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4 村人クエスト 前編

俺は最初に出会った畑のおじさんを訪ねていた


「おう、この前は無視して悪かったな

 どうしても他所から来た奴は警戒してしまうんでな」


「いえ、もう気にしていませんから」


まあ扉をそっと閉められたときは悲しかったけどな


では始めよう、村人クエストの一つ



[村人クエスト/体力クエスト]

村にある畑の収穫を手伝う



このぐらいなら簡単、ではない


「俺に収穫を手伝わせて下さい」

「いや俺一人で充分だ」


うん、普通に手伝わせろと言ってもダメなのは知っている

村長のときのように言い方とか色々と条件があるのだ


俺はおじさんに


「収穫させてくれないと泣いちゃうんだからネ☆」 ウインク


可愛らしくクネクネしながら言う

自分でもわかる、キモい!

恥ずかしい、顔から火が出そうだ


クネクネするのとウインクもセットでやらないとダメなのである

男性キャラのプレイヤーたちは恥ずか死んでいた


「しょうがねぇな、じゃお前さんに任せるとしよう」


やっと収穫ができる

だがこれで終わりではない

この収穫こそ体力クエストの本番だ

本番前に精神ダメージを喰らっているがな


ちなみにおじさんは収穫作業をしない

手伝いとは名ばかりで俺一人で収穫しないといけない

この畑で採れるのはカブだが普通のカブではない


その名もスーパーカブ!


バイクじゃないよ、野菜のカブだよ

縦横高さすべて50センチの巨大カブ

この畑には100本埋まっている


100本全部一人で収穫しないとクリアにならない

時間制限は無いから頑張れば必ずクリアはできる


ただし達成時間によって報酬が変わる

時間が掛かれば掛かるほどショボくなる

一番良い報酬をゲットするには3時間以内に達成しないといけない


筋力値が高ければ楽に抜けると思うだろう

たしかに筋力値は必要だが重要と言うわけではない

抜くためのコツがいるのだ


思い出すなあ、筋力自慢のプレイヤーが必死だったことを

普通に腰を落として引っこ抜こうとする

抜けることは抜けるのだが時間が掛かっていた

まるで土が抵抗してカブを離さないように絡みつくのだ


俺はよく観察して抜き方の攻略法を見つけ出した

そのため筋力値は大したことがなくても簡単に抜けた


スーパーカブは葉もデカいので重みで枝垂れている

葉の枝垂れている向きを確認する

その反対の方に引っ張るとすんなり抜けるのだ


「では、収穫開始!」


収穫開始と宣言することで時間のカウントが始まる

そこから100本抜き終わるまでの時間が達成時間となる


俺は葉の向きを見ながら次々に収穫していく

1時間ちょっとで完了


「ほう、手際がいいなお前さん」

「大したことはありませんよ」


褒められるとちょっとだけ嬉しい

でも結構体力使ったな


「気に入ったからこいつをやろう」


達成後、おじさんが報酬をくれるのだ

3時間以内だからアレが貰えるはずだ


野球のボールサイズの白い玉を手渡される

うん、コレだよコレ♪


ゲームのときにも貰ったけど手元にもう無いんだよね

調子に乗って使っていたら壊れてロストしてしまった

だから入手したかったんだよ


こいつは村を出てから使うので大事にしまっておく


ようし、この調子であと二つもクリアしていこう




翌日、俺は商家に来ている

ここに知力の村人クエストがあるからだ



[村人クエスト/知力クエスト]

商家で高額品を当てろ(出題アイテムはランダム)



女性店員が今日も笑顔で迎えてくれる

スマイルはゼロ円だ


「儲かりまっか?」

「ぼちぼちでんなぁ」


いきなり何言ってんの? と思うだろう

これが知力クエスト開始の合図なのだ


「お客さん、面白い商品があるんだけど興味ありますか?」


よしキタ、その商品こそが知力クエストの報酬なのだ


「どんなの?」

「知りたい?」


可愛い顔をして焦らしてくる


「秘蔵の品だから簡単には見せられませんよ♪」


興味あるかと振っておきながらこうである

だったら最初から言うなと言う話だ


「どうすれば見せてくれるんだ?」

「お客さんの目利きを試させてもらいます」


同系統のアイテムを並べてくる

鑑定スキルは無効化される


「ここに短剣が10本あります

 この商家で最も高額な短剣を当てて下さい

 制限時間は今から10分で解答は一回だけです」


微妙にデザインの違う短剣が無造作に並んでいる

似たり寄ったりで値段の違いがわかりづらい


「長考ですね、3分経ちましたよ」


難しいぞ、こんなの鑑定使わないと無理だろ




なーんて、俺はすでに答えがわかっているのだ♪



俺は10本の短剣に背を向けて店内を見渡す


「あの短剣がこの店で最も高額だ!」


台に置かれている短剣を無視して壁に掛かっている短剣を指差す


「あら、正解です、なかなかやりますね♪」


これは単純な引っかけ問題なのだ



「ここに短剣が10本あります」


意識をその10本に向けさせようとしているだけ


「この商家で最も高額な短剣を当てて下さい」


この商家でと言っているので店内の商品も含まれる

台の上の10本から選べとは言っていない


店内にある短剣には値札が付いている

どれが一番高額かは一発でわかる



「さあ秘蔵の品とやらを見せてくれ」


女性店員は奥から小瓶が12本入った箱を持ってくる

小瓶の中身は何かの液体が入っている

全部透明で色は付いていない


「小瓶の中身は回復薬です」

「回復薬なんて普通だろ」

「そこらの回復薬とはわけが違いますし種類も複数ありますよ」

「毒消しとか異常解除とかだろ」

「そうですが効果が普通の回復薬より別格です」


うん、知ってる

例えば毒消しや異常解除などは飲んだ後、100回は毒や状態異常を無効化できる

体力回復は100日間体力が減っても1秒で全回復する

魔力回復は100日間どれだけ魔法を使っても魔力が減らない

治癒薬は100日間あらゆるダメージを受け付けなくなる

蘇生薬は10回まで死んでも生き返る

そして万能薬、その全ての効果を有している


「お客さんは正解したのでこの中から一本だけ差し上げます」


これが知力クエストの報酬なのだ

12本全部くれないのは残念だが1本でもありがたい

どれも役に立つ薬だからな


ゲームのときは魔力回復だったな

魔法が俺の主力だからかなり助かった

今回はどれが手に入るやら


どれがどれなのかはわからない、まさにクジ引きである

当たりだけでハズレがないのは助かるけど迷う


一番欲しいのは万能薬だ

しかし万能薬と蘇生薬が各1本

他5種類が各2本の合計12本となっている


鑑定不可だから完全に運に頼るしかない

俺は手の動くままに1本を取る

手にしたら選び直せない


「これを貰います」

「はい、それでは何が当たったか確認しますね」


女性店員は鑑定水晶を使い確認する


「あら? あらあら?」

「どうしました?」


女性店員は一拍おいて


「おめでとーございまーす♪ 万能薬でーす♪」


「マジかあっ!?」


すげー俺、運使い果たしたんじゃないのか?

ヒャッハー!



俺はスキップしながら宿屋へ帰った

宿屋の看板娘に引かれていたが気にしない

嬉しいんだから仕方がない


万能薬はすぐには使わない

ここ一番のときに使うことにする


村人クエストはあと一つ

勢いに乗ってやってもいいが明日挑むことにする


だって時の運クエストだから

幸運拾った直後だと逆に失敗しそうだし


幸せな気分のまま眠ることにした


良い夢見れそうだ♪

白い玉は20話後ぐらいに使います

万能薬は更にもっと後で使うことになります

出しっ放しで使わないなんてことは致しません

きっと忘れ去られたころに出てくることでしょう

あ、石投げないで

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