紡いだ火
「ヴィル!早くしないか!」
「はい!ただいま!」
.....
「ふぅ...」
今日も厨房は忙しかったな。
調理長のテクニック、盗む暇すら無いなんて...何のために
働いてるんだか分かりゃしない。
家で待つエミリーやキャシーの為にも、沢山稼がなきゃならんのに...
そうだ、この町には立派な木があったな。言い伝えではあるが、この時期の果実は長寿の信仰があるんだ。
今度の休みに、それを家に送ってやろう。
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「ル.....ヴィル.....ヴィルヘルム!!!!!」
...料理長..支配人....?なぜ、私は床に...
「かはっ....」
「話すんじゃない...何も、覚えていないのか...?」
「まさか、あんなガキが大人を一突きとは...
ヴィル、必ず助かる!!だから、眠るんじゃない!!」
「キャシー、、、エミ、、リー、、」
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数日後
「居たぞ!!怪しいヤツめ!!似顔絵とそのままのガキだ」
「ワンワンワンワン!!!!!!」
子供を捕らえようとした瞬間、大きな火柱が散った...
「うわぁぁっ....なんなんだ!?あのガキは!!」
ねぐらにしていた木の根元は大きく焦げ、木がメラメラ燃え上がっていた。
「くそっ逃がすな!どこか近くにいるはずだ!探せ!」
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キャシー、エミリー、そしてまだ見ぬ息子へ
この黄色の果実はね、昔から食べると長寿になれると言い伝えられているんだ。だが、禁忌の実とも言われている。
かつてのアダムとイブのように禁忌の実を食べ、天界を追放されたのさ。
けど、ここはもう地上!落ちるとこなんか地面くらいしかないもんさ!まぁ冗談として、これはほんの差し入れだよ。
たんと食べて、しっかり大きくなるんだぞ!
キャシー...僕らの息子には、なんて名前を付けよう。
そんなことばっかり考えながら、今日も料理長見習いとして
頑張ってるよ。
愛してる。
ヴィルヘルム




