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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
2 永遠の混沌

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94 魔女の城 後編

アンナが魔女の件について話し始める


「調査報告の内容から4体の巨大生物はガイド精霊だと思います

 なのでその4体の主人である魔女はプレイヤーですね」


「接触してなくてわかるのか?」


プレイヤーかどうかは魔力の質とかで判別している

ガイド精霊も一定範囲内でないとわからないはず

調査報告の内容だけでわかるのか?


「4体は四神です、お兄さんもなんとなくは気付いたでしょ」

「まあ調査隊の話からなんとなく四神っぽいとは思ってたけど」


「お兄さんの知っている四神は誰かに従ったりしないでしょ?」

「たしかにそうだな」


「でも魔女に従い守っていた、パートナーだからでしょうね

 だから魔女と四神はプレイヤーとガイド精霊だと思いました」


なるほど、理屈は合ってる


「でも四神って聖獣や霊獣の類だろ? 精霊じゃないじゃん」

「聖獣と霊獣はガイド精霊の動物型に分類されます」


「そうなんだ、でも下位個体だからあんなに強くないはずだろ」


調査報告を聞く限りかなり強いぞ


「上位個体は私を含めて3人だけ、他はすべて下位個体

 だから下位個体は数が多いので能力、実力がピンキリなの

 四神は動物型の中ではトップクラスです」


「だけど上位個体のアンナよりは弱いんじゃないか?」

「はい、弱いですが苦戦を強いられます」


「上位個体とは雲泥の差があると思ってたけど違うの?」


「下位のトップは上位の次に強いからそこまで差は出ないです

 四神1体なら苦戦はしても倒せます、2体相手で相討ち

 3体なら僅差で私が敗けます、4体なら勝てる気がしません」


「そんなに強いのかよ」

「はい、なので魔女はかなり強いプレイヤーだと思われます」

「四神が強いのはわかったけど魔女が強いってのは?」


「契約者の魔力を分け与えてもらっていると言いましたよね

 ガイド精霊の強さによっていただく魔力量は上下します

 私とポチャはお兄さんからいただいています

 でも魔力枯渇したりしてないでしょ?」


「そうだな、身体にも異常はないし」


「四神1体が契約者からもらう魔力量なんですが

 私がいただいてる魔力量の半分と同等ぐらいです

 4体だから私の倍になりますね」


「だとすると俺の取られる倍の魔力を魔女は取られているのか

 その状態で強力な治癒魔法を使いフライも使い続けていた

 なのに魔力枯渇にならない、魔力量は俺より多いと言うことか」


魔女が強いと言うことを納得した


「プレイヤーだから一応接触してみますか?」

「そうだなあ、会ってみたいけど」

「今はパンティを捜さないとな」


ベンケイさんの言うとおりパンティさん捜しが最優先事項だ


「でもほらパンティさんかも知れませんよ」

「だよなあ、どうしようかベンケイさん」

「そう言われたら迷うな」


「アオイくんはなにか意見ある?」

「わたしもわかりません、ただ」

「ただ?」


「魔女と聞いてチェリーさんを思い出しました」


チェリーさん? 誰だ? あ、あの人か


「リディアを守って助けてくれた人か」

「はい、あのときの冒険者、チェリー・ブロッサムさんです」

「なんかすごい結界使う奴だったっけ?」


ベンケイさんにもリディア救出のことは話してある


「なぜチェリーさんのことを?」

「チェリーさんの姿が魔女だったんです」


俺とアンナはチェリーさんの姿を見ていない

なのでアオイくんが教えてくれる


シンプルな黒いロングドレス

頭に大きな黒いとんがり帽子

手には長くて太い木の杖


「うん、いかにも魔女だね」

「けれど城の魔女がチェリーさんかどうかはわかりません」


パンティさんなのか、チェリーさんなのか、まったく別人なのか

判断材料が少なすぎる


「考えてもわからんもんはわからん!

 面倒だから会いに行こうぜ」


「結局それしかないか」

「そうね、行きましょうお兄さん」

「でもギルマスから近付かないように言われてますよ」


「「バレなければどうということはない!」」


俺とベンケイさんの言葉にアオイくんは苦笑いをする

アンナは鼻で笑いやがった!


明日は魔女の城へ行くことに決定した

ギルドにはもちろん内緒だからコソコソ行くぜ!




翌日、街を出発して北西へ進む

魔女の城は王都からまっすぐ北にある

こっそり行くため王都には寄らない

だから北西へ直接向かっているのだ


相手はガイド精霊

なら俺たちがプレイヤーとガイド精霊だとわかるはず

少なくとも調査隊よりはまともな話し合いができるだろう


こっちには上位個体序列一位のアンナもいるんだ

主人の魔女に伺いぐらいは立ててくれると思う


「でもさ、攻撃してきたらどうするケンタ」

「防御と撤退ぐらいしかないだろ」


俺とベンケイさんとヨシツネが白カブに乗っている

アンナ、アオイくん、ポチャ、サスケは緑カブ


「別に倒してもいいんじゃね?」

「駄目でしょ、俺たちデリートシステムじゃないんだから」


「いや、無力化するって意味だから」

「そか、それならいいかな」


だけど四神は強そうだから簡単にはいかないだろうな

なるべくなら穏便に進めたい


ポップコーン平原に着いた

そこから北へ進みフタマタの森に入る

カブから降りてここからは歩いて行く


位置的に城の南側、四神の南は朱雀の位置

伝承によって呼び方などは変わるので鳳凰かも知れない


森を城に向かって進んでいく


「止まりなさい、ここは通行止めよ」


朱雀が現れた、たしかに炎の塊に見える

羽を閉じて座っているから塊に見えたのだろう


「わかっている、だから四神のあんたらと先に話したい」


「へえ、ちゃんと四神ってわかっているのね

 ん? もしかしてプレイヤーとガイド精霊?」


やっぱりわかるんだな


「そうだ、俺たちはFPOプレイヤーとガイド精霊だ」

「それじゃ無下に追い払うわけにはいかないわね」


よし、これなら交渉可能だ


「わたしたち四神と先に話そうとするのも賢明ね

 いきなり主人に会わせろと言わないのは褒めてあげるわ」


守護者を無視して動くのは悪手だからな


「それで? なにを話しに来たのかしら」

「キミらは四神のガイド精霊で間違いないよね?」

「ええそうよ」


「キミは朱雀なのかな」

「わたしは鳳凰よ」


鳳凰の方だったか


「青龍、白虎、玄武はそのままなのか?」

「そうよ、あいつらはそのまんまよ」


「キミらの主人のことは魔女さんって呼んでいいかな

 名前を知らないからさ」


「いいわよ、でも名前は教えないからね」


ポロっと言うかと思ったがガードが固いな


「魔女さんは俺らと同じくプレイヤーだよね」

「そうよ」


「すごいね、四神全員と契約するなんて」

「そうよすごいのよ、強く優しく美しく素敵な方よ♪」


上機嫌だ、よっぽと心酔してるんだな魔女さんのこと


「なぜ誰とも会わせないようにしているんだ?

 君らはパートナーをボッチにしたいのか?」


これは怒るかも知れないがあえて聞いた


「別にボッチにしたいわけではないわ

 むしろもっと外に出て世界を見て回って欲しいわよ

 青龍なんかいつも進言してるしね」


あれ? 四神が過保護で外に出さないんだと思ってた


「もしかして、その、怒らないでくれよ?

 魔女さんは引きこもりなのか?」


鳳凰は軽くため息をつく

そのため息、めっちゃ熱風なんですが、熱いんですけど


「あんたの言うとおりよ、ヒッキーなのよあの方

 強く優しく美しいんだけどコミュ障で引きこもりなのよ

 まあそこも可愛いんだけどね♡」


コミュ障で引きこもりの魔女なんて聞いたことがない

というかそれすらも含めて心酔してるのかよ四神!


「でもそれなら誰にも会わせない理由がわからない

 外に出て世界を見て回って欲しいんだろ

 会わせて交流させた方がいいんじゃないか?」


「信用できるかわからない有象無象と会わせられないわよ

 あの方を騙されたり酷い目に遭わせるわけにはいかないわ」


やっぱ過保護だった


「信用か、なら俺たちなら大丈夫じゃないか?

 同じプレーヤーだし、ガイド精霊もいるし

 俺たちは同じ世界にいた者同士だから話も通じる」


「同郷だとしても他人だから傷付けない保証がないわ」


鳳凰の言うとおりだ、反論できん


「わかった、今日は一旦帰るよ」

「あら、潔いのね」


「でも一応俺たちのことを伝えるだけはしてくれ

 それぐらいはいいだろ? 頼む」


俺は鳳凰に深く頭を下げる


「あんた面白いわね♪ わかったわ、伝えておくわ

 でも多分、会えないと思うから期待しないでね」


「ありがとう、でも期待はするぜ」


俺たちは森から出ようと歩き出す


「待って、その前に一つ」

「なんだ?」


「そこの人型のガイド精霊の子」

「私ですか?」


「人型ってことは上位個体よね

 序列と名前を教えてくれるかしら」


「序列一位、アンナ・イニンよ」

「一位? じゃ契約者も一位よね」


「ええ、このお兄さんが一位です」

「あんた一位だったのね、なるほど」


なにがなるほどなんだよ鳳凰さん

一位に見えないってことかな?

自分でもそう思うよ


あ、悲しくなってきた


「教えてくれてありがとう、じゃあね」


今度こそ森から出る俺たち



街に戻って俺の部屋で会議だ


「まさかのコミュ障ヒッキー魔女」

「四神も甘やかしていますね」


俺とアンナはため息をつく


「信用されないと無理か」

「でも会えないのに信用してもらうなんて無理ですよ」


アンナの言うとおり交流なしで信用は得られない

八方塞がりだ


「強く優しく美しい魔女、チェリーさんに当てはまります

 でもコミュ障で引きこもりという点が当てはまりません

 わたしとリディアさんに普通に接していましたし

 引きこもりだと依頼なんて受けないでしょうし」


アオイくんは魔女さんがチェリーさんだと思っていた

コミュ障引きこもりの要素で迷い始めたようだ


「どうする、明日も行くか?」


ベンケイさんは明日も行く気だ


「あまり連日行くのも心証悪くしないか?」


ストーカーが毎日家の近くにやって来るようなものだ


「むしろ毎日行って四神と仲良くなったらいいんじゃね?」

「将を射んとする者はまず馬を射よ、ってことか」

「そゆこと♪」


ベンケイさんの意見を採用する

四神と仲良くなって魔女さんに会わせてもらおう!

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