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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
2 永遠の混沌

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39 オシリペンペン街

あっちを見てもこっちを見ても懐かしい街並み

この街の周辺は王都や他の大きな領地で囲まれている

交易の要にもなっていてとても大きく広い街だ


ゲーム時代はこの街を拠点にしていた

この街から遠出したり色々やっていた


現実だから色々と違いはあるだろう

それでも建物とか景観はそのまんまだ


「本当に懐かしいなあ」

「懐かしいですね」


俺とアオイくんは感慨にふける


「老けてないで行きますよ二人とも」

「ふける意味が違う!」

「ま、まだ若いもん!」


アンナにはわからんのですよ、この懐かしさは


「お腹が空きました、食べに行きませんか?」

「たしかに腹減ったな」

「ケンタ殿、あの店はどうですか」


アオイくんが指差す方向に食事のできる店がある


「この店、リアルで見るとこんな感じなんですね」

「そうだね、でもここはやめておきたい」

「ケンタ殿? この店の料理好きでしたよね?」

「うん、この店の料理は美味しいものばかりだ」

「へえ、そんなに美味しいんですか?」

「はい、わたしたち4人みんなこの店を気に入ってました」

「だったらなぜお兄さんは却下するんですか?」


「FPO最後の前に皆で晩餐した店だからだよ

 この店には全員揃ってから入りたい」


「あ、、、 そうですよね

 わたしもみんなと入りたいです」


「最後にクエストをしたニクジャガ山もみんなで行きたいんだ」

「じゃ早くベンケイ殿とパンティ殿を見つけないとですね」

「アオイくん、わかってくれてありがとう」

「わたしも永遠の混沌(エターナル・カオス)のメンバーですから」


やっぱり仲間っていいなあ


「・・・・・では私一人でここで食べてきます」


「ちょ、お前、台無しっ!」

「アンナさん、、、」


スタスタとアンナは店に入って行った


何て奴だ!

仲間を想う俺たちの気持ちがわからないのか!

まあ元々メンバーでもなんでもなかったからだろうけど

それでも空気読めよな


「仕方がない、俺たちは他の店で食べてこよう」


「あの、店じゃなくて屋台で買い食いしませんか

 それならサスケとポチャも食べられますから」


「そうだな、そうしよう」


アオイくんは気配りができる子だな

それに比べてアンナのやつはダメだな


俺たちは屋台巡りしながら買い食いしまくった

一番たくさん食べたのはポチャだ

あの小さい身体でよく食べられるな






なんですか、仲間仲間って!

そりゃお兄さんたちはゲームで仲良しさんだったんでしょうよ


想い出がいっぱいですよね!


どうせ私は新参者ですよ!


私にはこのお店にこだわりも想い出もありません

だから堂々とここで食べます、食べてやります!


お店に入りメニューを見ます


たしかに美味しそうです

他のお客も美味しそうに食べています


注文をして少しして料理が運ばれてきます

いい匂いです、見た目も良いです


食べます、美味しいです、でも、美味しくありません


・・・・・・・・・・お兄さんと食べたかった


ちょっとだけ泣きそうになりましたが堪えます


一人の食事は美味しくありません


私は仲間じゃないのかな


ただ契約しているだけのどうでもいい存在なのかな


・・・・・・・ばーか、ばーか、お兄さんのばーか


どうでもいいや、さっさと食べて出よう


私は食事を済ませてお店を出ました






ベンチでゆったりしているとアンナがやって来た


「お待たせしました」

「美味かったろ?」

「そうですね、普通でした」


お前はどんだけ美食家なんだよ

まあいいや、ほっとこう


「アンナさん、一緒に入れなくてごめんなさい」

「いえ、アオイさんが入れないのはわかっていますから」

「アオイくん謝る必要ないぞ、アンナが自分勝手なだけだから」

「ちょ、ケンタ殿」


アンナは何も言い返さない

アオイくんがオロオロしている

いつものように何か言い返せよ


「それじゃそろそろ宿屋の確保に行くか」


俺は立ち上がりアンナに近付く

そして頭をぐしゃぐしゃにしてやる

殴られるのは覚悟の上だ!


「・・・・・アンナ?」


殴られなかった

ぐしゃぐしゃの髪を直しもしない


「ケンタ殿っ!」 バチーン!


「むぎゃっ!?」


アオイくんが両手で俺の両頬をサンドする


「何すんのアオイくん!? 痛いよ???」


アオイくんにぶたれるとは予想外過ぎて混乱する


「ごめんなさい! でも自分勝手とか言い過ぎです!

 それならわたしたちだって自分勝手なんですよ!」


「え、何で?」


「4人揃ってから入りたいって、それはわたしたちの自分勝手(わがまま)です

 アンナさん個人が入るのを批難するのは間違っています」


「うっ、、、」


アオイくんの言うとおりだ

いや、俺も本当はわかっていた

でも俺の想いを蔑ろにされたような気になったんだ

それでイラついた


アンナが悪いわけじゃない

俺のガキじみた八つ当たりだ

おっさんなのに大人なのに根っこはガキなんだよ


「アオイさん、もういいですよ

 お兄さん、ごめんなさい」 ペコリ


いや、お前が謝るなよ

いつものように憎まれ口叩けよ

くそっ!


「言い過ぎた、すまん」


俺は頭を下げる


「・・・・・はい」


空気が重い


「ケンタ殿、先にサスケとポチャを連れて宿屋を探して下さい」

「アオイくん?」

「わたしはアンナさんの髪を直してから合流します」

「う、わかった、、、」


アオイくんはアンナを慰めるつもりなのだろう

俺がここにいても何もできない

アオイくんに従い宿屋を探しに行く






アンナさんの髪を整えます


「アオイさん、空気悪くしてごめんなさい」


「アンナさんは悪くないですよ

 悪いのはわたしとケンタ殿なんですから」


わたしたちの勝手なこだわりのせいです

アンナさんを傷付けてしまいました


「私は、、、」


アンナさんが胸の内を明かしてくれました

わたしたちが羨ましかったようです

自分は仲間じゃないと寂しかったようです

疎外感が悔しかったそうです


「わたしはアンナさんを仲間と思っていますよ

 ケンタ殿だってそう思っているはずです」


「そうかなあ」

「そうですよ♪」


まったく、わたしだってアンナさんが羨ましいのに

この世界で最初にケンタ殿と出会ったのはアンナさんだから


「ケンタ殿が子供っぽいのは知っているでしょ

 こだわって、自分勝手で、空気読めなくて

 女の子の気持ちなんてまったくわかっていなくて」


「ですねー」


ちょっと元気出たようですね


「でも、優しくて、いざと言うときは頼りになる人です

 それはアンナさんもよく知っているでしょ」


「うん、、、」


髪は元どおりになりました


「不満もあるけどそういうのも仲間だと思いますよ」

「そう、ですね、、、」


アンナさんが振り向いて


「アオイさん、ありがとう♪」

「どういたしまして」


アンナさんはもう大丈夫なようです


わたしはアンナさんとケンタ殿のところへ向かいます






宿屋を探し始めるも足取りが重い


「まったく我が主の手を煩わせるとは」


サスケがブツブツと文句を言ってくる

なんだよう、そうだよう、俺が悪かったんだよう

そんなに責めるなよう


「お兄さん、元気出してー」


ポチャの慰めが心に沁みる

涙出そう


アンナが殴ってもこない、言い返しもしない

こんなことは初めてだ


やっぱり傷付いたんだろうな、俺のせいで


どうしよう、どうしたらいいんだ?

わからん、わかるわけがない

女子への対応が俺にできるわけがない

できていたら彼女作れているよ(多分)


もう宿屋探しどころではなかった



結局、足は止まってしまった


「ケンタ殿、お待たせしました」

「アオイくん、、、」


アオイくんとアンナがやって来た

アンナの髪は元に戻っていたが俯いている


とにかくもう一度謝ろう

あとケーキとかアンナの好きなもの買ってやろう

こういう安直な考えがダメなんだろうな

でもそれしか思いつかないんだよ

俺はダメな子なんだよ


「アンナ、本当にすまなかった」

「・・・・・お兄さん」


俺はさっきよりも深く頭を下げる


アンナが俺に近付いて右手を差し出す

仲直りの握手かな?


俺も右手を出して握る


「てえいっ!」 ブオン!


手を掴んだ瞬間、放り投げられた


ドサッ! ゴン!


落ちて軽く頭を打った 痛い、、、


「ちょ、いてて、いきなり何すんだ!?」

「頭ぐしゃぐしゃにされたお返しです♪」 ムフー


鼻息荒くドヤ顔でおっしゃるアンナさん

ああ、いつものアンナだ、よかった

よかったのか?


「はい、これでこの件はお終いです

 ケンタ殿はもう少しアンナさんを気遣って下さい

 アンナさんは一人で抱え込まないで下さい」


「ああ、わかったよ、手間かけさせてごめんなアオイくん

 アンナもすまなかった」


「はい、私もごめんなさい」


「これにて一件落着!」 ドヤ顔


アオイくん、言いたかったんだねそのセリフ

時代劇好きだからなアオイくん


ともかく俺とアンナはいつもどおりに戻った

アオイくんのおかげだ、ありがとう


何にせよ俺はもう少し大人の対応ができるようにならないとな

30歳のおっさんなのに性格がガキ過ぎる


「それじゃ今度こそ宿屋を決めないとな」

「まだ決まってなかったんですか?」

「しょ、しょうがないだろ」

「まあまあ、みんなで探しましょう♪」


さあみんなで宿屋探しを再開だ

第二章スタートしました

いきなり仲違いです、全部ケンタが悪いんやー


次回、風呂に入ったら百数えろ

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― 新着の感想 ―
[一言] アンナちゃんとアオイちゃんが何と言うかもぉ…なにこのかわいい仲良し姉妹感ー♡てなりました。
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