83 ドナドナ
シリウス様とベンケイさんの戦いが終わって野営地に戻る
「これで満足でしょう、もう好き勝手しないで下さいませ」
「あはは、そんなに怒らないでおくれシシリー」
「帰ったら叔母様に報告しますからね」
「そ、それだけは勘弁してくれシシリー」
戻ってシシリーに説教されたシリウス様
姪っ子に弱いようだ
シシリーの叔母さん、シリウス様の奥さんかな?
奥さんも恐いようだ
「それじゃお兄さん、見張りお願いしますね」
「おう」
俺、アンナ、アオイくん、ベンケイさんの順に見張りをする
「私が最後でいいのか?」
「うん、次からはジャンケンに参加してもらうから」
そして今回は滞りなく順番に見張りをしていく
翌日、王都へ向かって進む
今日も俺、ベンケイさん、ヨシツネはスーパーカブだ
「ところでヨシツネって戦闘とかできるの?」
「はい、戦闘形態になれますから可能です」
「ポチャと同じか」
「やっぱり便利だよなスーパーカブ」
「ベンケイさんのも壊れたもんな」
「ああ、ケンタとキャノンボールごっこしてたときにな」
「そうそう俺のも一緒にぶっ壊れたんだよな♪」
「アレは楽しかったぜ♪」
ゲーム時代の話に花を咲かせる二人
そんな他愛(?)もない会話をしながら走らせる
王都東門に着いた
手続きを終えて中に入る
そのままシリウス様の邸宅へ向かう
シリウス・ペンペラン子爵邸に到着
シリウス様は着替えるために自室へ向かう
俺たちはシシリーと共に客間へ案内される
やっぱり貴族の屋敷はでかいなあ
アオイくんは少し緊張している
でも以前よりかはマシな状態だ
「きっと悪いことして儲けてるんだぜ」
「ベンケイさん、失礼ですよ」
シシリーにジト目されるベンケイさん
ベンケイさん、思っててもそれは言っちゃダメだよ
しばらくしてシリウス様が来る
その後ろから20代後半ぐらいの美女も入ってきた
薄い茶髪をアップして束ねている
シリウス様の肩ぐらいの背丈でモデル体型
赤いドレスと簡素な装飾品を付けている
「みんな、護衛してくれてありがとう♪
あと色々楽しかったよ♪」
「叔父様、、、」
呆れ顔のシシリー
「初めまして、私はシリウスの妻、クレープ・ペンペランと申します
此度はシリウスを護衛して下さりありがとうございました」
こんな美人の奥さんがいて羨ましい
くそうイケメンめ、爆発しろ!
「はっはっは、私の自慢の妻だよ♪」
「あなた?」 ギロリ
クレープさんの一睨みで固まるシリウス様
「シシリー、ごめんなさいね迷惑を掛けて」
「はい、あ、いえ、大丈夫です叔母様」
迷惑であると肯定したけど言い直したな
「ふふ、いいのですよ本当のことですから」
「す、すみません、、、」
「酷いなあ二人とも」
「あなたは黙ってて下さいな」 ニッコリ
圧のある笑顔に黙るシリウス様
「それでシシリーはこちらに数日滞在するのですよね」
「はい、と言っても今回は明日、明後日の2日ほどですけど」
「そうですか、では二日間ゆっくりしていきなさいね
護衛の皆さんの部屋も用意させてありますから」
「そうだよ、夕食もみんなで一緒に食べようね♪」
「あなた、少しは反省してますか?」
「し、してますよ」
「シシリー、道中どんな迷惑行為をしたか教えてくれますか」
「ちょ、私は迷惑行為など!」
「護衛の一人のベンケイさんと模擬戦をいたしました」
シシリーは容赦なくバラす
クレープさんが固まる
シリウス様も別の意味で固まる
「あ・な・た・?」 ゴゴゴゴゴ・・・・・
あ、美人の怒った顔、恐い、、、
ベンケイさんもビクッてしてた
アオイくんはフリーズしている
アンナは平然としている
すごいなアンナパイセン
つねられた、勘がいいなアンナ
「あなた、後でお話があります、執務室でお待ち下さい」
「私はこれから出かけようかなあ、なんて、、、」
「お待ち下さいね?」 ニッコリ
「ひゃい、、、」
奥さん、姪っ子、ベルさんと女性に弱いなシリウス様
「では夕食で会いましょう、ごゆっくり」
そう言ってクレープさんは立ち上がる
「あ、叔母様」
「なにかしら?」
「せっかくのおもてなし申し訳ありません
じつは泊まる場所などは別に用意してあるのです
ですからこれでお暇させていただきます」
「あら、そうでしたの?
こちらが勝手に用意しただけですので気にしないで
でも今度は泊まりに来て頂戴ね」
「はい、本当に申し訳ありません」
「ふふ、多分あちらに泊まるとは想定していましたけどね」
「やはり叔母様にはバレていましたね」
「王都に来て貴女があちらに行かないわけがないですもの」
クレープさんはそう言って退室した
この二人、仲良いんだな
お互いを理解し合えている
「シシリー、泊まるとこってどこだ?」
「ケンタ様、そんなの決まっているでしょう」
いや、わかんねーよ
なにを分かり切ったことをという顔をされても困る
アンナとアオイくんはなるほどといった感じに頷いていた
キミたち、わかるの?
「泊まるのはフレンダ男爵邸です」
フレンダ男爵邸?
フレンダ、、、 俺はとある記憶を想い出した
「私の親友、リディアの屋敷ですわ♪」
アンナが乾いた笑顔をしている
アオイくんが顔を手で覆っている
ベンケイさんはどうかしたのかという顔をしている
俺は目が泳ぐ、挙動不審になった
「悪い伯爵の件で名前だけは聞いているけど
そのリディアがどうかしたのか?」
「ええと、それはですねベンケイ殿、、、」 しどろもどろ
「なんだ? もしかしてまだ私に隠し事してんのか?」
「お姉ちゃん!」「ベンケイ殿!」「「ちょっとこっちへ!!」」
「うお!? びっくりした、なんだよ二人とも」
アンナとアオイくんがベンケイさんを連れて行く
「シシリーさんも来て下さい」
「え、はい?」
アンナがシシリーも連れていく
残された俺とシリウス様
野郎二人が沈黙して重たい空気を醸し出していた
シリウス様は俯いてどんよりしている
俺は俺で色々と色々でテンパっている
だってさ、リディアだよ?
ほっぺに、、、 んきゃあ!
顔を両手で覆う俺
どんな顔して会えばいいんだよ!
いや、あれはお礼だとわかってるよ?
でも女の子にあんなことされたことないもん!
どうすればいいのか困るぅっ!!
モジモジウジウジするおっさん
ゆらりとシリウス様が立ち上がる
「ケンタくん、護衛ありがとうね、、、
私はもう行くから王都観光でも楽しんでね」
トボトボと退室するシリウス様
不憫だと思うが俺は自分のことで手いっぱいだ
とてもじゃないが王都観光なんてできません
早く街へ帰りたい、というか逃げたい
客間の向かいの部屋に集まる女子4人
「まだ私に隠していることがあるのかよ」
「いえ、隠し事とかいうほどではないのです」
「ただ繊細な問題なのでござる」
ベンケイを宥めるようにアンナが語る
伯爵の件が片付いて王都から出発するときのこと
そのときにリディアがケンタの左頬にキスしたこと
「・・・・・・・・・・え、ナニそれ」
「ほんとナニそれでござる」
「やばい、面白い、その場面、生で見たかった♪
てかケンタに春が来た! 祝ってやらねえと♪」
「やめてあげて下さい、お兄さん失踪しますよ」
「そうでござる、どこかに引き籠るかも知れないでござる」
「そうですよベンケイさん、リディアも傷付きます!」
「お、おう、悪かった
でもあいつを好きになる子がいて私は嬉しいんだよ
あいつモテたいくせに鈍感で天然だからさ
ちゃんと好意を行動で表さないと気付かねえんだよケンタは
だからそのリディアって子には感謝してるぜ」
「ベンケイさん、リディアの恋の邪魔はしないで下さいね」
「しねえよ、温かく見守るぜ、だけどなシシリー」
「はい?」
「ケンタを弄ぶような子だったら私は許さねえからな」
「リディアはそんな子ではありません!」
「シシリーの親友だからそうかも知れん
でもな、ケンタが傷付くことだけは絶対に許さねえ
それだけは覚えておいてくれ
シシリーがリディアを大事に想っているのはわかる
私がケンタを大事に想っていることもそれと同じなんだ」
「・・・・・そうですわね、覚えておきます」
そして4人は客間へ戻る
少ししてみんなが戻ってきた
「あら、叔父様は?」
「退室したよ」
「では今頃、叔母様に叱られていますわね」
シシリーは馬車の用意を執事に告げる
少しして用意ができたことを執事が報告に来る
「馬車の用意ができたようなので行きましょう」
シシリーは早く親友のところへ行きたいようだ
「おうケンタ、まあ人生色々あらあな」
ポンポンと背中を軽く叩くベンケイさん
アンナたちからあのことを聞いたな?
少し顔がニヤけているよベンケイさん
「じゃ俺はスーパーカブで」
「ケンタ様も馬車に乗っていただきます」
シシリーが逃がさないという顔で俺も馬車に乗せられた
馬車はフレンダ男爵邸へ走る
ドナドナドーナドーナ ケンタを乗せて
ドナドナドーナドーナ 男爵邸へゆくよ
「俺だけ帰ってもいい?」
「「「ダメです!」」」
アンナ、アオイくん、シシリーに却下される
ベンケイさんが困った笑顔で言う
「頑張れ、ケンタ」
次回、恋する乙女との再会




