31 再会・アオイくん 後編
FPOには大事な仲間がいた
その一人、アオイくんと再会してまた仲間になれた
リアルFPO世界でまた一緒に冒険できる
だけど姿はゲームキャラではなく現実の自分たちである
ギャップがあるので慣れるまでは大変だろう
それでも嬉しい気持ちでいっぱいだ
アオイくんがこっちに来ていた
ならばベンケイさんとパンティさんも来ている可能性が高い
俺たちはベータからやっている11年プレイヤーだ
みんなFPOにどっぷりハマっている
あのアンケートだって合格点を取っているはず
そして最後までログインしていた
条件はクリアしている
「アオイくん、ベンケイさんとパンティさんを探そう」
「そうですね、来てますよね、探しましょう!」
当面の旅の目的が決まった
早く会いたい、会ってまた四人で冒険したい
そのためにはこの山を出てその先にある街へ行く
そしてさらにその先のオシリペンペン街へ行く
そこなら他のプレイヤーが、特に古参プレイヤーが集まるはずだ
俺たちは今、麓近くで野営中だ
明日には山を出て街に入れる
オシリペンペン街の手前の街だ
もしかしたらその街にもプレイヤーがいるかも知れない
楽しみで眠れそうにない
少しアオイくんのことを思い起こす
アオイくんもベータからやっている11年プレイヤーだ
アオイくんは18歳で大学受験に向けて頑張っていた
もう受験できなくなったけど
FPOの規約ではプレイ可能最低年齢が15歳以上となっている
11年前だとアオイくんは7歳だ、できるはずがない
でもプレイできていた
じつは規約に書いてあるだけで実際は何歳でもプレイできたのである
規約の意味がないじゃん!
さすがFPOと言うべきか
そもそも機材とか諸々で大枚が飛ぶこのゲーム
7歳がどうやってと思うだろう
アオイくんの父親が諸々を用意してくれたそうだ
娘にこんなゲームをやらせるとは何を考えているんだか
課金部分は父親のクレカを登録している
もちろん父親自ら設定したとのこと
なのでアオイくんは一切自腹を切っていない
なんて羨ましい環境でプレイしているんだ
というか7歳児にやらせるな!
ベータで出会ったときゲーム慣れしておらずもたついていた
俺とベンケイさんで手助けしてあげたら懐かれた
それから一緒にプレイするようになった仲だ
ちなみに俺が出会ったのはベンケイさんが最初だ
次にアオイくん、最後にパンティさんである
ベンケイさんとパンティさんのリアル年齢は知らない
俺もみんなには言わなかったけどね
アオイくんは最初から無警戒に7歳だと教えてくれた
警戒心無さ過ぎてベンケイさんとかなり心配したものだ
アオイくんのキャラメイク、黒縁瓶底丸眼鏡そばかす巨漢デブ
アオイくんは時代物、特に忍者が好きだ
あと相撲も好きで毎場所テレビ観戦している
5歳頃からそういう嗜好なのだと本人談
渋い5歳児だ
巨漢デブなのは横綱をイメージしたそうだ
忍者なのは忍者好きだからそのまんまだ
名前は霧隠才蔵の苗字と自分の名前
ストレートにサイゾウにしなかったのは
「拙者如きが名乗るのは烏滸がましいでござる!」 と言っていた
時代物、忍者、相撲関連で装備やアイテムも揃えている
かなりお好きのようでござる
ガイド精霊のサスケも猿飛佐助からだろう
さて、黒縁瓶底丸眼鏡とそばかすはなぜか?
ゲームで友達が欲しくてウケを狙ったそうだ
ウケ狙いでそのチョイスもどうかと思うが
狙い通りにいかず他のプレイヤーからは敬遠されていた
でも俺とベンケイさんにはウケていた
俺はそういうツッコミどころ満載なの好きだからな
後に出会ったパンティさんなんか笑い死んだぐらいだ
ちなみに笑い過ぎてHPが減ることを初めて知った
そう、パンティさんはこのときHPゼロになって死んだのだ
デスペナで一週間後に戻って来た
所持金がゼロになったのを嘆いていた
懐かしいな、ホント四人でまた冒険がしたいよ
そんなことを想っているうちに眠くなってきた
ケンタ殿、ベンケイ殿、パンティ殿
この世界に来ているかも知れない
そう思っていても二の足を踏んでいた
現実の姿のわたしを見たらどう思われるだろう
恐かった、不安だった
そもそもお互い何処にいるのかわからない
探しても見つかる保証なんてない
わたしもみんなの本当の姿を知らないのだから
でも会えてしまった
それも三人の中で一番会いたかった人に
ゲームキャラは20歳ぐらいのお兄さんだった
現実のケンタ殿はそれより大人の人だった
失礼かも知れませんが元々そのぐらいだと思っていました
言動などが落ち着いた大人の男性だったので
たまに子供っぽいところもありましたけど クスッ
見た目も年齢も違っていました
でも優しそうなところ、ちょっと子供っぽいところ
落ち着いた大人の雰囲気などは違っていませんでした
わたしの父(39歳)より年下ですがわたしとは12離れています
歳の離れた兄と言ったところでしょう
外見ではなく言動、行動、性格、雰囲気が父と少し似ています
だから安心できます
わたしの姿はゲームキャラとは違い過ぎています
それでも受け入れてくれました
嬉しかった、涙が出た
サスケが攻撃してごめんなさい
これからはケンタ殿とこの世界を冒険する
ベンケイ殿とパンティ殿を一緒に探します
全員揃う日が待ち遠しい
この世界に来たときは不安でいっぱいだった
でも今は期待でいっぱいだ
ケンタ殿、ありがとう
翌日、俺たちは麓まで来た
遠くに街を囲む塀と門が見える
「ケンタ殿、わたしギルドカードがありません」
「ああ、消滅したんだよね」
「はい、こっちに来てすぐに確認したら消えました」
「俺もそうだったよ、悲しいよねアレ」
「はい、ショックでした、レベルも1になっていましたし」
転移させられたプレイヤーは全員同じ気持ちだろう
「まあ犯罪歴を調べられるのと1000円で入れるから大丈夫だよ」
「1000円ってなんだかアップデートみたいですね」
アップデートで1000円取られてたもんな
「ところで、ござる口調じゃないんだね」
「キャラだったらいいですけどリアルでアレは少し恥ずかしいです」
そりゃそうだ
「でも俺のことはゲームの時と同じケンタ殿だね」
「言い慣れているので、ダメですか?」
ちょっとシュンとしている
「ダメじゃないよ、俺もアオイくんって言ってるし
アオイちゃんの方がいいかな?」
「アオイくんでお願いします、そっちの方が聞き慣れているので」
「うん、そうする」
11年間、お互いにケンタ殿、アオイくんだったからな
今更呼び方を変えれない
街の東門に着いた
俺とアンナはギルドカードを見せるだけで入れる
ポチャとサスケはペット扱いなのでフリーパス
アオイくんだけ1000円払って犯罪歴のチェック
もちろん犯罪歴なしなので街に入れた
オシリペンペン街の手前の街、ミズムシ街
足が痒くなりそうな名前の街だ
ミズムシ街はハジメノ街の3倍ほど大きい街だ
ちなみにオシリペンペン街はミズムシ街の10倍ある
王都はオシリペンペン街の5倍
この周辺広過ぎ!
「とりあえず宿屋の確保と冒険者ギルドだな」
「そうですね、わたしはギルドカードを作らないといけませんし」
アンナが宿屋まで案内してくれる
街のどこに何があるのかは把握しているのだ
さすがガイド精霊序列一位
部屋は二部屋借りた
俺とポチャ、アンナとアオイくんとサスケで別れる
「あれ? サスケってメス?」
「私はオスです」
「じゃ俺とポチャの方だろ」
「主の傍を離れるわけにはいきません」
「ケンタ殿、サスケは猫ですから問題ありませんよ」
「お兄さん、考え方がいやらしいですよ」
「俺は常識的なことを言っていただけなのに・・・ 解せぬ」
仲間も増えて少しだけ賑やかになりそうです
次回、成敗!




