98 四神 4
体勢を戻した玄武
アンナは倒れている、ポチャでは勝てないと指摘する
「まだ油断していますね♪」
「してるねー♪」
「いや、いつ攻撃が来てもいいように臨戦態勢だぜ」
「だって、私が魔法を使えないと思っているでしょ?」
「まさか、魔力切れまで嘘だってか?」
「嘘じゃないけどちょっとした魔法は使えるほどは回復しました」
「ちっ、喋ってる間に回復したか、だが大した魔法は使えんだろ」
「上見てー♪」
「ん?」
玄武は上空を見る
「これでちょっとした魔法かよ、いやちょっとした魔法だけどよ」
上空に硬質化した岩でできた巨大ハンマーが落ちてくる
「すとーんと落ちるストーンハンマー、なんちゃって♪」
「ふっざけんなあっ!」
ズドォォォン!
巨大ハンマーに押し潰されて地面に埋まる玄武
「お前ら、おもしれえな、、、」
「お前じゃなくてアンナですよ♪」
「お前じゃないよポチャだよ♪」
「はいはい、俺の敗けだよ、認めてやるよアンナ、ポチャ」
「やったねポチャ♪」
「やったねお姉さん♪」
(まったく、とんでもねえ奴らだぜ)
アンナとポチャ、玄武に認められ決着
「お主にいくつか訊ねよう」
「戦って見極めるんじゃなかったのかよ」
どんな攻撃がくるかわからないから身構えていた
なのにこれだよ、調子狂うぜ
「何が聞きたい?」
「お主の仲間は二人ともプレイヤーだな」
「そうだけど? あとアンナたちガイド精霊も仲間だからな」
「なぜプレイヤーばかり集める?」
「別にプレイヤー限定のつもりはないよ
ゲームのときの仲間を集めているだけだ」
「では我が主を仲間に引き入れる必要はないのではないか?
お主のゲーム仲間ではないのだろう?」
「それは会って話して確かめないとわからない」
パンティさんかチェリーさんか別人かわからないからな
「お主にとって仲間とはそんなに大事なものか?」
「大事だな、あいつらがいたから楽しくプレイできた」
「それはゲームだからであろう?
ここは現実の世界だ、お主らはゲームキャラではなく現実の人間だ
ゲームのときのように上手く付き合えぬと思うが?」
言いたいことはわかる
ゲームではキャラとして活動しているからな
リアルの人間とゲームキャラはたしかに違う
だがな
「青龍、あんたの言っていることは間違っちゃいない」
「そうであろう」
「だけど俺たちを勝手に理解するな」
「うぬ?」
「伊達に11年一緒にプレイしてきたわけじゃない
11年も一緒にプレイしてきたからこそわかるんだよ」
「それは、、、」
「こいつらとならリアルでも楽しいってことがな♪」
それはベンケイさんとアオイくんも同じ想いだと思う
きっとパンティさんだってそうだ
青龍が目を伏せて考えている
「うむ、勝手な解釈で決めつけたこと詫びよう、すまぬ」
「お、おう」
やっぱ調子狂うわ
「お主の仲間への想いはよくわかった」
「そりゃどーも」
「では当初の予定通り戦いを始めよう」
「やっとかよ」
俺は少し後ろに下がって臨戦態勢に入る
「我の攻撃を全て防ぎきってみよ!」
そう言って口から光の咆哮を放つ青龍
これ調査隊にぶつけたやつじゃん!
「殺す気かよ!? ダークエリアシールド!」
俺を中心にして指定範囲をすべて覆う闇属性のシールド
光属性の攻撃を相殺できる
相殺して光と闇は消える
「ほう、いい判断だ」
「今の相殺できなかったら俺死んでるよ?
模擬戦でしょ、殺傷力高いのやめてくんない!」
「これぐらいどうにかできない者に我が主は任せられんからな」
お前は娘を嫁にやりたくないお父さんか!
「次はこれだ」
青龍の身体が光り全身に雷をまとっていく
「喰らうがいい!」 バリバリバリ
無数の雷が所構わず降り注ぐ
「だからそういうのやめろ!
サンダーストーム! アースウォール!」
サンダーストームを広範囲に広げる
一部の雷撃をストームが巻き込み吸収する
アースウォールを俺の周辺に展開する
雷撃が当たって砕けまくるが俺まで届かない
「瞬間的な判断力、魔法の適切な使い方、合格点だな」
「この鬼教官!」
「鬼ではない龍だ」
むきー!
「では続けてゆくぞ」
まだなんかすんの?
空をグルグル回り始める青龍
スピードがどんどん速くなり風の渦ができる
その渦が地上へ降りてくる
まさに竜巻! 地に足を着けていられない
俺は竜巻に巻き込まれて飛ばされてしまう
自分で飛ぶのとは違って自由がきかない
このやろう、無茶苦茶しやがる!
「ふむ、さすがに何もできないか、ん?」
竜巻の速度が落ちる
風が緩やかになりなくなっていく
その中心で俺はフライで浮いていた
「ほう、どうやったんだ?」
「どうやったじゃねえよ! ほんと殺す気かっ!」
俺はウインドショットを四方八方に撃ちまくった
竜巻の風の流れに穴を空けていき竜巻の勢いを消していく
これにより緩やかになった竜巻は消失した
ウインドショットの威力を増幅するためかなり魔力を消費した
「では次は」
「待てやコラ!」
いい加減にしろ、このバカ龍!
「今度はこっちの番だ! メテオバースト!!」
巨大な隕石群が青龍に降り注ぐ
「ふむ、凄いがこのぐらいなら」
雷撃で隕石を次々と粉々にしていく青龍
「ストーンステイク!」
砕いた隕石の上から岩で出来た巨大な杭を落とす
「隕石のついでに砕けばいいこと、無意味なことを」
光の咆哮を放ち巨大杭を消滅させる
「ストーンステイク!」
俺はもう一本撃ち込む
「やけくそか? お主はもう少しできる者と思っていたのだが
我の見込み違いだったか、残念だ」
青龍はもう一度光の咆哮を放つ
「うぬ!? 何も、ない、だと?」
上空からは何も落ちてこない
光の咆哮はそのまま空へ消えていく
ズドォンッ!
「ぐ、うぉぉっ! まさかっ!?」
巨大杭が下から青龍に激突する
そのままさらに上へ弾き飛ばされる
「がはっ!」
少し血反吐を吐く
「攻撃は上からだとは限らないぜ青龍」
落下して地面に叩きつけられる
俺も地上に降りる
「残念じゃなかったろ? 俺はデキるやつだぜ♪」
ドヤ顔で言ってやる
「くく、面白い男だ、良いだろう、認めよう
お主を我は認める、だが共に行くかどうかは我が主次第だ」
「わかってるよ、無理強いはしない」
一緒に楽しく冒険したいんだ
嫌々冒険しても楽しくないからな
ケンタ、青龍に認められ決着
四神たちはみんないい子ばかり
わたしを慕い、わたしのために色々頑張ってくれている
でもわたしはコミュ障で引きこもりでネガティブ
こんなパートナーでほんとゴメンね
そして今日もわたしのために戦ってくれている
相手はわたしと同じプレイヤーだ
わたしだってリアルのFPO世界を冒険したい気持ちはある
でも知らない人だらけだしキャラではなく生身だし
プレイヤーの人たちだってゲームでの知り合いじゃないし
だから引きこもってしまっている
ゲーム内での知った相手かどうかもわからない
そもそもわたしなんてフレが超少なかった
そのフレがこっちに来ている確率はかなり低い
訪ねてきたプレイヤーは3人
男の人がリーダーでトッププレイヤーでした
なんでそんな人がなぜわたしのところへ来るのよ
わたしなんて底辺のプレイヤーよ!
他の2人は女の子
もしかして異世界来たからハーレムでも作ろうとか?
その一人にしようとか考えてるんじゃ
やだなあ、男ってすぐそういうこと考えるんだから
違うかも知れないけどそう思ってしまう
「全員転移したから始まるわよチェリー様」
「御主人様自身もしっかりと見極めて下さいませ」
「ボク、頑張るよー♪」
「姐さん、応援頼むぜ」
戦いの中で彼らの性格や思考を見るそうです
わたし自身も見ないといけません、自分のことだから
でも同郷の人たちを傷付けたくないなあ
それ以上に四神に傷付いてほしくない
こんなことになってるのもわたしが弱いから
わたしがしっかりしていればこんなことしなくてよかった
ごめんねみんな、プレイヤーの人たちも
各地で戦いが始まります
ブルーだけ何やら会話しています
映像は見れるけど音声はないので会話は聞こえません
レッドが金髪ツインテの子と戦っています
狐さんがいます、ちょっと可愛い♡
ホワイトが相手の子を踏み付けようとしています
踏み潰しちゃダメよホワイト!
こっちはニャンコがいました、可愛い♡
ブラックがガイド精霊序列一位の子と戦っています
ワンちゃんが可愛い♡
四方のモニタを確認しないといけません
一つに集中してたら他のとこが見れません
見てない間にみんなが怪我したらどうしようと心配です
相手に大怪我させてたらどうしようと不安です
頑張ってあちこちに目を配ります、大変です
レッドが薙刀で刺されました
まあ炎だから怪我もダメージもないからいいか
ホワイトが縦横無尽に暴れています
ちょ、相手の子とニャンコは大丈夫!?
序列一位の子がブラックのシールドを小突いていた
手、痛くないのかしら?
あれ? ワンちゃんがいないわ
四神の分体がそばにいるのですが一人消えかけている
「レッド、どうしたの?」
「チェリー様、ごめんなさい、、、」
悲し気に笑うレッドの分体
そして消えた
「ちょ、え、どうして!?」
わたしはレッドのモニタを見る
薙刀が刺さったままで大きくなった狐さんが捕まえている
本体のレッドが少しずつ小さくなっていく
もしかして身体の炎を吸い取られてる?
あの薙刀、まさか、、、
ううん、そんな場合じゃない!
わたしは立ち上がって杖を持つ
城の上空にファイアボールを出す
大量の魔力を注いでいき巨大な炎の塊を作る
「いけぇっ! レッド、消えちゃダメ!」
炎の塊をレッドのいるところへ超速で飛ばす
モニタですぐに確認する、届いた!
レッドが元の大きさに戻った
「よかったぁ~~~」
脱力してソファにもたれかかる
「チェリー様、ありがとう、、、」
分体も復活した
「もう! 心配させないでよ!」
「ごめんなさい」
しょんぼりする分体レッド
あの薙刀、まさか、ね




