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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
2 永遠の混沌

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74 再会・ベンケイさん 前編

神レア武器の火雷神(ひらいしん)、職業が闘将

防御可能だが回避不可の固有スキル

誰が相手でも呼び捨て、懐かしいやり取り


俺は確信した、間違いなくシズカさんは


「シズカさん、あんたは」

「私がなんだい?」


察したのかニヤリと笑うシズカさん



「ベンケイさん、だろ?」



すごく嬉しそうににやけるシズカさん、いや、ベンケイさん


「やっと確信したのかよ、おせーよケンタ♪」


ベンケイさんであることを認めた


「確信持てるわけないだろう

 怪力無双の荒法師がギャルだなんて誰が想像するかよ」


「ギャル? ああこの見た目か

 そういやよく勘違いされてたな」


「勘違いもなにもそのまんまだろ?

 金髪だし、目は焦げ茶色だし、カラコンだろそれ」


「髪も目も自前だよ」

「え? ベンケイさん、外人だったの!?」

「ハーフだよ、母さんがフランス、父さんが日本」


見た目で判断しちゃいかんな

俺だって見た目で判断されて嫌な思いしてきたのに


「そっかー、ギャルだと思われたかー

 ケンタが見た目で決めつけるような奴だったとはなあ」


残念そうに言っているが顔は悪戯っぽくニヤニヤしている


「はいはい、俺が悪かったよ」


ゲーム時代もこんな感じのやり取りが多かった

懐かしい、見た目は違えどベンケイさんだ


「積もる話がいっぱいある、けど」

「いっぱいあるな、だけど」


俺は今、心が高揚している

見た目はまったく違うがベンケイさんと再会できたから

ベンケイさんも嬉しそうだ


「「今は決着を着けようぜっ!!」」


ベンケイさんの固有スキルは1日3回までしか使えない

すでに使い切っているから警戒しなくていい


でも闘将のスキルと火雷神(ひらいしん)がある

俺は距離を取って魔法を放つ

腕が上がらないが放つことはできる


火雷神(ひらいしん)があるから火属性と雷属性は使えない

他の属性魔法を使うしかない


「アイスニードル!」


少し大きめの針状の氷を数十本放つ


「そいやっ!」


薙刀を振り回して迎撃される

その隙にベンケイさんの左側へ移動する


「アースバレット!」


硬質化した石の弾丸を数十発放つ

アイスニードルを迎撃し終わるがアースバレットには間に合わない

そのまま背後に回る


「ストーンブラスト!」


爆発する石つぶてを数発放つ

すぐに右側へ移動する


「ウインド「うおりゃあっ!」」


ベンケイさんの身体が光り、その光が爆散する

アースバレットとストーンブラストを弾き飛ばす

ついでに俺も弾き飛ばされた


闘将のスキル<気合い>だ


腕が使い物にならないから受け身が取れない

地面に叩きつけられ転がる、結構なダメージだ


だが<気合い>もデメリットがある

体力を消耗する


「四方からの連続魔法攻撃は健在だな」


余裕がありそうに見えるが足がフラついている

竜巻破壊と今の魔法回避でかなり消耗しているようだ


俺も満身創痍だがなんとか立ち上がる

次の攻撃が防がれたら俺はもう動けないだろう

だからこの一手にすべてを賭ける


「魔導士っぽくないけど、この拳にすべてを賭けるぜ」


自力で動かない腕を風魔法で動かす

痛いけどやせ我慢するっ!


「いいねえ、なら私も拳で相手するよ♪」

「いくぞ、ベンケイさんっ!」


身体強化最大!


俺は全速力でベンケイさんの懐に飛び込む


「おうっ! 受け切ってやるぜ!」


右拳に最大出力のサンダーを纏わす


「唸れっ! 雷鳴拳(ボルテッカー)!!」


ベンケイさんは拳で相手をすると言ったら絶対に薙刀を使わない

だから雷属性でも通用する!


「ふんぬっ!」 


両腕でブロックするベンケイさん


ドガンッ! バリバリバリ!!


俺の拳の雷撃がベンケイさんの腕に撃ち込まれ流れる


「ぐっ、ぅ、、、!」


苦しそうにうめくベンケイさん

このまま押し切れるか?


ガクンとベンケイさんの身体が沈んでいく

拳と腕が離れる


このまま倒れてくれたら俺の勝ちだ

俺はもう立っているのがやっとで魔力も枯渇状態


沈んだベンケイさんの身体が腰を落とした状態になる

そして少しこちらを見上げる

その顔は苦しそうだが笑っていた


「ぜんっ、りょくっ、あっぷわぁーーーっっ!」


ストックさんを仕留めたアッパーが炸裂する


キレイに俺の顎下を撃ち抜く


俺は宙高く飛ばされた


地面に落ちてそのまま俺は気を失った






やっとオシリペンペン街へやって来れた

きっとここならあいつらに会えるはずだ


「さて、どうやって探そうかな」

「姫、まずは宿屋の確保とギルドで滞在登録をしましょう」

「そうだね、探すのはそれからだな」


私を姫と呼ぶこの狐はヨシツネ、ガイド精霊だ

デリートなんちゃらから助けたら懐かれて契約した

この世界のことや転移のことなど色々教えてくれる



ヨシツネの助言を聞いて宿屋を確保

昼食を食べてからギルドへ向かう


「カードの更新と滞在登録したらどうやって探すか考えないとな」

「ギルドで訊ねればどうですか?」


「そうだったな、つい忘れちまう

 さすがヨシツネ、ありがとうな♪」


肩に乗っているヨシツネを撫でてやる

嬉しそうに目を細めるヨシツネ



ギルドに入ると視線を浴びるが気にしない

受付に行き更新のためにカードを渡す


「更新ですね、カードをお預かりします」

「あと滞在登録もお願い」

「はい、更新と登録が終わるまで少々お待ち下さい」


ニッコリと優しく微笑む受付のお姉さん

ウェーブのかかった金髪セミロングで笑顔が可愛い

ケンタが好きそうなタイプだな


「名前はベンケイ・ムコウズネさん、ランクは、、、 ベンケイ?」


なんだ? 私の名前で動きが止まったぞ


「どしたん?」

「あ、いえ、えっと」


(名前コレだけど女の子だなんて聞いていないわよケンタさん!)


受付のお姉さんが困った顔をする


「私の名前がなにか?」

「あの、お知り合いにケンタ・ウロスさんっていますか?」


いきなりケンタの名前が出て驚いた


「ケンタ・ウロスって奴ならたしかに知り合いだけど?」

「で、ではアオイ・キリガクレさんは?」


今度はアオイの名前が出た

間違いない、二人とも来ているんだこの街に


「二人ともこの街にいるんだよねお姉さん」

「はい、あなたを探しているようです」


そうか、二人とも私を探してくれていたのか

やべ、すげー嬉しい!


「じゃ、じゃあさ、パンティは?」

「パ、パンさんはいません!」


恥ずかしそうに言うお姉さん

パンティって言うのが恥ずかしいのか?

私は全然恥ずかしくないんだけど


「そっかパンティはいないのか、残念

 あ、そだ、お姉さんの名前教えてよ」


「申し遅れました、ベルと言います」

「よろしくな、ベル♪」

「よ、よろしく」(いきなり呼び捨て?)


ベルがポカンとしているがすぐに戻る


「あの、この街に滞在するのですよね?」


「もちろん、あいつらもいるなら尚更だ♪

 ところでケンタたちはどこにいるんだ?」


「今は護衛依頼で王都へ行っています」


あちゃあ、入れ違いかあ


「どのぐらいで帰って来るかわかる?」

「昨日出発しまして一週間ぐらいでこっちに戻ると思います」


昨日? じゃ王都行きの馬車のどれかにいたってことか

たくさんすれ違ったあのどれかにいたのか

まさか私が手を振ったおじさんじゃなかろうな

ありえる、ケンタおっさんくさかったから


「そっか、ありがとうなベル」


私は宿屋へ帰る


一週間か、結構あるな

まあ依頼を受けて暇潰ししながら待つとするか

近場で日帰りでやれる依頼でないとダメだな


一週間より早く帰って来ることも想定する

なので街から離れず毎日ギルドに顔を出せるようにしないと


もしくは街の中で何かやって待っとくとか?

そういやこの街のギルドは大きいから冒険者の数と質もあるよな

あと他のプレイヤーもいる


閃いた! うん、やろう! 絶対楽しい♪


「姫、あまり変なことをしてはいけませんよ?」

「失礼だな、楽しい祭りをやるだけだよ」



翌朝早くギルドへ行く


ギルマスに話があるから取り次いでくれとベルに頼む

困惑しながらもギルマスに取り次いでくれるベル

応接室でギルマスのキットと話し始める


ベルにも立ち会ってもらった

イヤそうな顔をしていた


キットと交渉して祭りの許可を得る

「喧嘩上等!」祭りだ♪


毎日3組の挑戦者と私が闘う

ルールもきちんと決めている


ギルドと冒険者たちは勝手に模擬戦祭りとか言ってやがる

悔しいので看板を作る、文化祭の準備みたいでちょっと楽しかった


早速今日から祭りを始める

挑戦者が殺到する


どうやら私の見た目でカモだと思われたらしい

だけど余裕で3組倒したのを見て翌日から減った

毎日少しずつ減っていった


だからと言って盛り上がっていないわけではない

むしろ観戦者が増えたことで盛り上がっている


私は午前中は街中でできる簡単な依頼をこなす

昼から祭りをやるという日々を過ごす



そうだ、せっかくだからケンタとアオイを驚かせてやろう

キャラとリアルがまったく違うからすぐには気付かないだろう

少しからかってから正体を明かそう

絶対面白い反応をするはずだ♪


「ベル、頼みたいことがあるんだけど」

「祭りの審判だけでもイヤなのにまだなにか?」

「怒るなよ」


「はぁ、それでなんですか?」

「ケンタたちには私がベンケイだと言わないでくれ」


「え? ケンタさんたち、あなたを探しているんですよ

 さすがに言わないのは心が痛みます」


「ごめんな、でも頼むよ」


私は両手を合わせてお願いする


「でもあなたを見かけたら一発でバレるでしょう?

 数年会っていなくても顔見知りなんですから」


ベルは私たちがゲームキャラでしか会っていないことを知らない

そもそもゲームとか異世界転移してきたなんて知らないしな

こういうときに誤魔化すための嘘は考えてあるので問題ない


「私の見た目がかなり激変しているからわからないと思うんだよ」

「激変? そんなに違っていたのですか?」


「ああ、当時は髪も短く男の子のような恰好をしていたんだよ私

 背も今より低く、髪も今は金髪だけど少し茶色がかっていたんだ

 私を少年だと勘違いしていたから否定せずそう思わせておいた」


「姿はともかくなぜ性別を偽ったのですか?」

「その方が面白かったから♪」


ベルが微妙な顔で引いていた


「見た目が変わっても気付いてくれることを期待してるんだよ

 だから頼むよ、あいつらが気付くまで黙っててくれ」


私は頭を下げてお願いする

小さくため息をついて了承してくれた

ようやくベンケイと再会しました

いやもう最初からバレバレでしたけどね

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