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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
2 永遠の混沌

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51 護衛依頼

でっかいお屋敷の客間に俺たちはいる

サスケはアオイくんの頭の上、ポチャはアンナの膝の上だ


ここは領主邸、ペンペラン伯爵の邸宅だ


「お待たせいたしましたケンタ様」


シシリーがリディアと一緒に入ってくる

続いて領主様も入ってくる


「本日は御招待いただきありがとうございます」


俺たちは立って挨拶をする

俺とアオイくんは緊張してカチコチである

アンナは平然としている

その度胸にシビれる! あこがれるゥ!


「楽にしてくれ、ケンタたちは客人だ」


領主様たちが座って、俺たちも座る


「ケンタ様、アンナ様、アオイ様、改めてお礼を申し上げます

 リディアを助けていただきありがとうございます」


シシリーは深いお辞儀で礼を言う


「いや、依頼を受けて仕事をしただけだから」

「ほとんどチェリーさんがリディアちゃんを守っていましたし」

「私たちは雑魚しか倒していませんから」


よく考えたらチェリーさんだけでなんとかなっていたと思う


「それでも依頼を受けて救出に向かって下さいました

 お礼を申し上げるには充分でございます」


「わかった、その礼は受けておくよ」

「ありがとうございます」


「私からもお礼を申し上げます

 私のためにシシリーのために動いていただきありがとうございました」


リディアからの礼も受け止める


「娘とリディアのために尽力してくれてありがとう」


領主様まで頭を下げる


「それでは報酬をお受け取り下さい」


小切手が置かれる

この世界には小切手が存在する

これをギルドへ持って行けば換金できる


「ん? 桁が違わないか?」


「少なかったですか? 申し訳ありません

 ですがこれが私の自由にできる金額の範囲内なのです」


依頼を出したのはシシリーだからシシリーの自腹である


「それでしたら私もお出しします」


リディアが申し出る


「いやいや違うよ、少なくないよ

 逆だよ、多過ぎるんじゃないかってこと」


「多すぎる、ですか? 本当ならもっと出したいぐらいです

 大事なリディアの命には代えられませんから」


「そうかも知れないけど依頼の相場的に1億は多いよ

 貴族の娘さんの救出だとしてもせいぜい1000万が限度だよ」


「そうなのですか? でもお受け取り下さい

 私にとってリディアの価値はそれ以上なのですから」


これは引いてくれなさそうだ


「お兄さん、諦めて受け取りましょう」

「そうだな、わかったよ、ありがたく受け取らせてもらう」

「ありがとうございます」


こっちがありがとうだよ

というかアオイくんが固まっている

こんな金額、普通のJKには無縁だからな

おっさんの俺もそうだけど


「えっと、それじゃあこれで」

「待ってくれケンタ」


領主様に引き止められた


「何でしょう?」

「私から依頼したいことがある」


俺たちは座り直す

領主様からの依頼を聞かずに帰るのは不敬だろうから


「リディアは王都から遊びに来てくれている

 明日王都へ帰る予定だがその護衛をしてくれないか」


なるほど誘拐騒ぎがあったからきちんと護衛を付けたいわけだ


「元々予定があったのなら護衛も準備していたのでは?」


「より強く頼りになる護衛に変更することはよくあることだ

 それに娘とリディアもケンタたちなら安心できるだろう」


「ん? 娘と? シシリーも行くのですか?」

「あんなことがあったからリディアの心の支えになると思ってな」

「リディアが心配なので付いて行きたいのです」

「私もできればシシリーともう少しいたいので」


まあそうだよな、恐かっただろうし


「どうする?」

「構わないと思いますよ」

「受けましょうケンタ殿」


満場一致か


「わかりました、お受けします」


こうして護衛依頼を受けることになった



明日の準備を始める


ギルドへ小切手を換金しに行く


「ケンタさん、今度何か奢って下さいよ」

「なんでだよ!?」

「昨日の誘拐騒ぎの迷惑料です、あとお仲間の調査料です」

「ベルさん、意地汚いよ」

「意地汚くて結構、とにかく奢ってよ!」


しょうがないので奢る約束をした

実際、仲間探しには協力してもらっているからな




翌朝、宿屋を引き払う


王都へリディアを送り届けてすぐ帰るわけではない

シシリーがリディアと王都で少しだけ遊んで帰るからだ

シシリーを領主邸へ無事に帰すまでが護衛の仕事だ


なので当分は宿屋を使わないから引き払うことにした



領主邸に行くとすでに馬車など準備はできていた


「お待たせしました」

「ケンタ様、ごきげんよう」


シシリーとリディアが乗る馬車にアンナとアオイくんも同乗する

俺はスーパーカブに乗って周りを警戒しながら行く

他は荷物用の馬車2台と使用人用の馬車がある

全部で4台の馬車だ


貴族の移動って大変だな

この規模で護衛が俺たちだけって大丈夫か?

まあ守りきる自信はあるけどな


そして出発進行



オシリペンペン街から王都まではそう遠くない

馬車で約2日の距離だ


野営を一泊することになるが問題ない

アンナとサスケの結界があるからな


王都へと繋がっている街道なので他の馬車ともすれ違う

王都から街へ向かっている馬車もあるからだ

もちろん俺たちだけでなく他にも王都へ向かっている馬車もある

この街道は交通量が多いので人目に付きやすくて比較的安全なのだ


護衛と言ってもほとんどやることがない

ないのは平穏無事ということだから良いことだ


俺はスーパーカブで付いて行っている

速度を馬車に合わせているからノロノロ運転だ


シシリーたちは馬車の中で女子トークが弾んでいることだろう

俺はヒマだ、話し相手もいないから退屈だ


ふとすれ違う馬車を見る

俺たちとは進行方向が反対だから街へ行く馬車だ


「何だありゃ」


その馬車の屋根に人があぐらで座っていた

しかもギャルだ、ゆるふわ金髪ツインテのギャルがいた

黒くはないのでいわゆる白ギャルとかいうやつかな


ミニ着物とでも言うのだろうか

そんな感じの服を着ていた


生地は薄い黄色で紅い牡丹の花柄のミニ着物だ

足には茶色いショートブーツ

傍らに薙刀があった


あの馬車の護衛なのだろうか?

なんで屋根の上に座っているんだ?


俺の視線に気付いたのかこっちを見た

ニカッと笑って軽く手を振るギャル

思わずつられて俺も手を振ってしまった


おっさんがギャルに手を振るんじゃありません!

自分で自分を叱る


何だったんだろう、ギャルと言うのはよくわからん生き物だ



夕刻近くになり拓けた場所で馬車を止める

ここで野営するのだろう


俺たちだけでなく他の馬車もたくさん止まっている

大勢でまとまっていた方が襲われにくいからな


それぞれのグループが野営の準備を始める

俺たちのところもテントを張ったり夕食の支度をしている


「お兄さん、夕食できましたよ」

「おう、腹減ったな」


俺たちも夕食タイムだ


「見張りは俺とアンナがやるからアオイくんは寝なさい」

「ええっ!?」

「以前一人でやらせたから今日は俺たちだけでやる」

「そうですね、アオイさんはゆっくり寝てて下さい」

「でも、、、」

「シシリーとリディアに付いてやってくれ、それも護衛の仕事だ」

「わかりました」


シシリーとリディアのテントでアオイくんは寝る

見張りは俺が先に3時間やった後、アンナに交代する

俺が前回のように起きれないかも知れないので先にやることにした


他のグループの護衛たちも交代で見張りをしている

これだけ見張り番がいれば野盗共も手を出せないだろう



3時間が経ったのでアンナを起こしに行く

護衛の仮眠用テントで寝ている

さっさと交代して寝よう、暇過ぎて眠い


スース―寝息を立てていらっしゃる

普段は生意気だが寝顔は可愛いな


そうだ、仕返ししてやろう

以前、口と鼻を押さえられて起こされた

あれは死ぬかと思ったぞ


今度は俺がやってやる

アンナめ、苦しむがいい、ふっふっふっ♪


アンナの顔に手を伸ばす

ふと、手が止まる


待て俺、ちょっと待て、これはダメだろ


おっさんが寝ている少女の口を手で塞ぐ、鼻をつまむ


絵面がヤバくないか?

事案発生じゃないのか?

通報確定だ


俺は手を引っ込める


危なかった、もう少しで社会的に死ぬところだった

仕返しは別のやり方にしよう


俺は普通に肩を揺すって起こした


「ふみゅ? 交代ですか?」

「お、おう、交代だ」

「どうかしたんですか?」

「なんでもない、おやすみ!」


俺は素早く毛布にくるまり背を向ける


「よっぽど眠かったんですね」


そう言ってアンナはテントから出る


これからは考えて行動しようと思いながら眠りについた

次回、ロリコン疑惑再び

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― 新着の感想 ―
[一言] アンナちゃんの「ふみゅ?」かわいいですー♡ ベルさん積極的?これってディナーの誘いっぽく感じたのは私の頭が悪いせいかもだけど。
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