34 Dランク昇格試験
アオイくんはDランク昇格試験を受けることになった
試験内容はいつもどおり訓練場で模擬戦をする
アオイくんは試験官が来るまでウォーミングアップをしている
(あの子、こないだあのバカ三人を瞬殺した子だよな)
(Dランク昇格試験か、勝てなくても実力を示せばいいだけだよな)
(Cだったら勝たないとダメだけどこれならいけるんじゃないか)
(どうだろうな、相手があの人だろうし)
天ぷらトリオは他の冒険者からもバカ呼ばわりされてんのかよ
それにしても試験官が厳しい人なのかな
「手頃な棒が中々見つからずお待たせしました」
ケイトさんがモップを持って現れた
「ケイトさん、わたしの試験官さんは?」
「私です」
「え?」
ケイトさん、ギルドの受付だよな?
「何かご不満でも? でしたら止めますか?」
「い、いえ、やります!」
(久々にケイトさんの戦いが見られるな、ラッキー)
(実力を見るだけだから本気でやらないだろ?)
(でもあの子も速いし強いぞ)
もしかしてケイトさんって実力者?
「ケンタさん、合図をお願いできますか?」
「あ、はい」
俺が合図を出すことになった
「では、始めっ!」
合図とともに一瞬でケイトさんの背後に回り込む
クナイの柄で首を狙う、容赦ないなアオイくん
ガシィッ!
背を向けたままモップの先でクナイを受け止めるケイトさん
すぐに飛び退いて距離を取るアオイくん
あの速さの攻撃を後ろ向きで防ぐだと!?
防がれて少し躊躇するアオイくん、でもすぐに動き出す
速い動きで撹乱しながら攻撃を繰り出していく
だがその全てをモップで捌いていくケイトさん
強い、この人ガチで強い!
アオイくんに焦りが見える
実力を見るだけなのでケイトさんからは攻撃しない
もしも攻撃されたら・・・・・
「少し、試しましょうか」
アオイくんの攻撃を三撃捌いた瞬間にモップを下段から薙ぐ
アオイくんは飛び退いて躱す
「まあこのぐらいは躱しますか」
アオイくんは躱した後すぐにまた攻撃を再開する
また三撃捌いた瞬間に下段薙ぎ
さっき躱せたのだから通用しないのはわかっているだろうに
飛び退いた瞬間に薙いだモップを手元に引き戻す
そのままアオイくんの方に一蹴りで間合いを詰める
アオイくんが着地した瞬間に戻したモップの柄で突く
そのまま躱せず突き飛ばされるアオイくん
ドンッ! 「うぐっ!」
アオイくんはお腹を押さえてうずくまる
「攻撃時の速さと的確に急所を狙ってくるのは合格点です
ですが防御面が脆すぎますね、そして打たれ弱い
攻撃を避けれても追撃に対応出来ていません、まだまだですね
それにうずくまっていては格好の的ですよ」
痛いのを我慢して立ち上がるアオイくん
「やる気は認めましょう、今後に期待ですね」
「ま、まだ、やれます、、、」
「そうですか」
そういった瞬間にモップが消えた
ゴスッ! 「ぐっ! ぅ、、、」 ドサッ、、、
回転しながらモップがアオイくんのうなじ部分に当たる
当たると言うより撃ち込まれたと言うべきか
「回復薬です、飲ませてあげて下さい」
「は、はい」
回復薬を受け取ったアンナがアオイくんに飲ませる
うっすらと目を開けるアオイくん
「・・・・・参りました」
「はい、頑張りましたね」
優しく微笑むケイトさん
聞くのが恐いけど聞いてみる
「あの、ケイトさん、アオイくんの試験結果は、、、」
「そうですね、まだまだなところが多いです
でも実力は申し分ありません、合格です
Dランクへの昇格を認めましょう」
アオイくんがホッとしている
俺もホッとしたよ
それからカードの更新をしてアオイくんはDランクになった
「ケイトさん、受付嬢ですよね?」
「そうですよ?」
「受付嬢って強くないとダメなの?」
「ああ私は職員ですが冒険者登録もしていますので
ちなみにAランクです」
「なんで受付やってんの!? 冒険者で食っていけるじゃん!」
「私の自由ですよ」
「そりゃそうだけど、、、」
こんなに強い受付嬢は見たことない
このあと宿屋に戻ってくつろぐ
アオイくんは肉体的、精神的ダメージがあるので休ませる
「ケイトさん、強かったです」
「そうだね、まさかAランク冒険者だったとは」
「今日言われた弱点を直すように頑張ろうと思いました」
「ああ、一緒に頑張ろうな」
「はい」
明日は休んで明後日から討伐依頼をやっていくことにした
ギルマスが王都から帰って来ました
王都でギルド組合の会合があったので不在だったのです
不在中はサブマスターの私がギルドを任されています
これで少し仕事が楽になります
「お疲れさまでしたネミロフ」
「ただいまケイト」
ギルマスの名前はネミロフ・デリカット、50歳
元Aランク冒険者、47歳のときケガで引退したのです
私は彼に憧れて15のときに冒険者になりました
強くなって彼のパーティーに入れてもらいました
彼がケガで引退するときにパーティーは解散
前ギルマスが彼にその座を渡します
私は職員として付いて行きました
なぜなら私は彼の妻だからです
私は現在25歳、3年前だから22歳のときですね
まだ若いから冒険者を引退するなと言われました
引退はしないけど職員としても働かせてもらっています
これからも私は彼を支えていきます
「聞いたよ、久しぶりに昇格試験の試験官やったんだってね」
「はい、やりました」
「合格あげたんだってね」
「ええ、まだこれからですが、もっと強くなりますよ」
「ケイトにそう言わせるとは大した子なんだね」
「はい、お仲間も実力がありそうでしたから」
「へえ、何てパーティーなんだい」
「永遠の混沌 ぷっ」
「こらこら、笑ったら駄目だよ?
みんな自分たちのパーティー名は思い入れがあるんだから」
「ごめんなさい、つい」
だって一人私より年上がいるのにその名前なんですもの
さて、彼らはどんな冒険をしていくのかしらね
アオイくん念願の討伐依頼の日がやってきた
「ごっぶりん、ごっぶりん、ぶっちころせ~♪」
やっと討伐依頼ができるので浮かれているアオイくん
その歌は止めなさい
FPOには面白おかしい魔物がたくさんいる
でも一般的な魔物もたくさんいるのだ
今回は一般的な魔物をチョイスした
ファンタジー定番のゴブリンさんだ
ミズムシ街の南に森がある
そこに棲息しているゴブリンの討伐だ
その森の名は、フリンの森
教育上よろしくない名前の森だ
せめてプリンとかにできなかったものか
「「ごっぶりん、ごっぶりん、くっびちょんぱ~♪」」
アオイくん、なぜそんな歌詞なんだ、、、
そしてサスケよ、おまえも一緒になって歌うな
むしろおまえが止めるべきだろう
主がそんなの歌っていていいのか?
フリンの森に到着
「ゴブリンはボス化しないから狩り放題だ
でも上位種はいるから油断しないようにな」
「はい!」
アオイくんが手を上げて返事をする、元気でよろしい
俺たちは森を進んでいく
「探索に引っ掛かりました、50メートル先に10数匹います」
「よし、回り込んで三方向から仕掛けるぞ」
「了解でござる!」
テンション高いなアオイくん
よっぽど討伐依頼がやりたかったんだな
それじゃあ討伐開始だ!
ゴブリンたちの正面からアンナがウインドカッターを放つ
わざと散らして放っているので3匹しか倒せなかった
残りがアンナに向かっていくが背後から首を斬られていく
アオイくんが速く音もなく仕留めていく
さすが忍者
残ったゴブリンたちは前後の敵に怯む
そいつらに向けて上空からサンダーアローをお見舞いする
俺はフライで上空にいたのだ
「上手くいきましたねケンタ殿♪」
「上位種がいなかったからやり易かったよ」
「それじゃあ次を探索しますね」
ソロも悪くないがパーティープレイも楽しい♪
さあゴブリンども、駆逐してやるぜ!
次回、リア充爆発しろ




