87 リディア・フレンダ 4
真剣に聞いてくるからきちんと答えることにする
「せめて20歳は越えていないと駄目かな」
この世界の成人は15歳だが俺は元あっちの世界の人間だ
だから向こうの倫理観で20歳以上でないと駄目だと考えてしまう
「・・・・・・・・・・」
俯いている、泣いているのかも知れない
変態教師で初恋が失敗して俺如きにも断られる
そりゃ泣きたくもなるよな、ごめん
「20歳ですね、わかりました」
「ん?」
リディアが顔を上げて真剣な顔で俺を見据える
「私は今年の誕生日で15歳、成人です、でも20歳には5年足りません」
「うん? それがどうしたんだ?」
「ならその5年でケンタさんを振り向かせてみせます!」
「なに言ってんの!?」
「今日断られたことは悲しいですけど仕方がありません
まだ私がケンタさんの好みに達していなかっただけなのですから」
おーい、リディアさーん?
「だからケンタさんの好みの女性になるよう頑張ります
5年以内に私に惚れさせるので覚悟して下さい!」
「5年経ったら俺はもっとおっさんになってるよ?」
「些細なことです、それにケンタさんが言ったのですよ
自分が惚れるんじゃなくて相手に惚れさせろ、って」
たしかに言ったけどさ
「私、ケンタさんから見て可愛いんですよね?
お前は可愛いんだから、って言ってましたよね」
「まあリディアは可愛いけどさ」
「ありがとうございます、嬉しいです♪」
でもなあ、5年後なんて他に好きな男できてると思うぞ?
「とにかく今日はデート楽しかったです、ありがとうございました
でも私は諦めません、絶対に振り向かせるので覚悟して下さいね♪」
「はあ、わかったよ、頑張れ」
どうせ5年後には俺のことなんて眼中になくなるだろうしな
「ふふ、頑張りますよ♪」
そして俺たちは高台を下りて屋敷へ帰った
屋敷に到着してスーパーカブをしまう
「夕食時間には間に合ったな」
「そうですね、あ、ちょっとしゃがんで下さい」
「どうした?」
「いいからお願いします」
腹も減って早く中に入りたいから言うとおりにしゃがむ
・・・・・・・・・・・・・ チュッ♡
リディアの顔が近付き俺の唇に柔らかいものが当たる
「・・・・・・・・・んんんっ!??」
「ふふ、少しは意識して下さいね♡」
頬を染めながら屋敷へ入って行くリディア
俺は少しの間固まっていた
前回、左頬にキスされた
今、唇に、キス、された、、、
パトさんに促されて屋敷に入る俺
そのまま夕食、味がしない、ナニ食べたかワカンナイ
風呂に入る、溺れかける
部屋に戻る、悶々として眠れない
リディア、恐ろしい子、、、
手を繋ぎました、まずはここからです
ちょっとドキドキしました
バラのブローチを買って下さいました
大切にします、初デートの贈り物ですから♡
ソースの汚れを拭いてあげたら拭き返されました
これはとても恥ずかしいことがわかりました
腕に抱きつきます、恥ずかしいけど頑張りました
ケンタさんの鼓動が少し聞こえます
少しは意識してくれているのでしょうか
高台に上ります、途中で足が痛くなってしゃがみ込みます
悔しいです、悲しいです、落ち込みます
「石段はあと半分か」
「ごめんなさい、、、」
ヒョイ
「きゃっ!?」
いきなり抱きかかえられました、お姫様抱っこで!
ケンタさん、平然と自然にやってます
多分、本人はお姫様抱っこをしている自覚がないようです
天然って恐い、、、
でも憧れのお姫様抱っこをしてもらえて嬉しいです♡
高台のベンチでヒールを掛けてくれます
回復薬もいただきました
それから沈む夕陽を二人で眺めます
とってもロマンチックです♡
私は今日告白をすると決めていました
この状況で心が昂っています
するなら今しかありません!
私は告白しました
断られました
ケンタさんが女性として見てくれるのは20歳以上だそうです
今は14で今年の誕生日で15になります、そこから更に5年ですか
私は5年以内に振り向かせると宣戦布告しました
諦めませんからね!
屋敷に帰って門前で唇へ不意打ちのキスをします
さすがに少しは意識するようになるでしょう
私のファーストキスなのだから意識してもらわないと悲しいです
ケンタさんは夕食のとき上の空でした
これは意識してくれていますね、嬉しいです♪
みんなでお風呂に入ります
「リディア、どうなったのか聞かせていただきますよ」
今日のことは言う約束で協力してもらいました
なので私は話します、でもキスのことは内緒です
「なるほど、断られましたか」
「でも諦めないことは伝えましたから」
(20歳以上、わたし18だから駄目だ、、、)
アオイさんが落ち込んでいます
ですが自分の恋は自分で解決して下さい
「残念でしたねリディアさん」
「でも根性あるなリディア、気に入ったぜ♪」
ベンケイさんに認められたようです
「ありがとうございます、でも今日は嬉しいことだらけでした♪」
私はお姫様抱っこをされた喜びを語りました
ふふ、アオイさん、シシリー、羨ましいでしょ?
あら? 二人とも平然としています
あ、そうでした、二人とも、、、
「アオイさんもお姫様抱っこされましたものね」
「ええと、気を失ってたから記憶にないけど
みんなは知っているんですよね」
前回来たとき目の前で人が殺されました
アオイさんは気を失い広場のベンチへ運ばれます
ケンタさんがお姫様抱っこをして
「シシリーもでしたよね」
「ええ、馬車から助けていただいたときですわ」
その話は聞いていました
くっ、私が最初ではなかったのが悔しいです
「ええと、じつは私もお姫様抱っこされました」
「「「アンナさんも!?」」」
「お兄さんと出会ったあと戦闘で不覚を取りました
そのとき助けに来てくれたときに抱えられました」
ケンタさん、お姫様抱っこの大安売りは止めて下さい!
はっ、まさか、、、
一同、ベンケイさんを見ます
「私? されてないから安心しろ」
よかった、全員じゃなくて、ほぼ全員ですけど
「ケンタ様、天然が過ぎますわね」
「ですが自然にできるとこは素敵だと思います♡」
「うう、意識がなかったのが悔やまれます、、、」
「気付いたあと抱きしめられたのだからいいじゃないですか」
「あ、あ、あれは、うう、恥ずかしい、、、」
意識が戻ったあとでも震えて青ざめていました
そんなアオイさんをケンタさんは抱きしめて慰めます
私はまだケンタさんを男性として意識していないときでした
今だったらきっと阻止していたでしょう
「無自覚にお姫様抱っこができるなんて呆れますね」
「アンナさん、そこがケンタさんのいいとこですよ」
「リディアさん、お兄さんならなんでもありになってますよ」
いいのです、ケンタさんならなんでも許せてしまいます
「なあ、お前ら、一つだけ言っていいか?」
「なんでしょうかベンケイさん」
「ケンタは無自覚でお姫様抱っこしてねえぞ」
「「「「・・・・・・・・・・え?」」」」
なにを言い出すんですかベンケイさん
あれだけ自然に平然とできるはずがないでしょう?
「ケンタは女性を抱えるときはお姫様抱っこしかしねえぞ」
「お姉ちゃん、なんですかそれは!?」
「そうですわ、わかっててやっているはずがありません!」
ケンタさんをよく知るベンケイさんの言葉です
本当にわかってやっている?
「ですが自覚があってなぜ照れたりしないのでしょう
ケンタさんなら恥ずかしがりそうなものです」
「そうですわ、絶対真っ赤になりますわ!」
「そうですよね、お兄さんが平然と抱けるとは思いません」
「アオイ、お前はわかるよな」
「・・・・・あ、そう言えば」
アオイさんもケンタさんをよく知る人物でしたね
「思い出しました、たしかに女性を抱えるときはそうでした
滅多にそういう場面がなかったから忘れていました
男性だと脇に抱えたり肩で担いだりしてましたね
女性だけ必ずお姫様抱っこをしてました」
なんですかそれは? さすがに理解不能です
「どうしてですの?」
「わたしもわかりません、聞いたことがないから」
アオイさんは理由を知らないようです
「私も不思議だからケンタに聞いたことがある
あれが一番抱えて運びやすいって言ってたぞ」
「お兄さん、頭おかしい」
ベンケイさんが教えてくれます
ケンタさんは女性を乱雑に抱えるのは気が引ける
背負うかお姫様抱っこの二択でお姫様抱っこを選びます
男性は雑に抱えても平気
抱えやすいからやっているだけで特に意識していないそうです
「なぜ背負うのは選ばなかったのでしょう?」
「それな、笑えるぞ♪
背負うと色々密着し過ぎて動けなくなるそうだ
ほら、胸とか顔とか♪」
「「「・・・・・・・・・・」」」
ケンタさん、背負うのは意識するけど
お姫様抱っこは意識しないっておかしいですよ
そのあとはみんななにも言えなくなりました
お風呂から上がって各自の部屋へ戻ります
・・・・・背負ってもらおうかな?
結局、眠れなかった
「おはようございますケンタさん♪」
「おはようございますケンタ様」
「お、おはようリディア、シシリー」
洗面所へ向かう途中で二人に出会う
「今日はリディアと出掛けます」
「わかった、しっかり護衛するから安心して遊べ」
「守って下さいねケンタさん♪」
スカッ
「あら?」
腕に抱き着かれそうだったので躱す
頬を膨らますリディア
「なぜかわすのですかケンタさん」
「なぜ抱き着こうするリディア」
「そんなのケンタさんが好きだからですよ♪」
満面の笑顔で言われた
シシリーが少し呆れ顔だ
「はいはい、じゃ後でな」
「はい♪」
俺は足早に洗面所へ向かった
気持ちは嬉しい、こんなに想われるのは悪くない
でもモテたことがないから困惑してしまう
リディア、ごめんな
おっさんが14歳少女と付き合うのはハードルが高過ぎるんだよ
顔を洗いながら気持ちを落ち着かせる
うん、落ち着いてきた
よし、護衛の仕事を頑張ろう!




