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正義感
「さて、今年の1年生はどんな即興をみせてくれるのかしら。」
そんな余裕ぶった高らかな声が、校舎のどこかで響いている頃、レイナは金ヶ崎さんと行動を共にしていた。
「足、大丈夫ですか?」
「う、うん。大丈夫。」
二人は生徒全員が散り散りになった後、偶然会っていたのだ。
...いまは隠れることができていてもじきにあの化け物が私たちを見つけて殺すに違いない。
逃げるべきなのだろうが、金ヶ崎さんの足の状況からしたら、むやみやたらに動けない。
どうする。どうする青柳レイナ。
ここで金ヶ崎さんを置いて逃げることなんて出来ない。
しかし、課題クリアもしたい。
なにか、なにか両方とも達成できる方法...
その時、ある考えが頭に浮かんだ。
それはあまりにも馬鹿げた手段で、レイナにとって大きな賭けだった。
失敗すれば金ヶ崎さんの命だって巻き込まれて消えるかもしれない。
「でも...これしかないんだ!」




