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きせつのものがたり  作者: 中塩屋 治


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ふゆのひのうた

冬の寒さが名を呼んで、

いくつものころもを身にまとい、

いくつものことばに火をともし、

光を得、

温もりを得た。


春の暖かさが名を呼んで、

ひとつのころもからさえ免れて、

ひとつのことばにこそ火がつけられて、

光が与えられ、温もりが与えられた。



失ったものは、暗闇。

失ったものは、冷たさ。


奪われたものは、暗闇。

奪われたものは、冷たさ。


着る人は、

着るものの暖かさを、

その人に聞くといい。

着る人に暖かいのならば、

その人も、暖かいだろう。


着る人の温もりが、

その人の温もりとなる。


親が、子に聞いている。

外の寒さのなか。


お入りなさい。


あったかい。

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