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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
2 永遠の混沌

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53 暴漢と騎士

シシリー、リディア、アンナ、アオイくんが店に入っていく

離れて見守っている俺は入らない


いや、入れない、入りたくない、だって女性用の服屋だから


店の中で離れて女子を見ていたらアウト

近くにいても場違い感MAX


下着とかも売っているのに入れるかこんちくしょー!


かと言って店のそばで待機もできない

女性用の服屋の近くで突っ立っているおっさん

はい、通報


女の買い物は長い

というわけで俺は店から離れて他で時間潰しをする


さっき見掛けた魔道具店に向かう






わたしたちは服屋に入ります

今回は護衛なのでアンナさんに買わされないはずです


「ケンタ殿は入らないのですね」

「アオイさん、お兄さんがこの店に入ることはできませんよ」

「何故?」

「この店は女性用の服や下着を売っているのですよ」

「・・・・・理解しました」


この店は貴族向けの高級店です

ブランド物が多くお値段もお高い


「アオイさん、なぜ目を手で隠しているのですか?」

「アンナさん、値札を見たらわたし死んじゃいそうです」

「そんなバカな」


さっき値札見たら息が止まりそうになったもん

何あの値段信じられない


わたしとは違いシシリーちゃんとリディアちゃんは楽しんでいました

お互いに似合いそうなものを選び合っていました


「最近は装飾の少ないものが流行っていますね」

「派手なものより私はそういうのが好きです」

「リディアはもう少し煌びやかな服も着るべきですわ」

「シシリーの要望でもお断りします」


シシリーちゃんとリディアちゃんはあれこれ物色していきます

わたしとアンナさんは付いて行くだけ


シシリーちゃんとリディアちゃんが別の棚を見に分かれる

アンナさんはシシリーちゃんに付いて行きます

わたしはリディアちゃんに付いて行きます


「あの、アオイさん」

「なんですか?」

「目を塞いだまま歩くと危ないですよ」

「大丈夫です、忍者ですから」

「意味がわかりません」


わたしもわかりません


ゴツン


「・・・・・・・・・・」

「アオイさん、、、」


低い棚の角に膝をぶつけてしまいました

痛いです、あまりの痛さにうずくまってしまいました

リディアちゃんがオロオロしています

わたしは護衛なのに情けない


「やっぱり目を塞ぐのは止めた方がいいですよ」

「そうします・・・・・」






「こちら試着可能かしら?」

「はい、ではこちらへ」


シシリーさんは店員に試着室へ案内されます

試着室へシシリーさんが入ります

私は試着室の前で待機です


「あの、アンナさん」

「なんですか?」


入ってすぐに声を掛けられる


「中に入って下さい」

「なぜです?」

「えっと、その、手伝って下さい」

「手伝う?」

「着替えるのを手伝って下さいませんか?」


一人で着替えられないそうです

普段から侍女が着替えさせてくれているそうです

今回は侍女を連れて来ていません

それで私にお願いしているのです

仕方がないので着替えさせてあげます


「・・・・・・・」

「アンナさん? どうかしましたか?」

「いえ、なんでもありません」


シシリーさんは身長も体型も私と変わらない

なのに私よりお胸が大きいです

服を着ているときは気付きませんでした

大きいと言っても巨乳とかではないです

ただ、私より、大きい、と言うだけです!


「悔しいので後でお兄さんに八つ当たりします」

「アンナさん、何を言っているの?」






アオイさんは目を塞がず歩くようになりました

精神的に参ったのかトボトボしています

護衛なので私から離れず付いて来てくれます


助かります、ですが、、、


「あの、アオイさん」

「なんでしょう」

「少しだけ一人で見たいので待っていてもらえませんか」

「さすがに離れるわけには」


そうですよね、護衛なのですから


「どうしてもダメですか?」

「ごめんなさい、ダメです」


アオイさんは真面目な方だとケンタさんに聞いております

やはり護衛として離れるわけにはいかないのでしょう


「仕方がありませんね、今日は我慢します」

「何か見たいものがあったのですか?」

「はい」


また今度来たときにでも見ることにしましょう


「わかりました、ここで待っています」

「え、いいのですか?」


「リディアちゃんの邪魔をしたくはありません

 でも探索で位置確認だけはさせてもらいますね」


「ありがとうございます」


仕事に真面目だけど融通が利かないわけではないようです

私は一人で見たかった場所へ移動します


下着売り場です

同性でも恥ずかしいのです


色とりどりの下着が並んでいます

シンプルなのから派手なものまで種類が豊富です


私はその中の一枚に釘付けです

黒いレースのショーツとブラ


派手な服は好きではありませんが下着は別です

私がこういう下着が好きなのをシシリーも知りません

乙女の秘密です


あっちの赤いのも情熱的でいいですね

白地に金の刺繍を施しているのも素敵です

目移りしてしまいます


あの方はどのようなものが好みなのでしょう

ダメですね、こんなはしたないことを考えては


反省しつつ黒いレースの上下を購入します

そしてアオイさんのところへ戻ります






リディアちゃん、ごめんなさい

やっぱり心配なので気配を消して付いて来ました


まさか下着売り場が見たかったなんて思ってもいませんでした

しかもそんなセクシーなの買うなんて想像もつきませんでした


一人で見たいって言うのは恥ずかしかったんだよね

見てしまってほんっとーに、ごめんなさいぃ、、、


それにしても14歳なのにあんなの履くの?

わたし18だけどあんなの履く度胸ないよ

リディアちゃんじゃなくてリディアさんと呼ぼう


最後にもう一回心の中で言わせていただきます

見てしまって本っ当に申し訳ないでござる!


わたしはさっさと元の場所へ戻る

そして何事も無かったようにリディアさんを待つ


「お待たせしました」

「おかえりリディアさん・・・」

「アオイさん? どうかしましたか?」

「いえ、なんでもないでござる」

「?」






魔道具店から戻って来たけどまだ出て来ない

女の買い物が長いのは本当だったようだ


あ、出て来た

アンナがこっちを見る

俺がちゃんといるかどうかの確認だろう


距離を保ちつつ付いて行く

なんだかストーカーになった気分だ


なんとも小洒落たお素敵カフェに着いた

ティータイムでもするのだろう

俺も小腹が空いた、でもあんなカフェには入れない


白を基調とした建物

派手さはなくシンプルで落ち着いた造りだ

そのカフェテラスで優雅にお茶する女子4人


おっさんは離れたところで眺めておくよ

いいもん、ポチャがいるから寂しくないやい!


ポチャは俺と一緒にいる

サスケはアオイくんのそばにいる

気配を消しているようで店員には見つかっていない


ん? 何だあの男

このお素敵カフェに似合わない男が一人入っていく

よれよれのシャツにくたびれたズボン

髪はボサボサで無精ひげ


いかんいかん、見た目でどうこう思ったらダメだ

それを俺自身が痛感したばかりだろ

すまんな名も知らぬ人よ


でもあの風貌でお素敵カフェに乗り込めるとは度胸あるな

このカフェの客層は若い女性が多い

しかもみんなお洒落している

俺はそんな店に入る度胸はない


少しして飲み物がお嬢様方のテーブルに運ばれてくる

アンナのやつ、ケーキも注文してやがる

くそう、俺も食べたいぞ


談笑しながら飲み食いしていらっしゃる


さっきの男がカフェテラスに出て来た

キョロキョロしている、挙動不審だな

シシリーたちを見て、一直線に向かってくる

左手に短剣を持っていた


「くそっ、ヤバい奴かよ!」


俺とポチャはダッシュでカフェテラスへ向かう

距離があるから間に合わないだろう

でもアンナとアオイくんがいる!

ついでにサスケもいる!


男が短剣を持った左腕を振り上げる

シシリーを狙っている

アオイくんが投げたクナイが左腕に突き刺さる

左腕を押さえて痛がる男

すかさずアンナが鳩尾に一撃を喰らわす

突き飛ばされて後方に転がる男


「よし、おかげで間に合った」


俺はカフェテラスの低い柵を飛び越えて男を押さえ付ける


「間に合っていませんよ、遅いですよ」

「しょうがないだろ離れてたんだから」


そこへ三人のイケメンが来た

イケメンが多いな、俺への当て付けか?


「暴漢を捕まえていただき感謝します

 後は我々が連行しますのでお任せ下さい」


金髪碧眼で長身の男

警備兵と違い立派そうな鎧を着ている


「あんたは誰だ?」


「私は王国騎士団第四分隊所属のマーデラと言います

 巡回中に騒ぎを聞きつけやって参りました」


そういや王都の警備は騎士団員が巡回しているんだったな

だけど聞きつけてからには来るのが早いな?


「それじゃ後は任せました」

「はい」


なんかこいつ気に入らない

別にイケメンに嫉妬しているわけではないぞ

ニコニコしているが目の奥が笑っていない

腹に一物も二物も抱えていそうな奴だ


「大丈夫かシシリー」

「はい、アオイさんとアンナさんのおかげで」

「お兄さん、離れ過ぎです」

「仕方ないだろ、近くにいたら社会的に抹殺されそうだし」

「どこまで卑屈なんですか!」


そんなバカなやり取りをしていると


「うわ、こいつ、暴れるな」

「どけー、ぶっ殺してやる!」


さっきの騎士をすり抜けてこっちに向かって来る

右手に短剣を持っていた


俺とアンナとアオイくんがシシリーの前に立っている

さっき俺たちにやられたのに学習能力がないのか?


だが


ズシャッ! 「ぐあっ!」


斬られた、あの騎士が背後から男を斬った

男は苦痛と驚きと動揺などの入り混じった混乱した顔をする

そして怒りの形相で騎士の方に振り向く


ズバッ! 「ふ、ぐっ!」


振り向いた瞬間、止めの一太刀

そのまま男は地べたへうつ伏せに倒れ込む

うつ伏せに倒れた男の背に剣を突き刺す


ドスッ!


すでに死んでいるから男は何も言わない


ドサッ


俺の背後から音がする

振り向くとアオイくんが倒れていた

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