表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
2 永遠の混沌

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/159

75 再会・ベンケイさん 後編

5日目、なかなか帰って来ないなあいつら


ベルからアンナという子が仲間にいることを聞いている

ガイド精霊上位個体序列一位だからきっと強いんだろうな

ヨシツネがアンナという名前と特徴から教えてくれた


アオイが女なのはゲームのときから気付いていた

ケンタは気付いていないようだったので面白いから黙ってた

アオイと一緒にいるってことは受け入れたようだな

出会ったときどんなだったか聞いてみよう

絶対面白い反応をしたはずだケンタは♪



6日目、あいつらが帰って来ていた


(姫、あれがアンナです)

(なるほど、って隣のおじさん、あのときの人だ)


アンナと一緒にいるからあのおじさんがケンタか

見た目は全然違うが雰囲気はケンタだ

その隣の子が多分アオイだな、クノイチだし


こっちを見ているようなので振り向いてやる

どうせ見た目が違うから私だとわかってないんだろう?


笑って軽く手を振るとケンタが困惑した顔をする

うん、そのオモシロ反応は間違いなくケンタだな


多分、私がベンケイかどうか迷っているのだろう

見た目で判断すんなよ、私がベンケイだと信じろよ

私はお前らのこと迷いなくわかったんだぜ?

お前らも迷わずわかれよ!


悔しいので私がベンケイだと信じるまで黙っとく


訓練場へ行き祭りを始める

割り込みクズ野郎共を倒して挑戦者3組も倒す


祭りが終わってベルと雑談していたらケンタたちが来た

挨拶と名前を言い合うが私は素知らぬ態度で接する


探りを入れる態度が気に入らない

だからまだベンケイだとは明かさない

はっきりと私がベンケイだと確信しろよ!


アンナが食い下がるが正論で迎え撃つ

はい、論破~♪



7日目、今日の祭りを開始する


開始宣言した途端、目の前にアオイが現れる

やべ、笑いそうになった♪


さすが忍者、気配消して待ってたな

でもやっとケンタたちと闘える


祭りの目的の一つ

この世界に来てケンタたちが鈍っていないか確認したかった


てっきり全員でくると思っていたが一人ずつか

それもまた楽しそうだからいいや♪


アオイと闘い、私が勝った

そして約束どおり頼みを聞いてもらう


「アオイ、久しぶりだな」

「えっと、やっぱりベンケイ殿なんですよね?」

「そうだよ、もう確信持ててるだろ」

「はい、固有スキルもアレでしたし」

「てゆーかさ、すぐに確信持てよなあ」

「うう、すみません」


相変わらず弱腰だなアオイは


「それで頼みと言うのは?」

「私の正体は他の奴には言うな、それだけだ」

「うええっ! なぜですか?」


「ケンタ自身に気付かせたいんだよ

 私はお前らのことすぐわかったのに悔しいじゃないか」


「う、すみません」

「しょげるな、とにかく言うなよ」

「はい、頑張ります」


アオイは約束を守る子だから大丈夫だろう

それからストックというプレイヤーと殴り合う

倒せたがさすがに私も倒れた



8日目、完全回復して祭りを始める

ケンタとアンナがやる気のようだ、嬉しいぜ♪


挑戦者を募る口上をすると上空から男が降り立つ

思わずポカンとしてしまった


その男はこの街の領主の弟、貴族様だった

さすがに闘いづらい


私らほどではないがベルが強かった

貴族様がなんだか不憫になってきたので声を掛ける


「おいベル、もう勘弁してあげなよ」

「はあ? シズカさんのせいでもあるんですよ?」 ギロリ

「申し訳ありませんでしたあっ!」


思わず謝ってしまった、だって迫力あって恐かったから

それにベルの言うように私のせいでもある

ベルにはケンタたちに私のことを黙ってもらっている

この祭りの審判も私が無理矢理やらせた

もう謝るしかないよね?


その貴族様は身内に連行されて場は収まった

休憩を挟みアンナと闘い、私が勝った

さすがガイド精霊上位個体序列一位、強かった


約束どおりお願いを聞いてもらう

アンナみたいな妹が欲しかった

私には兄ばかり三人だったからな


「おねえ、ちゃん、、、」

「うっ、わーーーい♪」


強くて可愛い妹、ゲットだぜっ!


そしていよいよケンタと闘う

私は祭りの終了を宣言する


仲間に戻って一緒に冒険するんだから祭りができない

なのでケンタ戦で終了だ


闘いながらケンタは確認していってるようだ

火雷神(ひらいしん)、闘将、固有スキル、私の性格など

そしてようやく私がベンケイだと確信しやがった

どんだけ迷ってるんだよ!


どうやら見た目がギャルだから確信を持てなかったらしい

地毛だよ! 自前の目だよ! ハーフだよ!


それからはゲーム時代と同じように()り合った

私の全力アッパーでぶっ飛ばす

ケンタが気を失って戦闘不能になる

私は勝ったけど仰向けに寝転がる


「うっはー! 楽しかったあーーーっ♪」


観戦者たちも沸き立ち最高の盛り上がりで祭りは終わった

明日からは私もケンタたちと一緒だ♪






意識が戻り目を開ける


「起きましたねお兄さん」

「ケンタ殿、痛いところはないですか?」

「アンナ、アオイくん、うん、大丈夫」


俺が泊まっている部屋だった

治癒魔法と回復薬で怪我も治っていた

ただ疲れすぎたのか爆睡していたらしい


「そうだ、祭りは、ベンケイさんは」

「落ち着いて下さい、祭りは終わりました」

「ベンケイ殿は自分の宿屋へ帰りました」


明日の昼にギルドで会おうと言って去ったそうだ


「そういやここまで誰が運んでくれたんだ?」


そう言うとアンナとアオイくんが一瞬固まる

そしてぷるぷる震えながら笑いを堪えていた


「なんだよその反応は」

「い、いえ、ぷっ、ごめんなさい、ぷぷっ」


アンナよ、なにがそんなにおかしいんだ?


「アオイくん?」

「ご、ごめんでござる、ぷふっ」


アオイくんまでどうしたんだ?


「私が説明させていただきます」

「サスケは笑わないんだな」


笑わないがどこか憐みの目で俺を見ている

なんなのキミたち


「ストックさんがあなたをここまで運んで下さいました」


まあそんなところだろうな大人の男を抱えるんだから力がないと


「それで、その、運び方がですね、、、」


サスケが言い淀む


「お姫様抱っこだったのです」




思考停止中、暫くお待ち下さい




「あはははははははははははははっっっっ!」 アンナ大爆笑

「アンナさん、ぶふっ、笑っちゃ、あははは、ダメですぅ、むふぅ」


アオイくんも笑ってるじゃねーか!


二人は腹を抱えて爆笑する

サスケとポチャが憐みの目を向ける


俺は布団に潜り込む


ストックさん、他の抱え方はなかったのかよ!

なんでお姫様抱っこなんだよっ!


それからアンナにいじられながら夕食を食べる

俺は不貞寝した




翌朝、俺の顔を見るなりアンナが笑う

アオイくんは笑っていないがバツが悪そうにしている


「昼にギルドへ行ってベンケイさんと合流するぞ」

「ベンケイ殿も永遠の混沌(エターナル・カオス)に入ってもらうのですね」

「もちろんだ、そのために探していたんだから」

「どうして黙っていたのかも聞き出さないといけませんね」


アンナの言うとおり黙っていた理由ははっきりさせたい

俺たちに気付いていたのになぜ黙っていたのか

ベルさんにも言わせないようにしていたしな


アオイくんも勝負のあと黙るように言われたそうだ

アオイくんは辛かったろうな、ベンケイさん酷いや



昼になってギルドへ行くと応接室に案内された

ベルさんとギルマスのキットさんも話に加わるようだ


「ケンタ、アオイ、アンナ、黙っててすまなかった!」


全員座った途端にベンケイさんがいきなり謝罪する

先手必勝で謝られたら文句を言えなくなる


「いやまあ、無事に再会できたから良いんですけどね」

「日和ったら駄目ですよお兄さん、きっちり理由も吐いていただかないと」

「そうですよ、わたし黙ってるの辛かったんですから!」


二人の言うとおりだな


「ベンケイさん、話してくれる?」

「もちろんだ」


それからベンケイさんが語ってくれる

ベンケイさんはすぐに俺たちだと気付いてくれた

でも俺たちは半信半疑ですぐに確信しなかった

それで拗ねて確信持つまで黙ることにしたそうだ


「なんかごめん」

「すみませんベンケイ殿」

「拗ねるって子供ですか!」


アンナだけ文句を言う


「ベンケイさんが素直に言って「お姉ちゃん!」ってなんですか!?」


「私のことはお姉ちゃんと呼ぶ約束だろー」

「う、ぐぐ、、、」


ベンケイさんをお姉ちゃんと呼ぶ約束をしたらしい


「ほら、呼んでみそ♪」

「お姉ちゃん、、、」


満面の笑顔になるベンケイさん

よっぽど呼ばれたかったんだな


「とにかく、べ、お姉ちゃんが素直に言わないから大迷惑でしたっ!」


照れながら怒るアンナ

怒られてるのに嬉しそうなベンケイさん


「それで祭りが俺で終わったのって何か意味あるの?」

「そりゃあるだろ」

「そんな当たり前のことのように言わないでくれ」


「ケンタたちにベンケイとわかってもらえたらやめると決めてたからな

 だって私もパーティーに入るから一緒に冒険するだろ?

 そしたら祭りなんてやってられなくなる」


「たしかに」


それじゃあ俺たちが確信しなければ続けていたということか

ベンケイさんに負担を掛けてしまったな


「ごめんなベンケイさん」

「いや私も黙ってたからごめん」


「でもなんで祭りにしたの? 他に気付かせる方法もあったんじゃ」


「ケンタたちが帰って来るまでの暇潰し!」


うわー、酷い理由キター


「ケンタたちと闘いたかった!

 仲間になったらガチ対戦できないからな!」


暇潰しよりはマシだな


「とりあえず色んな奴らと()り合いたかった!

 せっかくたくさん冒険者がいるんだから()っとかないと勿体無い!」


ようは戦いたかっただけなんだねベンケイさん


「ギルドはよく許可しましたね」


「最初は何を言っているのだろうと思いましたよ

 ですがギルドにも利益があると判断しましたので許可しました」


「ギルドにどんな利益が?」


「ギルドに強い冒険者がたくさん立ち寄るようになります

 観戦のついでに依頼を受けていく方たちが増えます

 そうすると依頼達成率も上がり当ギルドの評価が高まります」


「なるほど、ギルド側の事情はわかりました

 でもベンケイさん、ベルさんに迷惑掛け過ぎだろ」


俺たちに黙っているのは辛かっただろう

俺たちがずっと探していたのを知っていたから

うちの仲間が迷惑をかけてごめんなベルさん

後日改めてお詫びしようと俺は心の中でそっと誓った

「闘将」編、終幕です

やっとベンケイも合流できました

永遠の混沌メンバーが着実に揃ってきています

残るはパンティだけですがもう少しかかります

今後もお読みいただけると幸いです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ