41 冒険者ギルド
朝食を食べながら今日の予定を決める
「まずは冒険者ギルドだな」
「そうですね、更新しておかないといけませんから」
この街を拠点にしたいので活動場所の更新をする
なぜいちいち街の移動ごとに更新するのか
それは俺たち冒険者よりもギルド側の都合である
冒険者が功績を上げると拠点のギルドの功績にもなるのだ
うちで活動している冒険者は優秀ですよとアピールできる
優秀な冒険者が在籍していると依頼も増える
するとギルドは仲介料とかで儲かると言う仕組みだ
もちろん冒険者側にもメリットはある
ギルドに儲けさせている優秀な冒険者は色々と優遇されたりする
例えば素材の買い取り金のレートが上がったりとか
この街で家を買ったり借りたりするときに割り引きされたりとか
持ちつ持たれつがギルドと冒険者の関係だ
「絡まれないといいですね」
「この街のギルドは大きいから大丈夫だろ」
ギルドの規模が大きいと冒険者の管理もしっかりしている
絡んだり暴れたりするのを抑える手段を持っている
「更新はすぐに済むと思いますがそのあとはどうしますか?」
「何か依頼でも受けますかケンタ殿」
「いや、今日と明日は自由行動にしようと思う」
この街を拠点にする、すなわちこの街で暮らすつもりだ
あくせくする必要はない、ゆっくりやっていこうと思っている
「やっとこの街に来れたんだ、ゆっくりやっていこう
それに久しぶりにこの街をブラつきたい
アオイくんだって見て回りたいところがあるだろ」
「そうですね、久しぶりのこの街を見て回るのも良いですね」
「私は?」
「アンナも今日と明日は好きに遊んでくれ」
「・・・・・じゃあそうさせていただきます」
サスケはどうせアオイくんに付いて行くだろう
ポチャはアンナが連れて行くだろう
俺は一人で久しぶりにこの街を楽しみたい
今日と明日の予定は自由行動に決まった
だが冒険者ギルドへ行く前に確認することがある
「アンナ、確認できる範囲にプレイヤーはいるか?」
この街に来た目的の一つ
他のプレイヤーがこの街に集まって来ているかどうかだ
俺は少なくとも古参だけでも来ていると思っている
「・・・・・・・範囲内に1人います」
半径1キロ以内しか確認できないらしい
それでも1人はいたので街全体だともっといると判断できる
やっぱりみんなこの街に集まって来るんだな
この街はクエストや狩りや色々と活動するのに打って付けだからな
それに俺と同じようにプレイヤーを探しに来ているのだと思う
「ガイド精霊の反応はどうだ?」
「はい、そっちも反応があります
そのプレイヤーさんの近くにいますから契約済みでしょう」
ガイド精霊に出会ってこの世界のことを聞いているだろう
だからこそこの街に来たとも言える
きっとベンケイさんとパンティさんもいるはず
まだ来ていないかも知れないが来ているかも知れない
それにリアルがどんな人かもわからない
片っ端から探りを入れるしかないな
大変だけど二人に会えると思うだけで苦にならない
「ケンタ殿、ベンケイ殿とパンティ殿を見つけましょう」
「もちろんだアオイくん、永遠の混沌は4人揃ってこそだからな」
「ケンタ殿、5人ですよ」
「ん? ああ、そうだな、アンナも永遠の混沌だ」
「私も仲間に入れてくれるのですか?」
「すでに仲間だろ」
「そうですか、ふーん」
食べ終わって俺たちは冒険者ギルドへ向かう
建物が大きい
「久々に来ましたがやっぱり大きいですね」
「ちょっとだけ緊張するなあ」
中に入る
視線を浴びる
大きいから人もいっぱいなので視線もいっぱいだ
でも絡んでくる輩はいない
「この街を拠点にするので更新をお願いします」
「はい、それではカードをお預かりしますね♪」
20代後半ぐらいの受付嬢、少し童顔で笑顔が可愛い
ウェーブのかかった金髪セミロングでブラウンアイ
正直、ストライクど真ん中だ
「すみません、お名前をお聞きしても?」
「わたしですか? ベルと申します
あなたは、ケンタさんですね♪」
カードで名前を確認してくれた、覚えてくれるといいなあ
ベルさんか、可愛らしい名前だ
「更新終わりました、カードをお返し致します
この街を拠点にしていただきありがとうございます
冒険者活動頑張って下さいね」 ニッコリ
うん、やっぱり可愛い
「当ギルドではパーティーの功績ランキングを公開しています
そちらも頑張って上位を目指して下さいね♪」
「ああ頑張らせてもらうよ」 キリッ
アンナがジト目で俺を見る
いいじゃん、カッコつけたいお年頃なんだもん!
「公開ランキング、使えそうですねケンタ殿」
「そう?」
「ランキング上位にパーティー名があれば
ベンケイ殿とパンティ殿が見つけてくれるかも」
「なるほど、じゃ尚更頑張らないとな」
100位まで公開されるそうだ
無理しなくても俺たちなら100位以内には入れるだろう
トップじゃなくても100位でもいいのだ
これは利用させてもらおう
もちろん自力でも探すけどね
さて、軽くギルド内の冒険者を見る
小動物を連れているのが1人いた
多分、ガイド精霊とプレイヤーだろう
あっちも俺たちをチラ見している
同じように思っているのかも
だがゲームで知った相手か知らない相手かお互い判断が付かない
だから話しかけてこないし俺もまだ話しかけることができない
やっぱり何か切っ掛けがないと話しにくいもんな
まあ焦る必要はない、追々やっていくさ
確実にプレイヤーはこの街に存在するのだから
俺たちはギルドから出る
「やることやったし、ここからは自由行動だ」
「はい」
「それじゃ夕食まで解散!」
各々行動を開始する
アオイくんとサスケ、アンナとポチャで分かれる
俺はもう一度ギルドに入る
ベンケイさんとパンティさんのリアルは知らない
だけどリアルはこんな感じじゃないかなとイメージしている
勝手なイメージだから違っているだろう
でもとりあえずイメージに近そうな人がいるかチェックする
さっきの人はいなくなっていた
仕方がないので他にそれっぽい人を探す
一人いた、ベンケイさんのイメージに近い人
角刈り頭でいい感じなマッスルボディの男前
ベンケイさんは男前だった、漢気があった
きっとリアルはあんな感じだと勝手に思っている
ガイド精霊っぽいのが近くにいないな
まあ全員が見つけているわけではないだろう
俺はその男性に声を掛ける
アンナに確認してもらってないからプレイヤーではないかも知れない
「こんにちは」
「ん? ああ、こんにちは」
「初めまして、俺はケンタと言います」
「俺はストックだ、よろしく」
俺の名前に反応なし
そもそもこの人の名前が違った
ベンケイさんではなかった
まあこんなものだろう
「もしかしてプレーヤーですかケンタさん」
向こうから確認してくれた
「はい、ストックさんもですよね」
「FPO仲間に会えて嬉しいですよ、声を掛けてくれてありがとう」
ニカッと男前に笑う
俺のイメージ通りなんだけど残念ながらベンケイさんじゃないんだよな
でもせっかく知り合えたんだから何かの縁だ
少しストックさんとゲームやこの世界のことを互いに話した
ストックさん、フルネームはストック・ホルムさん
プレイ歴は6年だがソロで一度も死なずに攻略していたそうだ
この世界に来れるだけの実力者だと納得した
「ケンタさんは11年プレイヤーでしたか、凄いですね」
「そんなに凄くはないですよ、ソロで死なない方が凄いよ」
ストックさんはこれからニクジャガ山へ挑むそうだ
出現する魔物の情報を教えておいた
「ケンタさん、ありがとう」
「FPO仲間ですから」
ストックさんはニクジャガ山へ行った
「商店街でも見て回るかな」
俺はギルドから出て商店街へ向かった
この街を拠点にするのでこのギルドはこれからお世話になります
そしてベルも活躍します、だって、、、(言えよ!)
ストックはベンケイではありません
今後も色々と出番があります
次回、頭蓋骨を砕こう




