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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
2 永遠の混沌

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95 四神 1

ケンタたちが帰ったその夜

時間は21時、魔女が目覚める


「ふわぁ~、よく寝たぁ~、晩御飯食べようっと♪」


朝食後9時からずっと寝ていたので12時間は寝ていたことになる

すなわちケンタたちが来ていたときも寝ていたのだ


「やっと起きたのねチェリー様」

「おはようレッド♪」


アオイの読みどおり魔女の正体はチェリーだった


「お早うではなく遅ようよ」

「てへっ☆」


((((可愛いから許す))))


四神はチェリーに甘かった


「御主人様、起きたのなら着替えたらどうですか」

「そうよ、はしたないわよ」


チェリーは寝巻き姿のままだった

フリルの付いたピンクのネグリジェ

そんな格好でうろついていた


「わたしたちしかいないんだから恥ずかしくないわ

 それに晩御飯食べたらまた寝るからいいの」


「「「「まだ寝るの!?」」」」


呆れる四神、だが誰も咎めない

どこまでも主人に甘いガイド精霊たちであった


「いただきます♪」


チェリーは食事を始める


「今日の報告をするわね」

「うん」


「今日も城へ人がやって来たわ」

「え! 攻撃とかしてないわよね? 怪我させてないよね?」


「ええ、わたしと話しただけよ」

「そう、よかったぁ」


チェリーはホッとする


「そいつらプレイヤーとガイド精霊だったわ」

「プレイヤーの人が来てくれたの?」


「同じプレイヤーだから会いたいそうよ」

「うーん、でも恐い人だったらイヤだなあ」


「友好的な態度だったから大丈夫だとは思うけど

 猫被っているだけかも知れないわね」


「猫を頭に乗せてた奴はいたけどな、笑ったぜ」

「え、なにそれ、ちょっと見てみたい!」


鳳凰しか会っていないのになぜ玄武が知っているのか

じつはケンタたちの姿を鳳凰の視覚を通じて見ていた

四神は視覚を共有できるのである


「何人で来てたの?」


「プレイヤーは男1人と女2人の3人で男がリーダーよ

 ガイド精霊は動物型が3人と人型が1人よ」


「人型って上位個体だったよね、序列何位の人が来たの?」

「序列一位よ」


チェリーは固まる


「なんでトッププレイヤーがわたしなんかに会いに来るのよ!?

 もしかして下っぱイジメでもするつもりじゃ、、、」


チェリーはネガティブ思考だった


「さすがにそれはないんじゃ」

「でもぉ、、、」


「多分また来ると思うけどどうする?」

「もう少し考えさせて、、、」


「わかったわ、気が乗るまでは面会拒否しておくわ」

「ありがとう、ごめんね」


そしてチェリーはベッドに潜り込んだ


(イジメられたらイヤだなあ・・・・・)


チェリーが寝たあと四神たちはどうするか色々話し合った

四神たちはチェリーに外へ出てもっと楽しんでほしいと思う

でもチェリーが酷い目に遭わないかと心配でもある

もちろん四神たちは全力でチェリーを守る


同郷であるプレイヤーと一緒に旅や冒険をするのもいいだろう

しかし酷いプレイヤーと組ませたくはない

ケンタたちは大丈夫そうと思うが確証がない


悩んだ末、四神たちの結論が出た


「それではあの者たちが次に来たら決行する」

「わかったわ」

「はーい」

「おう、姐さんのために頑張ろうぜ」






翌日も俺たちは魔女の城へ向かっていた

ポップコーン平原を抜けてフタマタの森に着く

カブから降りて城のある方向を見つめる


「俺の気のせいじゃないよな」

「ああ、私にも見えてる」

「揃うと壮観ですね」

「お出迎えでしょうか」


四神が全員集合していた

でかいのが4体も勢揃い、圧倒的な景観だ

森の入り口からでも見える

いや、ポップコーン平原からすでに見えていた


「もしかして俺たち敵認定されたのか?」

「昨日の鳳凰とのやり取りではそんなことなかっただろ」

「とりあえず行ってみましょう」


ここで考えていても仕方がない、行くしかないか

俺たちは森を進んで四神たちのところへ向かう



「やっぱり今日も来たのね」

「こんにちは、全員揃ってるね」


「お主がリーダーだな、我は青龍」

「ボクは白虎だよ」

「俺は玄武だ」


そういや俺たちは名乗ってなかったな

アンナは聞かれたから言ったけど


「俺たちは「言わなくていいわよ」」


名乗ろうとしたら鳳凰に止められた


「なんでさ」


「これからあんたたちにやってもらうことがあるわ

 それが終わって必要であれば名乗ってもらうから」


やってもらうこと?

何やらされるんだ?


「わたしたちはあの方に外へ出て世界を見て回って欲しい」

「昨日も言ってたね」


「同じプレイヤーと旅や冒険をするのもいいと思っているわ」

「俺たちじゃ駄目か?」


「あんたたちは大丈夫そうとは思うわ、でも確証がないわ」


昨日今日会ったばかりの奴を簡単には信用できないよな


「俺たちのことは魔女さんに伝えてくれたか?」

「伝えたわ」


「反応はどうだった?」


「あんたがトッププレイヤーだから委縮してるわ

 イジメられるんじゃないかってね」


「しないよ!? なにそのネガティブ思考!」

「そうよ、コミュ障で引きこもりでネガティブなのよあの方は」


どうすりゃいいんだよ


「そこで我らは話し合い、一つの結論に至った」

「それは?」


「お主らが信用に足る者かどうか我らで確かめることにした」

「どうやって?」


「簡単だ、俺たちと戦え!」

「ボクたちと遊んでもらうよ♪」

「別に殺し合いとかじゃないわ、模擬戦みたいなものよ」

「その戦いの中でお主らの性格や思考を把握する」


「戦う必要あるのか? 何度か話し合うことで把握できないか?」


「話し合いだといくらでも相手を騙せる

 戦いの中ならその者の本質は隠せない

 騙そうとしてもその騙し方も本質の一部だからな

 必ず見えてくる」


たしかに会話だけなら騙して本質を隠せる

戦闘中こそ性格や思考がもっとも反映される


「どうするみんな」

「私はわかりやすくていいと思うぜ♪」

「姫の仰せのままに」


ベンケイさんは乗り気だ

ヨシツネはベンケイさんが戦うなら共に戦うよな


「わたしも構いません」

「私は主に従うまで」


アオイくんは売られたケンカを買うタイプだった

サスケもヨシツネと同じだ


「僕もいーよ」

「ポチャ、ほんとにいいのか?」

「僕だって仲間だよお兄さん」

「そうだな」


仲間のために戦う

ポチャも成長したなあ ホロリ


「もちろん、私もやりますよ」

「おう、頼りにしてるぜアンナ」

「お兄さんが素直だと恐いです、引きます」

「なんで!?」


これでも本気で頼りにしているんだが?


「その戦い、受けるぜ!」

「うむ、その意気や良し!」


俺たちと四神の決戦が決まった


「それで戦い方はどうするんだ、ここで総力戦はまずいだろう?」


こんなところで4体の巨大生物が暴れたら目立ち過ぎる

あと森林破壊、土地破壊が半端ない


「もちろん、我らは元々の四方の持ち場に戻る

 お主たちには4組に分かれてもらい各地の四神と戦ってもらう」


「組み合わせはこっちで決めていいのか?」

「自由に決めろ、それもお主らの思考が反映されるからな」


たしかにそうだな


「では我らは持ち場に戻って待っておるからな」

「早く来いよ、誰が来てもぶちのめしてやる!」

「誰が遊んでくれるか楽しみにしてるよ♪」


鳳凰以外が持ち場へ戻って行った

ここは南側、鳳凰のテリトリーだから鳳凰だけ残る


「さっさと組み合わせを決めなさい」

「わかった」


4組に分かれるのは簡単だ

ベンケイさんとヨシツネ

アオイくんとサスケ

アンナとポチャ

俺は単独


あとは誰がどの四神と戦うかだ

それを話し合うが意外とあっさり決まってしまった


「決まったよ」

「そう、それじゃあ各地へ行ってもらうわ」


「おう、行こうぜみんな」

「待ちなさいよ」


「なんだよ、行けって言ったじゃん」

「歩いたら時間かかるでしょ」


「だけどカブは森の中だと走りづらいし」

「ここから転移させてあげるわよ」


「転移できるの?」

「青龍たちも転移したでしょ」


あれ転移だったのか

目に見えない速さで移動したものだと思ってた


魔法陣が3つ現れた


「青、黒、白、四神の色を表しているわ

 どの四神かぐらいはわかるでしょ」


青が青龍、黒が玄武、白が白虎だな


「さあ、行きなさい」


俺たちは決めた組み合わせどおりに分かれて転移する


「ケンタ、頑張れよ♪」

「皆様、御武運を」


「ベンケイさん、ヨシツネ、任せたからな」


「行きますよポチャ」

「うん、お姉さん♪」


「行ってきます」

「主には私が付いています」


鳳凰と戦う者以外は各地へ転移した






「あんたたちがわたしの相手ってことね」

「おう、楽しもうぜ♪」

「手合わせお願い致します」


ベンケイとヨシツネが鳳凰と戦う



「やっと来た、さあ遊ぼうか♪」

「ポチャみたいな方ですね」

「そうね」


アオイとサスケが白虎と戦う



「どいつが俺の相手だあ? って?」

「僕が相手だよ!」

「私が相手だと不満かしら?」

「いいや、序列一位様なら相手にとって不足なしだぜ!」


アンナとポチャが玄武と戦う



「ふむ、よくわかっているじゃないか

 四神のリーダーである我の相手だからな

 そちらもリーダーが来るはずと思っていた」


「そりゃどーも」


ケンタが青龍と戦う






城内の一室、巨大ナビモニタが四方に展開していた

四方の戦いを映し出している


「本当に殺したり瀕死にしたりしないんでしょうね?」

「しないから落ち着いてチェリー様」


小さいぬいぐるみのような四神がチェリーといた

これは四神の分体である


「あいつらの本質を見るための戦いだからな」

「主様、安心して見ててよ」

「御主人様自身もこの戦いを見てあの者たちを吟味して下さい」


チェリー自身にも判断させるため用意したのだ


「あの人たちだけじゃなくあなた達にも怪我して欲しくないんだけど」


四神はその言葉だけで士気が上がった


「我は御主人様の為に勝利致します!」

「姐さんにカッコ悪いとこ見せやしねえぜ!」

「勝ってたくさんほめてもらうんだい!」

「チェリー様に華麗に戦うわたしを見ていただくわ♪」


四神は存外単純だった


そして四神と永遠の混沌(エターナル・カオス)の決戦が始まった

本日で2024年もおしまいです

今年の1月14日から始まった愚者の楽園、お読みいただきありがとうございます

来年もお読みいただけると幸いです、よろしくお願いいたします

それでは良いお年を

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― 新着の感想 ―
今年一年毎週、時には数日間連続でケンタたちのアレコレを 楽しませていただきましたありがとうございました。 来年も楽しみにしています。
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