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7 チュートリアルボス

どんよりとした朝が来た


辛い、起きたくない、でも依頼受けたからなあ


好青年キャラではなくリアルおっさんだと判明した


「しょうがない、この姿で生きていくしかないんだよな」


俺はまだ気持ちの整理がつかないが起きることにした

溜め息を吐きながら装備を着ける


勝手にナビが起動した


「何だ?」


『ステータスの表示条件を達成致しました

 ステータスを閲覧出来るようになりました』


なるほど、ちゃんとナビが自動で報せてくれるんだ

でも達成条件って何だったのだろう?


もしかしたら訊けば答えてくれるのかも


「達成条件は何だったの?」


『自身の姿を確認することです』


俺は四つん這いになってガックリとうな垂れる

自分がリアルであることを認識することが条件だったんだね

こんなことならもっと早く風呂に入ればよかった

精神ダメージがさらに追加された


「まあそれはそれとして、ステータスを確認しとくか」



[ステータス]

名前 ケンタ・ウロス

真名 佐藤健太

年齢 30

性別 男

職業 魔導士

レベル 1



俺はベッドに潜り直した


身体はリアルで名前がキャラネームかよ!

しかもリアルネームが真名って何だよ!

キャラネームなのに年齢はリアルかよ!

職業は変化なしだからそこはいいよ?

でもレベルが、レベルが1になってる!?

俺のレベルは893だったんだぞ!


もうわけがわからな過ぎて頭の中がぐちゃぐちゃだ


しばらくベッドの中で丸くなりボケっとしていた


少し落ち着いてきて強盗と戦ったときのことを思い起こす


俺のアイスシールド、よく考えたら破壊されるはずがなかった

短剣に炎をまとってもレベル差があれば防げたはずだ

レベルが893ではなく1だったからだろう

すなわち全能力値がレベル1の状態になっているからだ


畑でもそうだ

コツがあるとは言えカブが重く感じた

筋力値がレベル1の状態だったからだ


このステータスで考えればすべての辻褄が合った


色々迷った、考えた、そして決意した


レベルはまた頑張って上げればいい

当面は戦闘とか厳しいだろう

でも俺には知識と技術がある

これはレベルには関係がない

俺自身が11年間頑張って身に付けてきたものだ

それを活かしてやっていこう

所持品と所持金は丸ごと持って来れている

これだけはマジで助かった


クヨクヨしていたって仕方がない

俺はベッドから出て身形を整える


「30歳、レベル1から成りあがってやる!

 FPOを新規プレイすると思えばいいだけだ」


俺はベータ版からプレイしていたんだ

最初はレベル1だったんだ

だが知識や技術があるから有利にプレイできる

よし、やってやるぜ!


少し遅くなった朝食を食べて集合場所へ向かう


レベル1に戻ったことはショックだったがもう落ち着いている

逆にFPOを最初からプレイできることにワクワクしていた




「おう、ケンタおはよう」

「おはようございますガバスさん」

「チケットです、今日はよろしく」

「よろしくチケットさん」


ガバスさんとチケットさんが迎えてくれる


「えっとガバスさん、昨日はすみませんでした」

「何だ? 何も謝られることはなかったが?」

「俺、本当は30歳です、すみません」


鑑定とかでいずれバレるだろうから正直に訂正しておく


「何だやっぱりか、でも気にするな

 若く見られたい気持ちはわかるからな」


見られたいと言うか若いつもりだったのですよ


「それじゃ他の冒険者を紹介しよう」


俺の他に三人の冒険者が参加することになっている

その三人の前へ連れて行かれる


「俺はミッドだ、よろしく」

「ケンタです、よろしく」


ミッドは20前後ぐらいの男性

ボサボサの赤髪でブラウンアイ

よくある少年漫画の主人公タイプ

鉄の剣を装備している


「わたしはライツ」

「わたしはレフティです」


ライツとレフティは女性でミッドと同じく20前後ぐらい


ライツは短い茶髪で黒目

小柄で明るく活発な感じがする

短剣を腰に装備している


レフティは腰に掛かる長い銀髪で蒼眼

三人の中では長身で細く優しい雰囲気がある

杖を持っていて補助系の魔法使いのようだ


「もしかして三人はパーティーなのか?」

「よくわかったなおっさん」

「ちょっとミッド、失礼でしょ」

「う、悪りぃ、ケンタ」

「呼び捨てもダメでしょ!」

「わかったから怒るなよレフティ」


レフティが諫めるが俺がおっさんなのは事実なので何とも言えない


「ごめんねケンタさん、口は悪いけど許してあげてね」


ライツがフォローしてくる

なるほど両手に花のうらやまパーティーか!


「俺たちは同じ村の出身でパーティー組んで冒険してるんだ」


しかも幼馴染だと? うらやまけしからん!


「それでケンタ、さんの職業は何だ?」

「ケンタでいいよミッド、俺は魔導士だ」

「話のわかる良い奴じゃないかケンタ♪」

「ミッド!」

「いいじゃん、ケンタがいいって言ってるんだから」

「気にしないでいいよ俺も他の人を基本呼び捨てだから」

「そうですか、すみません」


レフティはお姉さん気質だな


「でも魔導士なら助かるな、あ、俺は剣士だ」

「そうですね、わたしは補助系だから攻撃魔法は苦手なのです」

「わたしは拳闘士で接近戦型だしね」


まあ悪くはない組み合わせだ


「盾役がいないね」

「今回は私が盾を担うから安心してくれ」

「ガバスさんが?」

「私の職業は騎士だ」

「何で自警団やってるんだよ」

「ステータスの職業と実際の職種は別だろ」

「まあそうだけど」

「私は回復を任せてもらいます」


チケットさんは僧侶だそうだ


でもこのメンツならここのボスは余裕で倒せるな

最初のボスだから大して強くない

いやFPOだから厄介な能力を持っているけどね

俺が知っているから対処できる


「戦略や連携に関わるからレベルを教えてもらえるかな?」


俺はレベル1だから足手まといだと思われるだろう

でも大事なことだからみんなにレベルを聞いておく


「「「「「レベル?」」」」」


「何その反応」


「レベルって何だよケンタ」

「ステータスにそんなものありませんよケンタさん」

「聞いたことないなあ」

「私も知らないぞケンタ」

「私もです」


ステータスはあるがレベルがない?

どういうことだ?


「ステータスに書かれていないのか?」


「ステータスには名前、年齢、性別、職業が基本情報として書かれている

 あとは称号と固有スキルを所持していたら書かれるぐらいだ」


ただのプロフィールじゃん

あれ、体力とか魔力とかの数値は?

そういや俺のステータスにも能力値の表示が無かった

どうなってるんだ?


「ええと、能力値は書かれていないの?」

「ケンタ、何言ってるんだ?」

「能力値って何ですか?」

「そんなの書いてないよ」


ますますわからん

おっと、変な目で見られている

疑問は尽きないがここは誤魔化しておこう

ボス戦の前にこの空気はダメだ


「いやーごめんごめん、俺の勘違いだよ

 寝付きが悪くて夢で見た事とごっちゃになってたよ」


笑って適当に誤魔化す


「何だよ紛らわしいな」

「変な夢を見たんですね」

「でもちょっと面白いね」


何とか誤魔化せたようだ




それから俺たちはレンシュウ草原へやって来た


「もうすぐ魔物が出現した場所へ着く」


ガバスさんが警戒を強めるように指示を出す


FPO最初のボスが出現する場所を俺は知っている

だからここはまだ大丈夫

ボスエリアはあと20メートルほど進んだところだ


エリアに入る前にストップをかけようと思う

そこで戦闘準備を促してからエリアに入ろう


きっと俺は舐めプしているのだろう


この後、思い知ることになる

やっと名前付きの女性キャラが出て来ました

おっさんだらけでしたからね(ケンタ、ウォーリー村長、ガバス、チケット)


ステータス関連の疑問点はいずれ知ることになります


次回、やっとボス戦です、訴えないで下さい(予防線)

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