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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
2 永遠の混沌

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56 決戦前夜

三人組を雇ったやつはすでに逃げたようだ

多分こういう馬鹿をいいように捨て駒にしているのだろう

バカ伯爵め、思っていたより面倒くさい相手だな


「そいつは逃げたようだ」

「ちっ、やり損かよ」


「そもそも連れて行っても金貰えないかもだろうが」

「マジか!?」

「なんてこったい!」

「くそ、騙された!」


ほどなくして警備兵たちを連れてアオイくんが戻る

三人組は警備兵たちに連行されていった


「アオイさん、助けていただきありがとうございました」

「いえ、油断して危険に晒して申し訳ないです」



アンナたちと合流して俺たちは広場から移動する


「それで色付きの点はどういうことですかお兄さん」


「お前らにあげた装飾品に探索補助魔法<GPS>を付与してある

 それでナビに表示されるようになっている

 まあ10キロ以上離れたら表示されないけどな」


「このブレスレットに・・・・・」

「そんな魔法が・・・・・」

「このネックレスから魔力が感じられたのはそれで・・・・・」

「まさかそんなことをしていたなんて・・・・・」


お嬢様方がピタリと立ち止まり各々の装飾品を見ながら呟く


「どうかしたのか?」


黙りこくる4人、そして



「「「「さいっっ、てぇーーーっ!!」」」」



「えええっ!?」


「ケンタ様、クズですね」

「お兄さん、殴る価値すらありません、呪われろ」

「ケンタさん、乙女心を弄ぶなんて酷過ぎます!」

「・・・・・ケンタ殿の、恥知らず、、、」


アオイくんにまで悪口言われた!?


「な、な、なんだよう! 俺が何したって言うんだよ!」


「女子の居場所を把握しようなんていやらしい!

 ストーカーですかお兄さん!」


「最低です、最悪です、ケンタ様はクズの極みです」

「ケンタさんがそんな方だったなんて裏切られました」

「リング、嬉しかったのに、、、 酷いです」


「ちょ、誰がストーカーだ! クズの極みってなんでだよ!

 このおかげでリディアを助けることができたのに?」


アオイくん以外の三人は罵声を浴びせてくる

アオイくんは悲しそうにしょんぼりしている


俺そんなに悪いことしたか?

そりゃ勝手にやったことだけど役に立ったじゃん!

リディアを助けることができただろ?


「とりあえずあなたが悪いので謝った方がいいですよ」

「サスケ、俺、そんなに悪いことしたか?」


「役には立ちましたが問題はそこではありません

 彼女たちにとって大事なことを踏みにじったことです」


「肉にドクをぬってくれたようなものだよー」


ポチャにまで諭された、例えがわかり辛いけど大体わかった

せっかくのプレゼントに余分なものを付けたってことだ

純粋にプレゼントだけにして欲しかったのだろう


うん、俺が悪いのはわかったよ

でもみんな言い過ぎじゃね?


「えっと、勝手に魔法付与してごめん

 だけどみんなを守るためにしたことなんだ

 それだけはわかってくれ、本当にすまなかった」


俺は平謝りする


「魔法解除するから一旦渡してくれ」


「ふう、もういいです、謝ってくれましたし」

「そうですね、リディアを救ってくれましたし」

「これからは気を付けてくださいねケンタさん」


誰も渡してくれない

解除しなくていいのか?


「アオイくんもいいのか?」

「はい、このままでいいです」


(よく考えたらケンタ殿と繋がってるとも言えるし)


「ケンタ殿、その、恥知らずなんて言ってごめんなさい」

「いや、実際恥知らずだと思うし」


「アオイさん、甘やかしてはいけませんよ!」


シシリーよ、お前が一番罵倒していたんだぞ

俺のおっさんハートはボロボロだよ?


とりあえず女子たちには許してもらえた

付与した魔法も解除しなくていいそうだ


女心はわからない、わからないから彼女いないんだけどな

しまった、自爆した、心が痛い、、、



昼食後、王立図書館へ行く


俗っぽい書物から小難しい書物まで揃っている

お嬢様たちは読書タイムを満喫する


王立と名乗っているだけあって警備が厳重だ

さすがにこんなところにあんな男たちは来ないだろう

もちろんもう油断しない、しっかり護衛を果たす


「アンナさん、こちらも面白いですよ」

「シシリーさん、冒険小説が好きなんですね」

「アオイさん、このロマンス小説はお薦めです」

「えと、その、護衛中なので、、、 でもちょっとだけ」


ダメだ、俺しか護衛がいない


「リディアさん、こんにちは」

「せ、先生!? こ、こんにちは」


リディアに声を掛ける先生と呼ばれた男

リディアは学園に通っているからそこの教師か


20代前半ぐらいの眼鏡をかけた優男

長身だがそれなりに筋肉が付いている

いわゆる細マッチョと言うやつか

別段イケメンと言うわけでもなく普通だ


「お友達ですか?」

「はい、みなさん私の友人です」

「図書館にみんなで集まって勉強会でも?」

「い、いえ、ただの読書会です」

「そうですか、息抜きも大切ですからね」


リディアが緊張しているの初めて見た

相手が学校の先生だからかな

俺も学生時代は先生が苦手だったなあ


「御挨拶が遅れました、私はイスト・リゲムと申します

 これからもリディアさんと仲良くして下さいね

 彼女は頑張り屋さんで無理するところもあります

 みなさんが支えて下さると安心です」


「せ、先生! そんなことみんなに言わないで下さい!」

「リディアさん、図書館ではお静かに」 クスリ

「す、すみません、、、」


チラリと俺の方を見て


「ところでこちらの方は?」

「私たちの護衛をして下さっている方です」

「なるほど、最近は物騒ですからね」


ニッコリ笑って握手を求められた


「リディアさんたちをしっかり守って下さいね」

「はい、任せて下さい」


「それでは私はこれで失礼しますね

 リディアさん、休み明けにまた学校で」


「はい、また」


先生は去って行った


「リディアさん、あの先生笑顔が嘘っぽいですね」


おいアンナ、失礼だろ、俺も少し思ったけどさ

リディアの学校の先生なんだから言い方考えろよ


「アンナさん、失礼です! 先生は良い人ですよ!

 勉学も武芸も努力をいつも重ねていらっしゃる方なのです

 生徒思いで優しくて素敵な先生なのです!」


「そうなんですね、ごめんなさい」

「わかっていただければいいのです」


「なるほどリディアさん、好きなんですね先生が」 ニヤニヤ

「ア、ア、アンナさん!?」 真っ赤


なるほど、あの緊張は好きな相手だったからか


「まあ、リディアったら好きな方がいらしたのね

 親友なのに言ってくれないなんて悲しいわ」


「シシリー、からかっているでしょ、、、」

「ふふ、慌てるリディアなんてなかなか見れないですもの♪」


図書館と言うことを忘れて女子トークが弾む

俺は居た堪れない


司書さんに叱られて女子トークは終了


男爵邸へ帰還する



今夜も男爵様へ報告をする


「今日はリディアか、連日手を回してくるとは」

「これからも隙あらば何かしてきそうですね」

「はあ、困ったものだ」


証拠がないから手の出しようがない

相手は伯爵、格下の男爵様では何もできない

もちろん冒険者の俺たちもできるわけがない


「明後日にはシシリーが街に帰るので俺たちもいなくなります

 そしてオシリス様にお返ししたら護衛は終了です

 そうなると俺たちは守ることができなくなります」


「残念だけどそうなるね」


ずっと二人の護衛を続けることなどできない

それに街と王都に分かれているから守れても片方だけだ

何か手はないものか


「証拠がないなら動かぬ証拠を作ってしまいませんか?」

「アンナ、何を言っているんだ?」


「あえて攫わせて相手の懐に入り込むのです

 そこを押さえれば言い逃れはできません」


「アンナさん、それはシシリー様を攫わせると言うことですか?」

「大まかに言えばそういうことです」


「おいアンナ! いくらなんでもそれは無いだろう!」

「それはダメですよアンナさん」

「そうですよ、シシリー様を危険に晒すなど」


「シシリーさんは攫わせませんよ」

「まさか、リディアを?」


男爵様が不安そうな顔をする


「リディアさんも攫わせません」

「アンナ、どういうことなんだ?」


「私がシシリーさんに変装して攫われます」


なるほど影武者か

アンナとシシリーは背格好が同じだからな


「ですがそれだとアンナさんが危険では」

「アンナは俺たちの中で一番強いから大丈夫ですよ」

「強いかも知れませんが敵地へ一人と言うのは・・・」


「心配していただきありがとうございます

 そうですね、作戦について説明させていただきます」


それからアンナは影武者作戦の説明を始める

男爵様と俺とアオイくんはそれを真剣に聞いた



「なるほど、わかりました

 ただ相手の出方によって状況が変わることもあります

 危険と判断したらすぐに撤収して下さいねアンナさん

 アオイさんとケンタさんもですよ」


「はい、そうさせていただきます」

「わかっています、無理はしません」

「その作戦、俺が一番安全圏のような気がするけどね」



執務室から出て部屋へ戻る


「シシリーさんとリディアさんには私たちから説明しておきます

 お兄さんは明日のために準備しておいて下さい」


「おう、そっちも任せたぞ」

「うう、少し緊張してきました」


アンナとアオイくんはリディアの部屋へ行った

サスケとポチャも説明を聞いていたので一緒に準備する


「サスケ、アオイくんとアンナを頼んだぞ」

「言われなくても主だけは絶対に守ります」


そこはアンナも含んでやってくれ


「ポチャ、頑張ろうな」

「うん、僕頑張る!」


元気いっぱいだ


準備と打ち合わせも終わりさっさと眠る


明日はバカ伯爵と決戦だ!

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