40 湯船に浸かって百数えろ
この街は大きくて広いので宿屋もたくさんある
宿屋の大きさやお値段もピンキリだ
「せっかくなので高級宿に泊まろう!」
「お兄さん、お金は大事に使いましょう」
「高級宿! 泊まってみたいです!」
「主まで何を言っているのですか!?」
「高級宿って良いお肉食べれるの?」
高級宿の風呂は貴族の風呂レベルで広くてゴージャスなのだ
食事も高級レストラン並みだ
ベッドだってフッカフカで寝心地が良いんだぞ
使ったことがないから知らんけど
でも「高級」なんだからきっとそうに違いない!
「金ならたらふく持っているから問題ない!」
「わたしも持っていますから問題ないです!」
「ダメ人間が二人・・・・・」
「アンナさん、我が主はダメ人間ではないですよ!」
「じゃサスケはアオイさんが散財することを認めるのですか?」
「そ、それは、、、」
苦悩するサスケ
「はあ、仕方がありませんね、多数決だと私の負けは絶対ですから
まあどうせ泊まれないでしょうからいいですよ」
泊まれない? 宿屋は金を払えば泊めてくれるだろ?
客を泊めて金をもらう商売なんだから
「アンナが折れたから行くぞ高級宿!」
「はい、行きましょう♪」
俺とアオイくんはお高いお宿におテンションがお高くなる♪
「断られて泣きを見ればわかるでしょう」
「主、、、」
アンナはなぜ断られると思っているのだろう?
「肉~♪」
ポチャは食いしん坊さんだな♪
高級宿に着いた
「申し訳御座いませんが当店での御宿泊をお断りさせていただきます」
「「ええっ!?」」
アンナの言うとおり断られた
俺とアオイくんから驚きの声が漏れる
「な、なぜですか、宿泊料金なら払えますよ」
「お金の問題では御座いません
当店は貴族様、商人様向けの宿となっております
冒険者の方や一般の方をお泊めすることはできません
誠に申し訳御座いませんがお引き取り下さいませ」
冒険者は高級宿に泊まれないのかよ
何と言う格差社会!
俺とアオイくんはトボトボと立ち去る
「アンナ、わかってたんなら言ってくれよ」
「そうですよ、それならわたしたちだって諦めたのに」
「痛い目を見て人は成長するのです」
ガイド精霊なんだからそこはガイドしてくれよ
俺たちは格下げして中級宿に泊まることにした
「普通の宿屋よりは大きいから良しとしよう」
「そうですね、お風呂も広そうですし」
俺とアオイくんのおテンションはお低い
「それじゃ夕食までくつろぎましょう」
俺とポチャとサスケ、アンナとアオイくんで部屋を別れる
「あれ、サスケはこっちでいいのか?」
「主がやっぱり男女で分けましょうと仰るので」
アオイくんに言われて渋々俺たちの部屋に来たようだ
やっぱり猫とは言え男がいるのは落ち着かないのだろう
夕食前にアンナとアオイくんは風呂へ行った
俺たちも暇なので風呂に行くことにした
「行きませんよ」
「僕も行かなーい」
「お前ら付き合い悪いな」
まあ犬猫がお風呂大好きってことはないか
仕方がないので一人寂しくお風呂タイムだ
「あれ、まだ行ってなかったのか?」
「お兄さん」
二人も風呂へ向かう途中だった
「ケンタ殿もお風呂ですか?」
「ああ、ポチャすら来てくれなかったけどな」
「犬と猫ですから仕方がありませんね」
脱衣所の出入り口に着いた
男湯と女湯にもちろん分かれている
「じゃまた後で」
「はい、一人寂しく入って下さい」
「ほっとけ!」
臭いと言われたくないから毎日入るようにしている
入れない日でも着替えだけはするようになった
タオルを腰に巻き浴場への扉を開ける
もわっと湯煙が視界を覆う
普通の宿屋の風呂よりかは広い
「やっぱ広いな」
「湯煙すごいですね」
「そうですね」
「へ?」
「「えっ!?」」
俺の右隣にアンナとアオイくんがいた
残念ながら湯煙で顔しか見えない
いや待て、残念とかそんな場合じゃない!
「なんだ? なんでいるんだお前ら!」 真っ赤
「そ、そ、そ、それはこっちのセリフですっ!」 真っ赤
「ケ、ケンタ殿、なぜ女湯にっ!?」 真っ赤
タオルや手で身体を隠す二人
もちろん俺は背を向ける
「いや俺が男湯の脱衣所に入ったの見てただろ!」
「見てましたけどなんでここにっ!」
「も、もしかして脱衣所だけ別で混浴だったのでは、、、」
なんというラッキースケベトラップ
いやここは退散すべきだ
アンナに殺される
「すまん、俺は出るから」
「何言っているんですかお風呂には入って下さい!」 ※混乱中
「アンナこそ何言ってんだ!?」
「そうです身体はキレイにしないと!」 ※混乱中
「アオイくんまで何言ってんの!?」
俺たち大混乱中
しばらくお待ちください、、、、、
結局、浴場の端っこと端っこに分かれて風呂に入ることになった
「こっち見ないで下さいよお兄さん」
「見ねーよ!」
アンナはともかくアオイくんはダメだろ
さすがに裸のJKがいると思うと落ち着かない
さっさと洗って退散しよう
ジャポン パチャ
二人が湯に浸かった音がする
聞くな俺! 聞いちゃダメだ! 精神統一!
よし、洗い終わった!
そそくさと出て行こうとした
「ちゃんと湯船に浸かって下さいお兄さん!」 ※混乱中
「アンナ空気読めよ!」
「浸かって百数えないと駄目でござる!」 ※混乱中
「子供かっ! アオイくん落ち着け!」
逃げそびれたので湯に浸かる
離れているから大丈夫だろう
沈黙
風呂とは一日の疲れを癒すものだったはず
全然癒されないよ!?
「えっと、お兄さん、今日は色々ごめんなさい」
落ち着いてきたのかアンナが今日のことを謝ってくる
「いや、俺が勝手にイラついて八つ当たりしたんだ
謝るのは俺の方だ、ごめんなアンナ」
そうなんだよ、俺は大人のくせに余裕が無さすぎだ
「ケンタ殿、一つ聞いてもいいですか?」
「いいよ、何?」
アオイくんが質問なんて珍しいな
「ケンタ殿は元の世界に未練はないのですか?」
「うん、ないよ」
「その、彼女とか残しているんじゃ、、、」
そんなのいないよ、年齢=彼女いない歴だよ
「いないよ、心を抉らないでくれ、、、」 涙目
「ご、ごめんなさい、、、 ゴニョゴニョ」
アオイくんが何か言っているが離れているから聞こえない
「・・・・・・・・・・・・・ 百!」
俺は今度こそ立ち去ってやる
「え、ホントに数えていたんですかお兄さん」
「そうだよ、数えたよ!」
色々落ち着かせるために数えていたのだ
色々って何が? 色々は色々だよ!
「じゃ先に食堂に行っとくからな!」
「はーい」
「はい」
俺は風呂から出てさっさと部屋に戻った
なんとかアンナに殺されずに済んだな
ポチャとサスケを連れて食堂に到着
宿屋側にはペット同伴の許可は得ている
「まったく誰がペットですか」
「話す犬猫ですなんて言えないからな」
「お肉食べれるならなんでもいーよー♪」
少ししてアンナとアオイくんも合流した
今日は色々あって疲れた
食事をして早めに寝よう
お風呂でバッタリ、このネタやりたかったんやー
次回、新たなプレイヤーとの出会い




