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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
1 愚者の楽園

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36 オリハとミス

「水晶に魔力を注いでいますね、何をするのでしょう?」

「無防備になるから男の人が守りながら戦っていますね」

「男の方は一人で戦っているけど大丈夫なのか?」

「全然疲弊する感じがないですね、むしろ段々と強くなっているような」

「そういう系の固有スキルなのでしょう」

「ああ、それよりも何かしゃべっているな二人とも」


話声は聞こえない、でも何となく


「イラッとくる」

「しばきたいです」

「斬り捨てたくなります」


せっかく会えたプレイヤーたちなのになぜかムカつく


あ、キングが動き出した

女はまだスキルを使えないみたいだ

男一人でキング3匹は厳しいだろう


「よし、助けに行くか」

「待って下さいお兄さん」

「女の人がスキルを放つようです」


魔力を溜めた水晶を持ち上げる

そのまま手から離れて宙に浮く


何か女が言葉を発しているがここからだと聞こえない


水晶が輝き砕け散り霧状になってキングたちに向かう

銀色に輝く霧にキングたちが包まれる


「「「グオオォォォッッ!!!」」」


キングたちが苦しみ出す

それに動揺するゴブリンたち


その隙を逃さずゴブリンたちを斬っていく男


キングたちの身体が干からびていく

カサカサになり細かい土のようになって崩れていく

残ったのはキングたちの魔石が3つだけ


「何だあのスキル、キングを3匹同時に仕留めたぞ」

「すごいです」

「なるほど、あの固有スキルでしたか」

「知ってるのか?」

「そりゃ全ての固有スキルの情報が閲覧できますから」

「もちろん教えてくれないんだろ」

「はい、個人情報ですから」

「ケチ」 ベシッ!


後頭部を叩くな!


「戦いも終わったから話しかけても大丈夫だよな」

「そうですね、行きましょう」


二人組は部位と魔石の回収をてきぱきやっていた

手際良いなあ


「こんにちは、お兄さん、お姉さん」


アンナが声を掛ける


「「え?」」


二人がアンナを見る


「「ちっちゃい子だ! か、可愛い~♪」」


アンナがビクッとして一歩退いた


「ああ驚かせてゴメンねお嬢ちゃん」

「ごめんなさい、私たち子供好きなの♪」

「は、はあ、、、」


困惑しているアンナ、俺とアオイくんも困惑してるぞ


「おっと保護者の方がいるようだ」

「あら、失礼しました」


二人は立ってペコリと頭を下げる

悪い奴らではなさそうだがちょっと変な人たちだ

いやFPOをやっていたのだから変人だろう

うっ、ブーメランだった、、、


「初めまして、私はアンナと言います」

「俺はケンタだ、よろしく」

「わたしはアオイと申します」


「初めまして、俺はミスと言います」 ペコリ


営業マンのようなお辞儀をするミス


「初めまして、私はオリハです」 ペコリ


オリハも丁寧なお辞儀だ

二人とも社会人って感じだな、俺もそうだけど


「「娘さんと冒険ですか?」」


「「違います!」」


「「え?」」


「俺たちはパーティーメンバーで親子とかではない」

「そうなんですね、すみません」

「ごめんなさい」


素直だな二人とも

それに他の人と違って人攫いとか疑ってこない

もしかしてお人好しなのかな


「ケンタさんたちもゴブリン討伐ですか?」 ナデナデ


「ああ、それで奥まで来たらあんたたちを見掛けた」

「お二人が戦っていたので邪魔しないように離れて見ていました」


「そうなんですね」 ナデナデ


「あの、、、」 「「何?」」 ナデナデナデナデ


二人はアンナを挟んで頭をナデナデしている

アンナは困った顔をしている


「ごめんなさい、アンナちゃんが可愛いものだから」 ナデナデ

「うんうん、可愛いよねアンナちゃん」 ナデナデ


こいつらこそロリコンじゃないのか?


「えっと、放してやってくれないか?」

「そうね、ごめんねアンナちゃん」

「ごめんなアンナちゃん」


やっぱり素直だ、すぐにアンナを解放した

わからん、こいつらがわからん


「「代わりにそっちのワンちゃんとネコちゃん撫でていいですか?」」


ああ、ロリコンじゃなくて可愛いは正義な方たちだったか


サスケが身の危険を察知してアオイくんの頭の上に避難する


ポチャはつぶらな瞳で二人を見つめる


「「可愛いっ! 辛抱堪らんッ!」」 キャーキャー♡


抱きしめられ撫でられまくるポチャ

ヤメロ、ポチャが可哀想だ!


「お兄さん、そろそろ本題に、、、」


ぐったりしているアンナが俺の袖を引っ張る

そうだった、プレイヤーであることを伝えないと

二人に圧倒されて本来の目的を忘れていた


「二人とも、大事な話があるんだが聞いてくれないか」


「え、あ、はい、何でしょうか」

「ごめんなさい、お話しして下さい」


ポチャをすぐに解放してこちらを向く二人

切り替えがすごいなキミたち


「二人ともFPOプレイヤーでこの世界に転移させられたんだよね」

「それを知っているということはケンタさんも?」

「ああ俺もFPOプレイヤーだ、こっちのアオイくんもそうだ」

「まあ、アオイちゃんもプレイヤーだったのね」

「はい」

「それじゃアンナちゃんも?」

「いえ私は違います」



それからこの世界のこと、ガイド精霊のことなどを二人に説明する

二人は真剣に話を聞いてくれた

素直で真面目なのだろう、変人だけど



「この世界が現実のFPOだと薄々気付いていました

 ただ飛ばされたのが俺たちだけなのか気になっていたんですよ

 他にもいるとわかって気持ちが楽になりました

 教えてくれてありがとうございます」


「でも酷いわよね、アンナちゃんのような可愛い子を消そうだなんて!」

「そうだよね! そのデリートってやつ、見つけたら叩き潰してやる!」


「それで二人のことも教えてくれるかな

 二人はこっちで出会ったんだよね」


転移はバラバラだからな

こっちで出会ってカップルになったのだろう

羨ましい、俺だって彼女が欲しい!


「あ、いえ、俺たちはゲーム時代からの恋人です」

「転移も同じ場所に飛ばされました」

「ええっ!?」


ゲーム内で恋人になっただと!

中の人の性別がわからないのに度胸あるなキミたち

しかも同じ場所に転移?


「アンナ、バラバラに転移させられるんじゃなかったのか?」

「そのはずですけど何故なのでしょう?」


アンナでさえ不思議に思う現象のようだ


「「それは愛の力じゃないかと!」」


うっぜぇっ!

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