、いや二十二まで集まるかな♪暇だし私も働こ♪」


鼻歌混じりのその声は、影に溶けるように姿を消した。





「みんな起きたかな?」





立ち上がることができない。


目の前にはおそらく自分と同じように動けないであろう人たちが、円形に並べられて座らされている。自分も例外ではない。

その円の中心で変な白い覆面マスクを被った女性が一人ずつ顔を覗き込んでいく。


「それじゃ、状況説明を始めるよ♪」


なぜこんなことになっているのか、理解できている者はいなかっただろう。

あの奇怪なマスクを除いて―――







残暑を感じさせるぬるい風が教室に吹き抜けている。

教室内はガヤガヤと賑わっていたが、その中で一人の青年、バンは自身のスマホに目を落としていた。

視線の先に映っていたのは、自分のアカウントに送られてきた送り主不明のメッセージだった。



≪新作ゲームのテストプレイヤーとして当選いたしました!≫

≪是非下のアドレスからアクセスしてください!≫



そう書かれた文章と一緒にアドレスが添付されたメッセージだった。


「こういうの応募した覚えないし、新手の詐欺とかかな」


自分の中でそう解決し、彼は特に気に止めることなく削除しようとしたが、


「何見てんのー、あっ、新作ゲームだって!おもしろそー」

「あっ、おい!」




ポチッ――――



押された。

隣の席から伸ばされた手に押されてしまった。


「あれ、もしかして押したらダメなやつだった?」

「ダメどうこうの前にそもそも…………、あれっ?」


勝手に人のスマホに触れたことに文句を言おうとしたが、急に視界が歪んだ。

気持ち悪さと不快さを伴う目眩に思わず意識が飛んでいく。

一瞬、勝手にスマホに触れた者の顔が笑って見えたような気がしたが、それを認識する前にバンの意識は途絶えた。








――――――そして、冒頭に至る。

バンが気がついた時には、壁と天井があるのか分からないほど黒い空間に、たくさんの椅子とそこに座っている人たちがいる、ただそれだけの部屋と思しき中にいた。


「なんだこれ、夢?」


そう思い周りの人の顔を見渡すが、見知った顔はいない。

それどころか、皆表情は強張り、椅子で作られた円の中心を無表情で見つめている。


「夢なんかじゃないよ♪」

「うわっ!」


目の前が急に黒から白になり、耳元に大きな声が響いた。

突然の衝撃に、バンは目を見開き口をパクパクさせていると、


「よし♪それじゃみんな目が覚めたことだし♪説明を始めていくよ♪」


そう言って白い覆面を被った人は何の気なしに円の中心に立ち、誰の是非も聞かず話を始めた。


バンは非常に気分が悪かった。

それが先ほどの覆面によるものなのか、何か嫌な予感を感じたからなのかは誰にも分からなかった。

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