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6 俺

新しい朝が来た


時の運クエストの報酬はお金である

13時間もやらされて死ぬ思いしたのにショボいと思うだろう

全然ショボくないのだよ

だって100億円貰えるんだから


ついでだからFPOの通貨について語っておこう

FPOの通貨単位は円だ、日本円なのだ

だからリアルのこの世界も円である


ファンタジーなのに日本円というとこがFPOの運営らしさだ

金貨とかも存在するけど換金用アイテムである



朝食を食べながらラストクエストについて考える

これは別名・村長クエスト


村長からの依頼を達成させないといけない

依頼内容は固定なのでランダム要素がない

そしてクリアしない限り他の場所へは行けない


リアルだから無視して他へ行けるとは思う

でも逆にリアルだからこそ無視できない内容なのだ


やらないとこの村が滅びる

さすがにリアルで村一つ潰されるのを間近で見たくない


食べ終わったから村長のところに行くか


「おはよう」


昨夜の自警団のマッチョが来た


「おはようございます」

「すまないが一緒に来てもらえないだろうか」

「昨夜の事情聴取とかですか?」


村長のところへ行かないといけないのに


「いやそれは必要ない」

「では何の用ですか?」

「村長のところへ来て欲しいんだ」


行き先同じかよ


「私はガバスだ、よろしく」

「あ、俺はケンタです」


ガバス、某雑誌のチケットみたいだな


「村長からケンタを連れて来てくれと頼まれたんだ」

「わかりました」


すでにラストクエストが発動しているようだ

村長宅へ行ったら依頼をされるのだろう

もちろん受けるつもりだ



村長宅に到着


「よく来てくれたケンタ」

「村長さん、俺に用事って何ですか?」

「お主は魔法が使えるようじゃの、冒険者だったのか?」


昨夜の件で俺が魔法を使えることを知ったようだ


「はい、冒険者です」


「冒険者ケンタに指名依頼をしたい

 じゃが小さい村じゃからギルドがない

 だけど頼む、依頼を受けてくれぬか」


冒険者への依頼は基本ギルドを通すものである

しかしこの村のようにギルドがない場所もある

その場合は冒険者と直接交渉することが認められている


「依頼内容を聞いてから決めます」


俺は依頼内容を知っている

でも簡単に引き受けない

きちんと相手から依頼内容を聞いてから決める

そうしないと正しい交渉が出来ないからだ


「村の近くにあるレンシュウ草原は知っておるか?」

「はい」

「そこに強力な魔物が棲み付いたのじゃ」

「なるほど、それを倒せと?」

「うむ」

「だけど俺一人じゃ勝てないかも知れませんよ」


魔物の情報など色々知っているから勝てるけどね


「この村に出入りしている冒険者たちにも依頼を出しておる

 じゃが依頼料が少ないからと受けてくれる者が少ないのじゃ」


この村の財政力だと依頼料はどうしても低くなるのだ


「受けてくれたのは何人ですか?」


ゲームではプレイヤーがパーティーを組んで各組ごとに挑戦していた

リアルだからこの世界の冒険者たちと組まないといけない

ゲームではNPCとパーティーを組むことがなかったからな

こういうところがゲームとの差異だ


「三人じゃ、お主が受けてくれれば四人になる」


最初のボス戦なら丁度いいパーティー人数だ


「報酬はどのぐらいですか?」

「一人あたり10万円と魔物の素材をお主たちで分け合ってくれ」


最初のボス戦だからそんなものだろう


「わかりました、その依頼受けます」

「おお、ありがとうケンタよ」

「自警団からは私とチケットも同行して援護する」

「チケットって誰?」

「昨夜、私と一緒にいた細身の男だ」

「ああ、あの人か」


ガバスとチケット、ガバスチケット、、、 色々と酷いな


「討伐は明日じゃ」

「明日の朝に他の冒険者たちと合流して村を出る」

「わかった、じゃ準備しておきます」


装備もアイテムも収納庫から出せばいいだけだからゆっくり休むか


「ところでのうケンタ、言い難いんじゃが、、、」

「何ですか?」


はっきり物言う村長が言い難いって何だろう?


「お主、臭うぞ」

「へ?」


え、俺、臭いのか? 村長、ヒドくね?


「すまんケンタ、私も思っていた」

「ガバスさんまで!?」


「ケンタよ、お主、風呂には入っておるか? 服は洗っておるか?

 合流する冒険者の中には女性もおるから嫌がられるぞ」


そういやこの世界に来てから風呂にまだ入っていなかった

もちろん衣類も洗濯などしていない

そりゃ臭うよね


「同年代の私でも毎日風呂には入っているぞ

 若くなくても身形はきちんとするべきだ」


ちょっと待てガバスさん、同年代って20歳ぐらいなのか?

この人どう見ても30代だよ?


「ガバスさん、同年代ってあなた何歳ですか?」

「32歳だが? ケンタも30か同じぐらいだろう?」

「俺は20歳だ!」


「「ええっ!」」


村長とガバスさんが声をそろえて驚く

イケメンではないが20歳ぐらいのキャラメイク

凡庸だけど好青年キャラに頑張って仕上げたんだぞ

決して老け顔ではない

俺の口調とか態度がおっさんくさいせいなのか?

だとすれば気を付けないと


「うむ、本人がそう言うのであればそうなのじゃろう、すまぬ」

「そうか見た目で判断してはいかんな、すまなかった」


あれえ? 見た目で30代と判断されたってこと?

俺のキャラメイクは失敗していたのか?


「まあ何にせよ風呂には入って服もキレイにしておいてくれ」

「そうじゃの、そこは頼むぞケンタ」

「ええ、まあ、はい、、、」


俺は村長宅を出て宿屋へ帰る


二人とも酷いよな、誰が30代だよ!

まあ臭いのは俺が悪かったけどな



宿屋に帰ってすぐに俺は風呂へ入ることにした


風呂の脱衣所である物を発見する

それはこの世界では初めて見つけた

前の世界にもあったものだがこの世界では初見だった

村役場、村長宅、商家でも出会えなかった

どこかにあったかも知れないが気付かなかったのだろう

宿屋でもこの脱衣所以外では見掛けていない


それは姿見、鏡である


そして俺は自分を映した姿見を見て愕然とした


「俺じゃねーかっ!」


いや自分を映しているから俺なんだけど


ケンタ・ウロスではなく佐藤健太がそこに映っている

ゲームキャラではなくリアルの俺が映っていた


ゲームキャラの姿で転移したものだとばかり思い込んでいた

リアルの、中の人の佐藤健太で転移していたとは思ってもいなかった


何処から見ても30歳の俺だ、おっさんだ

俺が20歳だと言ったときガバスさんと村長が驚くのも当たり前だ


商家の店員も宿屋の看板娘もまったく俺を意識しないわけだ

あんな若い女子がこんなおっさん意識するわけがない


「ふ、ふふ、ふふふ、、、」


これまでの行動や言動が走馬灯のように脳裏に浮かぶ

畑でクネクネ、商家でカッコつけ、ああああああ、、、

オッサンが、このっ、おっさんがあっ!

恥ずかしすぎるぅぅぅっ!!


俺は10分ほどうな垂れていた


フラフラと風呂に入り一生懸命キレイにした


お湯を頭から被り目から落ちる濁流を一緒に流していく


風呂から上がり新しい服を着る


夕食を食べずベッドに潜って静かに眠る


消えたい、、、、、

ケンタはやっとキャラではなくリアルの自分だと気付きました

FPOの世界だからキャラの姿だと思い込んでいたのです

ずっと自分は20歳ぐらいの好青年だと疑わず行動していました

実際は30歳のおっさんが若ぶって行動していたのです

看板娘も女性店員も意識するはずがありません

それどころか若ぶっている姿に若干引き気味


作品は基本ケンタの一人称視点です

皆様も20歳の好青年キャラのイメージで読んで下さっていたと思います

是非、転移後のあたりから30歳佐藤健太のイメージで読み返して下さい

最初に読んだときより違った感じに見えると思います


そしてこれからが面白くなっていきます(自画自賛)

これからもお読みいただけると嬉しいです、宜しくお願い致します


次回、さらにケンタは苦悩する

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[一言] 最初から読み返してみました。まさかの現実姿での転移…Ww
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