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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
2 永遠の混沌

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90 おめでとう

ベンケイさんが店にやって来た


「中で待ってりゃいいのに」

「いや個室だから案内しないといかんから」


「ああ、一応動物がいるからな」

「そゆこと」


予約した二階の個室へベンケイさんを案内する

扉を開けて中に入る


「あれ、ベルもいる」

「こんばんはベンケイさん」


「どしたん、元気ないねベル」

「気にしないで」


ベルさんがジト目で俺を見る


「ベンケイさん、ここに座ってね」

「ん? おう、っていいのか?」


ベンケイさんを上座に座らせる


「お待たせしました」


店員がベンケイさんの手前にホールケーキを置く


店員が出て行ってから俺たちは立つ



「「「「誕生日おめでとう♪」」」」 パチパチパチ



クラッカーとかこの世界にはないので拍手だけだ


「え? 誕生日? 私の?」

「そうだよ、今日は7月8日だからね」


「すっかり忘れてたわ!」

「だろうと思ったよ」


「お姉ちゃんおめでとう♪」

「ベンケイ殿おめでとう♪」

「ベンケイさんおめでとう♪」

「ベンケイさん、おめでとうございます」


ベルさんだけテンション低いのは俺のせいだ

すまんベルさん、後日改めて誘うから今日は許してくれ


「ケンタ、お前こういうのよく覚えてるよな、女子かよ」

「相棒の誕生日を忘れるかよ」

「すまん、私、ケンタの誕生日覚えてない」

「ひどっ!」

「なんて嘘だよ、覚えてるよ、9月6日だろ♪」

「なんだよ、へこんだぞー」


ベンケイさんは今日で21歳になった


「でも、みんなありがとうな、嬉しいぜ♪」


照れ笑いするベンケイさん

喜んでくれたようで俺も嬉しい


「ベルも祝ってくれるとは思わなかった

 パーティーメンバーだけでやるだろこういうのって」


「俺たちベルさんには世話になってるからな

 ベンケイさんなんか特に迷惑もかけたし」


「言うなよ、悪かったって反省してるから

 でも迷惑かけた相手を祝うか?」


「色々あったけど嫌ってはいませんからね

 お祝いぐらいしますよ」


「そっか、ありがとうなベル♪」

「どういたしまして」


それからケーキを切り分けて配る

他の料理も次々運ばれてくる

談笑しながら食べていく


「ケンタが忙しなかったのはこの準備だったんだな」

「ああ、驚かせようと思ってな」


サプライズだぜ♪


「そんじゃそろそろ誕生日プレゼントを渡すよ」

「そんなものまで用意するとは、やっぱお前女子だろ」

「こんなおっさんな女子いるかよ!」

「わはは♪」


俺は収納庫から大きな袋を出す


「大きいな、何が入ってるんだ?」

「開けてみてくれ」


ベンケイさんが袋のリボンを解き中身を出す


「お兄さん、なんでこんなものを」

「ケンタさん、女子にこのプレゼントはどうかと」


アンナとベルさんがドン引きだ

アオイくんは知っているから引かない


「すげー! かっけぇ! さんきゅーケンタ♪」


「「これ嬉しいの!?」」


アンナとベルさんがベンケイさんの反応に驚く


「おう、私はこういうの大好きなんだよ!

 ケンタ、私の趣味を覚えてくれていたんだな♪」


「当たり前だろ、相棒だぜ?」


その物体はでっかい熊のぬいぐるみだ

しかし可愛らしさなどは皆無だ

どっから見てもリアルな熊のはく製である

だけど布と綿で出来ているのでぬいぐるみで間違いない!


ベンケイさんはぬいぐるみが好きである

ただし、リアルタイプなぬいぐるみを好む

他にはキモいのとかヘンテコなやつも好きだ


ゲーム時代、ぬいぐるみが好きと聞いたときは女子かと思った

でもそのジャンルを聞いて違うな男だなと思い直した

まあ結局、実際は女子だったのだが


「ではわたしも、どうぞベンケイ殿」


アオイくんも大きな袋を出す


((まさか、、、))


ベンケイさんが袋のリボンを解き中身を出す


「アオイさんまでとは」

「アオイちゃんもなのね」


アンナとベルさんがおまえもかと言う顔をする


「うは! アオイ、いいセンスしてるぜ♪

 いいねえ、この愛嬌のある顔♪」


「わたしもベンケイ殿の好きなものを知っていますから」

「さんきゅーアオイ♪」


リアルなオオアリクイのはく製、ではなくぬいぐるみだ

どこのサユリさんだとツッコむんじゃないよ?


「「こんなのが好きだなんて、、、」」


アンナとベルさんが俺たちをダメな子を見る目で見る

失礼だよキミたち


「気を取り直して、私からのプレゼントですお姉ちゃん」


アンナは長方形の箱を取り出して渡す

どうやら服が入っているようだ


箱を開けて服を取り出すベンケイさん


「うおっ!」

「女子なんだからお洒落して下さいねお姉ちゃん♪」 ニッコリ


ゴスロリだ、黒を基調としたワンピースタイプのゴスロリ服

襟や裾などにフリルも盛りだくさん

胸元に蝶結びをした細めの赤リボン

腰にも赤リボンが巻かれていて後ろで大きい蝶結びにしている

裾周りに蝶結びをした白リボンが等間隔で付いている


「セットでこれもどうぞお姉ちゃん♪」


少し厚底の黒ブーツをベンケイさんに渡す


「アンナ、ベンケイさんにゴスロリなんて嫌がらせか?」

「えー、純粋なプレゼントですよー?」 ニヤニヤ


やっぱ嫌がらせじゃねーか!


「ケンタ殿、大丈夫ですよ」

「アオイくん?」


「アンナさんの嫌がらせは失敗ですから」

「アオイさん、どうしてですか?」


「ケンタ殿は知らないと思いますが、わたしは知っていますから」


「「なにを?」」


俺とアンナはアオイくんの言葉に首を傾げる


「ベンケイ殿は可愛い服とか大好きですから!」


「「そんなバカな!?」」


アンナは嫌がらせのつもりだからそう思っていない

俺は普通にベンケイさんが可愛い服を好むとは思っていない


「さんきゅーアンナ、ゴスロリ可愛いよな!

 ブーツも合っててセンスあるじゃんアンナ♪」


「そんなバカな!」(アンナ二度目)


「なん、、、 だと、、、」


俺は動揺を禁じ得なかった


相棒の俺でさえ知らなかった事実

俺は相棒失格なのか?


ショックで膝から崩れ落ちる


「ケ、ケンタ殿、落ち込まないで!」

「ふ、アオイくんに相棒の座を奪われるとはな、、、」

「なにを言ってるでござるか!?」


「ゲーム時代、ファッションの話をよくしてたんです

 それで知っていただけですから」 ボソボソ


アオイくんが小声で耳打ちしてくれる

たしかに俺との会話でファッションの話題はなかったな

そりゃ知らなくて当然か


俺、復活!! 俺こそベンケイさんの真なる相棒だ!


「くぅっ、まさか好みだったとは」


悔しがるアンナ


「アンナ、祝いなんだから嫌がらせとかやめろよ」

「う、ごめんなさい」

「良いプレゼントだから怒ってないぞアンナ♪」

「ありがとう、お姉ちゃん」

「ベンケイさんが許すならいいか」


ゴスロリ服を嬉しそうに手に取って眺めるベンケイさん

ぬいぐるみはアレで服はソレなのね


「えっと、ベンケイさん、ごめんね」

「ベル?」


「わたしはプレゼント用意してないの」

「気にすんなよ、祝ってくれるだけで嬉しいぜ♪」


ベルさんが俺を軽く睨む

そうです、俺が悪いんです、ごめんなさいです


プレゼント渡しのあとも談笑しながら飲み食いした

ベンケイさんがとても嬉しそうだった

誕生会やって良かった♪






ケンタさんに連れられてベルクカッツェ亭に来ました

もっと雑な食事処に行くと思っていたので意外でした


「二階の個室に行きますよ」


個室!? やっぱり大人のお食事? どうしよう! ドキドキ


部屋に入るとアンナちゃんとアオイちゃんがいました


「ケンタさん、これは一体?」

「じつは・・・・・」


今日がベンケイさんの誕生日だと教えられます

その祝いを一緒にして欲しいそうです


なるほど、祝いますよ?


「ケンタさん、それならそうと最初に言っていただきませんか?」

「え、どうしたの? なんか恐いよベルさん」 ビクッ


怒っていますからね


「二人で食事と思っていたんですよ? それなのにコレですよ?

 ケンタさん、バカじゃないですか? いえバカですよね?

 怒るに決まっているでしょ、このおバカっ!」


「ご、ごめんなさいぃーーーっ!」 土下座


「お兄さん、なにしたんですか」

「ケンタ殿、ベルさんに一体なにを」


わたしとケンタさんでいきさつを説明をします


「「なるほど、バカですね!」」


わたし自身もバカだと思います

浮かれて恥ずかしいったら


そのあとベンケイさんも来て誕生会が始まりました

わたしはプレゼントを用意できていません

知っていたら用意したのに


それも含めて全部ケンタさんが悪いんですからね!






前日、お兄さんからお姉ちゃんの誕生日を聞かされました

翌日、私は広場へ遊びに行くフリをしてプレゼントを買いに行きます


私はお姉ちゃんの好みを知りません

あの性格、言動行動から考えます


装備品でもと思いましたが服屋の前で思い付きます

色々と迷惑かけられたから仕返ししようと考えます


ゴスロリ服とブーツを買いました

普通に考えてお姉ちゃんに似合います

でもきっと本人は嫌がるでしょう

楽しみです♪



誕生会で渡しました

とても喜ばれた


「そんなバカな!」


私の嫌がらせは大失敗に終わった

ある意味大成功?






アンナさんからケンタ殿の伝言を聞きました

ベンケイ殿の誕生会のことです


誕生日、知っていましたが忘れていました

ケンタ殿はこういうところマメです


プレゼント、何にしよう?


ベンケイ殿は可愛い服とか小物が好きです

でもわたしには服のセンスとかないので選べません


なのでベンケイ殿のもう一つの趣味の方にします

ヘンテコぬいぐるみなら選べそうです


ファンシーショップに向かう途中でケンタ殿と出会います

ケンタ殿も同じ考えのようです


「じゃ一緒に行こうか」

「はい♪」


なんだかデートみたいです♪


お店に入りわたしとケンタ殿はぬいぐるみを選びます

ケンタ殿はリアルな熊のぬいぐるみ

わたしはリアルなオオアリクイのぬいぐるみ


「サユリさんかよ!」

「誰ですかそれは?」


ケンタ殿が某ゲームのことを説明してくれました

わたしはそのゲームを知りません

まあゲーム全般に疎いのですが


そして誕生会へ向かいます


私を含めてみんなからのプレゼントはとても喜ばれました


ベンケイ殿、誕生日おめでとうでござる♪

次回から「魔女」編スタートです

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― 新着の感想 ―
サユリさん 私も知らないですが、リアルなオオアリクイのぬいぐるみはちょっとほしいとか思いました。
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