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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
2 永遠の混沌

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68 シズカ無双

モヒカンパーティーは前衛後衛に10人ずつ分かれる

前衛の10人が一斉にシズカさんを襲う


「その腐った根性、叩き直してやる」(ボソボソ)


シズカさんは薙刀を使わず素手で挑む


「バカが、この人数に素手かよ!」

「言ってろ」


一番近い奴から順に殴る、殴る、殴る、、、、、


「なっ、なんだと、、、」


得物が届く前に10人とも顔面をクリーンヒットされる

10人全員ワンパンダウン


決してアオイくんやアンナのように速いわけではない

動きはたしかに速いが躱せないほどではなかった

だけど放った拳は完全クリーンヒット

躱せないほどモヒカンたちがザコ過ぎたのか?


「どうする、まだやるか? 降参するか?

 もうお前ら10人だけになったぞ」


「10人? 俺たちは20人だぜ」


倒された10人が立ち上がる

クリーンヒットしたのに効いていなかったのか?

ダメージは少なかったのか?


違う、飲みやがった、回復薬を


「回復薬か、とことん根性が腐ってるな」

「おいおい、回復薬を飲んじゃいけないってルールにはなかっただろ♪」


ルール無視しているお前らが言うな


「はあ、わかったよ、いくらでも飲みな」

「いいのかよ、じゃ遠慮なくそうさせてもらうぜ」(やっぱバカだコイツ♪)


これではいくら倒してもキリがない

長期戦になればシズカさんの体力が先に尽きるぞ

まあそうなったら割り込むけどな


回復した前衛がまた一斉に襲いかかる


「こっちも遠慮はなしだ」


シズカさんは薙刀を持つ


「お、ついに武器を使うか? でもいくらでも回復するぜえ♪」


「回復できるならやってみろ」


正面にいた男の両腕を斬り落とす


「へ? ぎゃあっ! いで、いでぇぇぇっ!!!」


両腕がないので倒れても受け身が取れない

起き上がれない、なにより回復薬を飲めない


残りの9人の両腕も斬り落としていくシズカさん

男たちはみっともなく泣き叫ぶ

うん、地獄絵図だ


「ほら、回復薬飲んだらどうだ? 手がないから無理だろうけどな

 残ったお前らが飲ませてやるか? もっともさせないけどな」


薙刀を構えるシズカさん


「待て待て! 模擬戦だから殺しはなしのはずだぞ!」

「殺してないよ、腕斬り落としただけだ」

「いやいや、出血多量で死ぬだろ」

「そうさせないためにギルドの医療班を待機させてある」


ギルドの医療班が待機している

というかすでに倒れている10人の治療を始めていた


「言っておくが治療されてる時点で退場だからな

 戻って参戦したらお前らの敗けだ」


「うぐぐ、、、」 ギリギリ


悔しそうに歯軋りするモヒカン


「どうした、来ないのか? なら」


シズカさんの方から向かっていく

リーダーのモヒカン以外の9人の両腕を斬り落としていく


そして薙刀を置く


「これでサシだ、お前は拳で根性叩き直してやる」


ファイティングポーズで構えるシズカさん


「バカがっ! 俺は武器を使うぞ!」


両手に短剣を持つモヒカン


「好きにしろ」(ボソボソ)


短剣を巧みに使い襲ってくるモヒカン

だけどその短剣はシズカさんに届かない

届く前にシズカさんの拳が顔面にクリーンヒットする


「全力パンチ!」 バゴォッ!


その技名はどうかと思うよ


だが最初と同じで全てのパンチが顔面にクリーンヒット

モヒカンの実力からしたら躱せそうな速さだ

なにより顔面に来るとわかっているのに躱せない

もしかしてシズカさんの固有スキルの効果とかなのか?


「こいつがラストの、ぜ・ん・りょ・く・ぱーんちっ!」


ズバァンッ!


腰の入った見事な右ストレートでモヒカンの顔面を撃ち抜く

ぶっ飛び転がるモヒカン


少しだけピクピク痙攣して動かなくなる


「・・・・・あ、シズカさんの勝利です!」


ベルさん、審判の仕事忘れてたよね


ギャラリーから大歓声、沸き立つ訓練場


モヒカンたちにざまあみろとか言う声も聞こえる


シズカさんが一呼吸する


「聞け、お前ら! 今日は特別に再戦を受けてやった!

 だが今後は一切受け付けない! そのつもりでいろ!

 それでもやりたい奴は場外乱闘だ! 外でいつでもかかってこい!

 だが場外乱闘では容赦しない! 死んでも文句は言わせないからな!

 おっと、死んだらなにも言えないか」


場内が静まり返る


だけどすぐに大歓声に変わる


シズカさんすごいな

ギャルだからと偏見持ってた自分が恥ずかしくなってきた


そうだな、風貌は関係ない、シズカさんには漢気がある

ベンケイさんかも知れないと俺も思い始めている



それからシズカさんは約束通り3組のパーティーと戦った

もちろん全勝だ


「強いねシズカさん」

「そうだな」


ストックさんも感心している

俺も心が熱くなっていた


「よし、明日は俺も参戦しよう!」


ストックさんがやる気になっている


「ケンタさんは参戦しないのか?」

「俺はもう少し観戦するよ」


戦ってみたいと言う気持ちはある

でもその前にベンケイさんかどうか確認したい



ストックさんと別れて俺たちはシズカさんのところへ向かう


シズカさんはベルさんと話していた

仲良いなこの二人


「初めましてシズカさん」

「お? 初めまして、誰さん? あ、もしかしてあのときの人かな?」

「はい、王都と街の街道で会いました」

「あのときのおじさんか♪」


そうだね、ギャルから見たらおじさんだよね


「私はシズカ、おじさんたちは?」

「俺はケンタです」

「私はアンナです、よろしくです」

「わたしはアオイです」


「ケンタにアンナにアオイね、よろしくな♪」


俺とアオイくんの名前に反応なし

ベンケイさんじゃなかったのか?

やっぱり都合良くいかないか


「それで私になんか用なの?」

「単なる挨拶です、特にはありません」

「元気ないね、どしたん?」


ベンケイさんじゃなかったのが残念だっただけです


「あの、シズカさん」

「なんだいアンナ」

「シズカさんはベンケイさんですか?」


すげーなアンナ、迷いなく聞けるなんて

そこにシビ(以下略)


「ベンケイ? なんのことだ? 私はシズカだよ?」


ベンケイと言う名前にも反応なし

やっぱり違ったのか


「すみませんがギルドカードを拝見させていただけませんか?」


食い下がるアンナ

たしかにカードの名前を確認すれば一発だ


「はぁ、駄目だよアンナ」


小さくため息をつくシズカさん


「何を知りたいのかわからないけど

 個人情報をおいそれと見せるわけがないだろう?」


正論である


「、、、はい、すみません」


さすがにアンナもこの正論には反論できないようである


「落ち込まないでね

 でもなんでも聞けば答えてもらえると思ったら駄目だよ」


「はい、、、」


正論の連続攻撃にアンナが撃沈


「ところでケンタたちは参戦しないのか?」

「明日も観戦しようかなと」

「そうか、いつでも参戦してくれよ♪」

「ああ、そのときはよろしく」

「じゃ私は帰るね、また明日な♪」


シズカさんは帰って行った


ベルさんはいつのまにか業務に戻っていた

逃げたな


俺たちも宿屋へ帰る



「本人はベンケイさんではないと言っている

 俺には嘘なのか本当なのかわからない」


「カードを見せてくれませんでしたし

 隠す理由はわかりませんけど私はベンケイさんだと思います」


「アオイくんは?」


「断言はできませんけど、わたしもベンケイ殿だと思います

 相手が誰でも名前を呼び捨てだし、性格も似ています

 それに武器が薙刀なのもベンケイ殿と同じです」


たしかにそうだな


「ベンケイさんだとしたらなぜ言ってくれないのだろう?」

「わたしのようにキャラと違うから言えないとか」

「ベンケイさんはそんなこと気にしないと思うよ」

「そうですよね、ベンケイ殿はそういう方ですよね」


結局のところ本人が正体を明かさない限りわからないと言うことだ


「当分は観戦しながら様子を伺おう」

「それしかありませんね」


アンナも半ば諦めぎみだ




翌日、昼になったのでギルドへ向かう

すでに 喧嘩上等! の看板が置かれていた


「昨日は最初にケチを付ける奴がいたけど今日はいないよな?

 ようし、それじゃあ始めるぜ!

 喧嘩上等っ! かかってこいやー!」


その口上、毎回やるんだな


「挑戦したい奴、訓練場の中央まで来い!

 いつもどおり早い者勝ちだ!」


宣言した瞬間、もう誰かが中央に立っていた

早いな、誰だよ? って、いつの間に?


アオイくんだった






シズカさんがベンケイ殿かも知れないけど断言できません


ベンケイ殿はケンタ殿と年齢が近いと思っていました

シズカさんはわたしと同じかちょっとだけ上の年齢だと思います


ただ、ベンケイ殿が女性だとは思っていました

ゲーム時代、コスメやファッションの話をよくしてくれましたから

他にもどこそこのブランドとかショップがとか言っていました

わたしはお洒落に興味がないので聞いてもよくわかりませんでした

パンティさんと盛り上がっていたなあ、懐かしいなあ

おっと、懐かしんでいる場合じゃありません


確認するために戦おうと思います

戦いのクセとか直接ぶつかれば本人かどうか見えてくるはずです


「喧嘩上等っ! かかってこいやー!」


口上が述べられて挑戦者を募ります


「挑戦したい奴、訓練場の中央まで来い!

 いつもどおり早い者勝ちだ!」


早い者勝ちです、だからわたしは先手必勝の策を講じました

すでにわたしは中央に立っています、みんな驚いています


気配と音を消して口上前からここに立っていたのです

挑戦者を募る言葉と同時に姿を見せました


ちょっと(かなり)卑怯かも知れません

他の挑戦希望者さんたちには申し訳ありません

それでも譲れない戦いがあるのです


「早いな、って、アオイかよ」

「はい、挑戦させていただきます」


「てっきりお前らはパーティーで挑んでくると思ってたよ」

「サシではいけませんか?」


シズカさんが真剣な顔で私を見る


「私程度なら一人で充分と侮っているわけじゃないよな?」

「昨日の戦いを見ていたのに侮るわけがありません」

「それならよかった♪」


モヒカンパーティーを含めて19連勝中

ましてやベンケイ殿かも知れない相手を侮るわけがありません


わたしの後の二組は一旦離れます

シズカさんとわたしだけが中央に残ります


ベンケイ殿かどうか確認させていただきます!

次回、シズカ vs アオイ

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― 新着の感想 ―
シズカさんかっこいい。そして(ボソボソ)が気になる。
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