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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
1 愚者の楽園

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35/159

35 バカップル

フリンの森でゴブリン討伐ヒャッハーをする俺たち


「大して強くないから討伐が楽ですね」

「アンナよ、後処理が大変なんだぞ?」

「そうですよアンナさん、部位を取ったり死体燃やしたり」


討伐証明として耳か鼻を取らないといけない

ゴブリンの肉は不味い、だから持って帰らない

死体を放置すると血の匂いで他の魔物が寄ってくる

また腐臭が酷いし毒になり得るので燃やすか埋める


「よいしょっと、これで全部だ」


死体を一ヶ所にまとめる


「私の出番ですね、ファイア」


死体の焚き火が出来上がる

汚ねえ焚き火だ


木に火が燃え移らないように結界で囲っている


「一戦闘毎にこれやっていると手間がかかるな」

「倒す時間より後処理の時間の方が多いですよね」

「お兄さんのブラックホールで消せば?」


「それは無理だ、アレは吸い込む物量と魔力消費量が比例する

 ブラックホールに使うと戦闘で使う魔力が足りなくなってしまう」


どんな魔法やスキルにもメリットデメリットはある



少し奥に進んでいく

アンナが探索をしながら先頭を歩く

アンナの足が止まる


「見つけたか?」

「はい、でも二人組の冒険者がゴブリンたちと戦っています」

「そうか、それじゃあ他を探そう」


他の冒険者の獲物を横取りしてはいけない

当たり前の暗黙のルールだ


アンナが動こうとしない

サスケとポチャも戦っているであろう方角を向いている


「どうしたおまえら」

「あの二人、プレイヤーです」

「魔力の質がプレイヤーですね」

「僕にもわかるよー」


プレイヤーがいた、しかも二人組

俺とアオイくんのように出会えて組んだのだろう


オシリペンペン街に近い街だからいる可能性はあった

やはりみんなオシリペンペン街へ向かっているのだな


「どうしますかケンタ殿」

「そりゃ会うべきだろう」

「お兄さんの仲間の二人かも知れませんしね」


違うかも知れない、でも確かめる価値はある

違ったとしてもFPO仲間には違いないからな


「ベンケイさんとパンティさんじゃないかも知れない

 でも他のプレイヤーとも会って話すことは大事だ

 FPO仲間がいることを伝え合うだけでも心の支えになる」


「わたしも会いたいです、行きましょう」

「わかりました、付いて来て下さい」


アンナは戦っている場所へ進む

俺たちは付いて行く



二人組とゴブリンたちが見えるところまで来た

二人組は男女でどちらも20代前半ぐらいだ


女は肩甲骨あたりまでの長さのゆるふわヘアー

俺より少し低い背丈でシスター姿

ただし膝丈でスリットの入ったコスプレ的なやつだ


男は俺より少し高い背丈でマッシュボブヘアーで中肉中背

ダークブラウンの膝丈カーゴパンツと普通の白シャツ

腐海一の剣豪が着用しているようなマントを羽織っている


ゴブリンは10数匹、通常の群れだ

しかしその後ろに3匹のデカいやつがいる

ゴブリンキングだ


キングが何で3匹もまとまって出てくるんだよ!

普通は1匹だろ


「これって助けた方がいいんじゃないか?」

「二人でアレは厳しいでしょう」

「もう少し様子を見てからにしましょう」


アンナの言う通り様子を見る

プレイヤーなら戦い方も知っている

固有スキルだってある

それでも危なくなりそうなら助ければいい




十数分前―――――


「結構奥まで来たねオリハ」

「そうね、それなりに狩れたし次でラストにする?」

「そうしよう」


二人は旅の資金を稼ぐためにゴブリン討伐の依頼を受けていた

たった二人だけだが多勢を相手でも余裕で狩っていく


「いた、あの群れが最後の獲物よミス」

「よし、行こうオリハ」


オリハとミス、二人は息の合ったコンビ、いやカップルだった

リア充爆発しろ


「何か変なナレーションが聞こえたような?」

「気のせいでしょ、集中してミス」


ミスが剣で群れに突っ込んでいく


「さあ来いゴブども! 俺が相手だ!」


正面から堂々と斬り込んでいくのは本来なら愚策

だがミスの場合はこれでよかった


固有スキル<正々堂々>


名前の通り真っ向から立ち向かうことが発動条件

効果は戦闘中に戦闘系能力が少しずつ上がる


ズバッ! ズバッ! ザシュッ!


「まずは3匹!」


3回斬った、これにより能力値が3上がる

斬れなくても躱されたり捌かれたりした回数分も上がる

自身が相手の攻撃を躱したり捌いた数も対象だ

更に受けたダメージ量分も上がる

このように戦闘中に強くなっていく


ゴブリンたちを薙ぎ倒していくミス

もちろんダメージも喰らう、そして更に強くなる


「ヒール」


ダメージはオリハが回復

回復したからと言ってダメージ分の強さは消えない

なので回復要員さえいればいくらでも強くなる


「よし、最後の一匹!」 ズバッ!


最後の一匹、しかし終わりではなかった


「ちょ、ミス、増援が来たわ!」

「げ、マジか、まあ強くなっているからいけるだろ」


ゾロゾロとさっきの三倍の数のゴブリンが現れる

更に後方に3匹のゴブリンキング


「ここでキングのお出ましかよ、しかも3匹」

「仕方がないわね、囲まれているから逃げられないわね」


「大丈夫だよオリハ、キミは俺が守る」 ニカッ

「嬉しいわミス、私もアナタを守るわ」 ギュッ


ミスの腕に抱きつくオリハ

そう、二人はいわゆるバカップルである

リア充爆発しろ!


ゴブリンたちが一斉に襲ってくる

でも強くなっているミスには敵わない

しかし数が多いので倒すのに手間取る


後ろのキングも気にしないといけない

要所要所で投石をしたり巨大なこん棒を振り下ろしてくる


「キングを何とかしないとダメそうだな」

「キングは私に任せて」


「アレか、それじゃあ気合い入れてキミを守らないとな」 キリッ

「ステキよミス♡」 トゥンク


リア(以下略)


オリハが固有スキルの準備に入る

このとき無防備になるのでミスが守らないといけない

二人とも結界を使えないからだ


襲い来るゴブリンたちからオリハを守りながら戦うミス


オリハは普通サイズのボーリングの玉のような水晶玉を両手で持つ


それに魔力を注いでいく

オリハの固有スキルはこれに時間が掛かるためソロでは使えない


ミスの固有スキルにはオリハの回復が必要

オリハの固有スキルにはミスの護衛が必要

互いが互いを必要とし合っている


「俺とオリハの固有スキルは最高の組み合わせだ♪」

「出会ったのは偶然だけどきっと運命だったのよ♡」


「まさに運命の出愛だね♪」

「きゃ、ロマンチック♡」


戦闘中に緊張感の欠片もないバカップルだった

次回、ナデナデ♪

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