表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
2 永遠の混沌

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/159

55 連日の襲撃

ネックレスを嬉しそうに眺めるアンナ


「どうした、着けないのか?」

「そういうとこですよ、お兄さんのダメなところは」


プレゼントしてなんでダメ出しされないといかんのだ


「こういうときは男性が着けてあげるものですよ♪」


シシリーがからかうように言う


「はい、着けてくださいお兄さん♪」


アンナがネックレスを渡してくる

しょうがないので着けてやる


「ふふーん♪ 着けるときドキドキしましたかー?」

「するか!」


本当はちょっとだけドキドキした

くそう、ネックレスはやめておけばよかった


「あとはアオイさんだけですね」

「うう、緊張しますぅ、、、」


アオイくんに袋を渡す

緑のリボンを解いて中から白い小箱を取り出す


「お兄さん、その箱は、、、」

「ケンタ様、まさか、、、」

「ケンタさん、いきなり過ぎでは、、、」


お前ら何を言っているんだ?

物が小さいから箱に入れているだけだぞ


「ケ、ケンタ殿、コレ、本当に拙者に?」


アオイくんが何かすごい動揺している


「そうだよ、箱の中にあるから出してみなよ」

「は、は、はひ、、、」


なんでそんなに緊張してるんだ?


箱を開けると中にはリングが入っている

魔力でサイズが調節できるリングだ

薄く金色の模様が刻まれた4ミリ幅の銀色のリング

飾りに極小の碧の魔石が埋め込まれている


箱に収まっているリングをずっと見ている

そしてキョドっているアオイくん


「どうしたアオイくん、指にはめてみなよ」

「え?」


キョドりが止まった


「お兄さん、本当にダメな人ですね、はぁ、、、」


大きいため息をつくアンナ


「ケンタ様がはめてあげる場面ですよ」

「え、なんで?」


シシリーに うっわ、最低! と言う目で見られた


「ケンタさん、乙女心をもう少し理解して下さい」


リディアにまでダメ出しされた

何なんだよもう、乙女心なんて知らないよ


「せ、拙者、ケンタ殿にはめて欲しいでござる、、、」


アンナにネックレスを着けてやったのと同じことなのかな?


「わかったよ」


箱を受け取りリングを取る


「手を出してアオイくん」

「は、は、はひぃ、、、」


また緊張してキョドりだした


アオイくんは恐る恐る左手を差し出す

俺は人差し指にリングをはめる


「うえっ!?」


アオイくんが固まった


スパーン!


「いてっ!」


アンナに後頭部を叩かれた


「何すんだ!」


「「「それはこっちのセリフです!」」」


三人に言葉を返された


「ここまで朴念仁だとは思いませんでした」

「ケンタ様がここまで駄目な方だとは、はあ、、、」

「ケンタさん、本当に乙女心を勉強して下さい!」


本当に何なのキミたち、泣くよ?


「ケンタ殿、ありがとうございます、、、」

「ん? おう」

「えっと今回は残念でしたけどこの指輪、大事にしますね」


照れながら笑うアオイくん

残念って何がだろう?


「そうか、それは嬉しいよ、贈った甲斐がある」

「はい、わたしも今はこれで充分です」


大事そうに指輪に触れるアオイくん

見ろ、アオイくんは喜んでくれているじゃないか

まったくお嬢様方は何なんだよ


(アオイさんに免じて許してあげましょうかね、ふぅ)

(アオイさん、文句言ってもいいのですよ)

(アオイさん、健気です、、、)


お嬢様方がブツブツ何か言っているが聞こえない

プレゼントしてこんな扱いされるのは解せぬ



男爵邸へ帰って風呂と夕食を済ます

シシリーとリディアは部屋でくつろぐ


俺たち護衛組は男爵様へ今日の報告をしに執務室へ行く


「暴漢ですか、白昼堂々やってくれますね」

「やってくれるって、どういうことですか?」


シシリーの父、オシリスの書簡を見せてくれた

男爵様がそれに付け加えて色々話してくれる


どうやらただの誘拐事件ではなく黒幕がいたらしい

そいつはこの王都にいるバッカー伯爵なのだそうだ

理由も自分勝手な怨恨と言うからくだらない


「色々と酷いですね」

「でしょう?」

「今日の暴漢もそいつの差し金と言うことですか?」

「証拠はありませんが十中八九そうでしょう」


たしかに他の客もいたのにシシリーを真っ直ぐ襲ってきた

だとすると、あの騎士はやっぱり・・・・・


「明日からも遊びに出掛けるようですがどうしましょう?」


「二人には自由に遊ばせてあげたいのです

 大変でしょうけれど守ってやっていただけますか?」


「もちろん、それが護衛の役割ですから

 それにクソ伯爵如きに怯えていたら何もできませんからね」


「頼もしいですね、宜しくお願いします」


クソ伯爵がどんな手を使ってくるかはわからない

だけど絶対守り抜いてやる



俺たちは部屋へ戻る


「今夜からリディアさんの部屋で私とアオイさんも寝ますから」

「ケンタ殿、すみません」


シシリーとリディアからの申し出らしい

依頼主の申し出だから仕方がない


「いいよ、そもそも男女別にした方がいいだろ」


サスケは不満そうだが我慢している


明日もお嬢様たちを守らないといけない

黒幕がわかっただけでも収穫だ

でも気を引き締めていこう




翌日、俺たちは広場にやって来ている

子連れとかペットを連れて来ている人が多い


「そーれ、取って来なさいポチャ」


木の平皿を投げるシシリー

定番のフリスビー遊びだ


昨夜シシリーにアンナがフリスビーの話をしたらしい

それで興味を持ったらしくやることになった


「サスケは取りに行ってくれないのかしら?」

「私はやりません」

「残念ですわ」


シシリーはフリスビーが気に入ったようだ

ちなみにポチャとサスケが喋れることは二人に教えてある

最初は驚いたがすぐに受け入れた

順応力の高いお嬢様たちだ


他の人には黙っていてくれる

こういう秘密の共有とかが楽しいらしい


「取ってきたよー♪」


ポチャが帰って来る


「それではまた行きますよ」

「シシリー、次は私の番ですよ」


シシリーとリディアが交互にやっている

たまにアンナが混ざる

アンナもフリスビーを気に入っているからな


アオイくんはサスケを撫でながら眺めている

たまにリングを見ながら微笑んでいる

そんなに喜んでもらえるとプレゼントした甲斐があったな

俺も嬉しくなる


「ふう、少しはしゃぎ過ぎました、休憩します」

「ではここからは私の独壇場ですね」

「私もやりますよシシリーさん」


リディアはあまり体力がないようだ

シシリーは元気いっぱいだ


リディアは木陰のベンチに座って休憩する

今日は陽射しが強いから木陰は涼しいだろう


「あっ!」


スコーン! 「がはっ!」


フリスビーが俺の額に直撃した


「ごめんなさいケンタ様、手元が狂いましたわ」

「気を付けてくれよ、いてて」

「なるほど手元が狂ったと見せかけて・・・・・」

「こらそこ、企むな!」


まったく、アンナめ


ふとベンチの方を見るとリディアがいない


「まさか!? アオイくん!」

「へ? は、はい!」


俺もアオイくんも油断していたようだ

アンナは遊びに夢中だし、護衛失格だろ俺たち!


「くっ、すみません、油断しました」

「大丈夫だ、探索を使う」

「でも探索ではどの点が誰なのかまではわかりませんよ」

「ちょっとした細工がしてあるからな」

「細工?」


「まあ見てな、探索!」


ナビが自動起動してマップが表示される

そこに生体反応の点が表示される

広場には人や動物がたくさんいるのでどの点が誰なのかわからない

だが通常、白い点だけだが青と赤と緑と黄色の点があった

青、赤、緑、黄色は各1つずつで他は全部白

ちなみに黒い点もあるがそれは探索使用者の点、つまり俺だ


「白以外の点が表示されるなんて初めて見ました」


アオイくんが驚いている


「黄色はアンナ、赤はシシリー、緑はアオイくん

 そして青がリディアだ、見つけた!」


「え、どういうことですかお兄さん」

「説明は後だ、リディアを助けるぞ」

「そうですね! 行きましょうケンタ殿」

「アンナとポチャはシシリーを守っててくれ」

「わかりました」

「りょうかいー」


俺とアオイくんとサスケは青い点のあるところへ走る


リディアを抱えている男を発見!

他に二人の男がいた

三人とも昨日の暴漢と同じような奴だった


バッカー伯爵め、連日仕掛けてくるとはな

いいクズっぷりだぜ、バカ伯爵って呼んでやる!


アオイくんがリディアを抱えている男の足にクナイを投げ刺す


「ぎゃあっ!」 ドサッ


男が転んでリディアを落とす


「何してんだよ」

「げ、護衛が来やがった」


俺たちに気付くが遅い

俺は左側の男の腕を掴む


「ファイア」

「あちぃっ!」


腕を軽く燃やす、すぐに火は消してやるが大火傷だ

火傷を負った腕の痛みで地面でのた打ち回ってる


「くそ、くそっ!」


アオイくんに短剣を振り回す右側の男

しかしアオイくんに当たるわけがない

軽く足を引っかけクナイの柄で当て身を喰らわす

男は気を失う


ロープで三人を近くの木にグルグル巻きにしておく

アオイくんに警備兵を呼びに行ってもらう


「リディア、大丈夫か」


リディアは眠らされていた

状態異常回復で起こす


「、、、ん、、あれ? 私、、、」

「気が付いたかリディア」

「ケンタさん、そうだ、私いきなり何か嗅がされて!」

「ああ、それをやったやつらはご覧のとおりだ」


木に縛り付けられている三人を指差す


「また攫われてしまったんですね私」

「今回はすぐに助けられたけどな」

「そのようですね、ありがとうございます」

「アオイくんにも言ってやってくれ」

「アオイさんも来てくれたんですね」

「でもごめんな、護衛なのに俺たち油断してた」

「いえ、私もケンタさんたちの近くで休憩すればよかったのです」


さて、警備兵が来る前にもう一仕事だ


「おいお前ら、誰に頼まれた」

「はあ? 知らねえ奴だよ」

「あのベンチに座っている子を攫えって頼まれただけだ」


「そいつはどこにいる」

「だから知らねえって」

「連れて行けば金くれるっていうからやっただけだ」


「どこへ連れて来いって言われた?」

「この先の広場の出入り口までだよ」

「サスケ、見て来てくれ」

「仕方がありませんね」


サスケが確認しに行くが怪しいやつはいなかった

どうやらこっちの状況を把握していて逃げたようだ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ