91 有力情報
日付が変わって1時に誕生会はお開きとなった
「楽しかったから時間忘れるよ♪」
「お姉ちゃん、はしゃぎ過ぎです」
ベンケイさんがかなり喜んでくれたので嬉しかった
ベルさんも楽しんでくれていたので良かった
でも埋め合わせはちゃんとしよう
「ケンタ、私らは先に宿屋へ帰るから」
「おう、俺はベルさんを送っていく」
「一人で帰れますよ」
「こんな真っ暗な中、女性を一人で帰すわけにはいかん」
「その配慮が最初にあればよかったんですけどね」
「すみませんでした、ベルさんまだ怒ってるの?」
やや呆れ気味のベルさん
「もう怒ってませんよ、愚痴っただけです」
「ほんとごめん」
「いいですから、ちゃんと送って下さいねケンタさん♪」
「それは任せろ」
「お兄さん、送り狼にならないでね」
「ならねーよ!」
(それはそれで、、、 ってなに考えてんのわたし!)
それからベルさんと他愛もない話をしながら歩く
そしてベルさんの住まいに着いた
「送っていただきありがとうございます」
「こっちこそ今日はありがとうベルさん」
「それじゃおやすみなさいケンタさん♪」
「おやすみベルさん、またギルドで」
立ち去ろうとすると
「ケンタさん、今度は二人で食事に行きましょうね♪」
そう言ってベルさんは家の中に入っていった
そんなに俺との食事を楽しみにしていたのか
今日は本当に悪いことをしたな
俺は宿屋へ帰る
「思ったより早く帰って来ましたね」
「なんだ、なにもしなかったのかよ」
「ケンタ殿を信じていたでござる」
俺が送り狼になるとか思ってたのかいキミたち
「しないってば! 俺はこれでも紳士だぞ」
「ヘタレとも言いますね」
アンナこのやろう!
でも当たっているから文句は言えない
それからまた数日は軽めの依頼をこなす
お休みもちゃんと間に挟むホワイトな俺たち
そして今日、俺たちはギルドへ向かっていた
昨日はお休みしたので今日はお仕事だ
「今日は簡単な雑用でもするか」
「討伐は駄目ですか?」
「アオイくん、討伐は一昨日やっただろう」
討伐を却下する
アオイくんがしょんぼりするが甘やかさない
ギルドに入ると視線を浴びるがすぐに外れる
だいぶ俺たちへの注目も落ち着いたようだ
依頼板を見に行く
俺たちはそれぞれでよさそうなのを確認していく
アオイくんはちょっと拗ねて椅子に座っていじけている
子供かっ!
ギルドには飲食スペースがあるのでそこの椅子に座っている
飲み食いしながら駄弁ってる冒険者もちらほらいた
アオイくんが急に立ち上がって慌ててこっちに来る
「どうしたアオイくん」
「ケ、ケンタ殿、ベンケイ殿!」
「落ち着けアオイ」
「すみません、でも、あそこの人たちの会話が!」
「アオイさん、どうどう」
アンナ、アオイくんは馬じゃないよ
アオイくんが指差してる方向に3人の冒険者が駄弁っていた
特に変わったところのない普通の冒険者たちだ
「あいつらの会話がどうしたんだ?」
「パ、パンティさんの名前が話題に出てました!」
「「マジか!?」」「本当ですか!?」
やっとパンティさんの情報が出てきた!
俺たちは冒険者たちのテーブルへ行く
「こんにちは、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
剣士風の男に声をかける
「ん? なんだいあんたら、って永遠の混沌!?」
うわ、マジで俺ら有名なんだな
見事に顔バレしてるわ、悪いことできねえな
しないけど
「俺たちに聞きたいことってなんですか?」
「パンティという名前の冒険者について教えてくれないか」
「げ、聞かれてたのか」 剣士の男
「ほらみろ、お前が大きい声で話すから!」 弓使いの男
「恥ずかしいなあ」 魔法使いの男
剣士が俺の質問に答えてくれる
5日前、王都で依頼を終えてギルドに達成報告をする三人
飲食スペースでいつものように打ち上げをする
剣士は手洗いに行って戻ろうとしたとき
受付に気になる風貌の怪しい奴がいた
すす汚れたフード付きのコートを着た冒険者
フードで顔は見えない、コートで身体は隠れている
でもカードを提示していたから冒険者だと判断した
受付嬢が更新処理をするときに名前を言った
「パンティ・ストッキングさんですね、、、 パ、パンティ!?」
まあそんな反応になるよね
冒険者は慌てて名前を大声で言わないように受付嬢に頼んでいた
その風貌と名前のインパクトが大きくて剣士の記憶に残る
うん、残るよね
その冒険者は更新完了したらそそくさとギルドを立ち去った
剣士は仲間にそのことを話すがバカにされる
悔しいので受付嬢のところへ連れて行く
受付嬢は恥ずかしがりながらも本当のことだと証言する
なんのプレイだ? ある意味セクハラだな
「その冒険者は男だった? 女だった? 背丈とか特徴は?」
「ちょ、ケンタさん、待ってくれよ」
うわ、やっぱ名前まで把握されてら
有名になるって個人情報駄々洩れになるってことだな
「そいつ、ケンタさんの知り合いか何かか?」
「じつはそうなんだ、ずっと探していたんだよ
だから少しでも情報が欲しいんだ、頼む、教えてくれ」
「頭下げないでくれよ、教えるから」
「ありがとう」
「でも性別も特徴もわからないんだよ
フードとコートで顔も身体も隠れていたからな
背丈はケンタさんと同じぐらいかちょい低めかな
これぐらいしかわからないんだ、すまん」
「いや、こっちこそ談笑してるの邪魔してすまなかった」
背丈が俺に近いとわかっただけでも一歩前進だ
これまでまったくなんの情報もなかったんだからな
それに5日前に王都で更新したならまだいるはずだ
「あの、ケンタさん」
魔法使いが話しかけてきた
「なんですか?」
「応対した受付嬢なら間近で顔を見てるはずです
それにカードを確認しているから性別も知っているのでは」
そうか、そのとおりだ!
受付嬢に聞けばほとんどのことがわかる!
ナイスアドバイス、魔法使いさん!
「ありがとう、助かった!」
思わず両手で握手してしまった
それだけ嬉しいアドバイスだった
「ケンタさん、受付嬢は何人もいるぞ」
「しまった!」
弓使いの言うとおり受付は一人じゃない
「受付嬢の名前はフェルトさんだ」
剣士が名前を教えてくれた
「お前、なんで名前知っているんだよ」 弓使い
「そういやあの受付嬢によく話しかけていたよなお前」 魔法使い
「だって好みだから」 剣士
ナンパかよっ!
でもそのおかげで特定できたから良し
「いい情報とアドバイスをありがとう
こいつで好きなもの飲み食いしてくれ」
5万円を剣士に握らせる
「えっ、いいんですか!? あの程度の情報で」
「充分過ぎる情報だ、受け取ってくれ」
「「「ゴチになりますっ!」」」
これまで手がかりが一つもなかった
でも一気に有力な手がかりが舞い込んできた
俺たちはギルドから出て宿屋に戻る
今日は仕事はなしだ、それどころではないから
「パンティが王都にいるってことだよな」
「ああ、だが5日前だ」
「すでに他へ移動した可能性もありますね」
「でもまだいるかも知れないでござる」
そう、だからさっさと王都に行かなければいけなくなった
だが馬車だと手配と移動で最短2日かかる
スーパーカブだとすぐだが俺しか持っていないし二人乗りだ
「すぐに行きたいけどこの人数だ、どうしよう」
俺とアンナとアオイくんがうーんと唸る
「私に考えがある」
「ベンケイさん?」
そして今、俺とベンケイさんは王都に来ていた
俺とベンケイさんの二人でスーパーカブに乗って王都に来た
ギルドで確認だけでも先に済ませるためだ
「たしかに確認だけなら二人でもいいよな」
「そだぜ♪」
俺は急に情報が舞い込んだため焦って考える余裕がなくなっていた
ベンケイさんは落ち着いて考えていてくれた
ほんと頼りになるぜ相棒!
ギルドに入りフェルトという受付嬢を探す
「フェルトならあの子ですよ」
職員に訊ねて教えてもらう
フェルトさんのところへ向かう俺たち
碧眼赤髪で髪をうなじあたりで束ねている
20代前半ぐらいの受付嬢、ちょっと丸顔
他の冒険者がいたので待機
立ち去ったのでフェルトさんに話しかける
「いらっしゃいませ、ご用件はなんでしょうか♪」
「すみません、ある冒険者が滞在しているか確認したいのですが」
「いいですけど、あなたたちのカードも確認させて下さいね
情報を悪用させないための処置ですので」
さすが王都、セキュリティがしっかりしている
俺とベンケイさんはカードを渡す
「ケンタ・ウロスさんとベンケイ・ムコウズネさんですね
って、永遠の混沌の人たち!?」
わーお、王都にも知れ渡ってるのかよ!
いやギルド間の情報は共有されているから当たり前か
それにバッカーの件は王都でのことだしな
「俺たちのことはいいから」
「あ、そ、そうですね」
「パンティ・ストッキングって名前の冒険者がいるか教えてくれ」
ベンケイさんが聞いてくれる
男の俺が言うよりマシだからな
でもフェルトさんは恥ずかしそうにしている
「5日前にここに来たみたいなんですけど、まだいますか?」
「来たのは知っています、私が受け付けましたから」
水晶板を操作してまだいるか調べてくれる
「まだいますね、滞在リストにあります」
よそへ拠点を移す場合、ギルドで退去手続きをする
滞在リストに残っているなら退去はしていないと言うことだ
「ありがとうフェルトさん♪」
「助かったよフェルト♪」
「なんで私の名前を知っているんですか?」
俺は剣士の男のことを話した
「あの人でしたか情報源は」
やや呆れ気味なフェルトさん
おっと、大事なことを聞き忘れていた
「その冒険者の特徴とか性別とか教えてくれませんか?」
「個人情報ですからそこまではちょっと
その方とはどのような関係なのでしょうか?」
「俺たちとはぐれていた仲間なんだ
ずっと探していてやっと情報が入ってここまで来た」
「フェルト、教えてくれねえか、頼む」
俺とベンケイさんは頭を下げる
「魔女」編開幕です
余談ですがフェルトさんは剣士さんを少なからずとも嫌いではありません
あと三人組には名前があるのでいずれまた出ます




