29 ゴーレムと山の主
シュリとサスケを仲間にして山を進んでいく
「このルートは頂上を避けていますね」
「ああ、なるべく山の主とは戦わないようにしたい」
「そうですよね、討伐に来ているのではないですから」
シュリはやっぱり詳しいな
もしかしたら五年以上はやっていたのかも
「あ、そっちは迂回しましょう」
「どうして?」
「そっちに行くとゴーレムが出てきます」
ホント詳しいな
「わかった、迂回しよう」
「お兄さん、間に合いません」
「へ?」
ズシン! ズシン! ズシン!
三体のゴーレムがゆっくり近付いて来る
「まさかこんなところまで下りてくるなんて」
シュリの想定外だったようだ
「ゲームと現実ではエリアのズレがあるのかもな」
「なるほど、それは考えていませんでした、ごめんなさい」
「謝らなくていいよ、俺もよくあるから」
ゴーレム三体ぐらいなら問題ないか
俺が動こうとしたら
一瞬でゴーレムたちの背後にシュリが回り込む
クナイで関節部分を突いてゴーレムたちの動きを止める
そのまま命の源であるコアを破壊していく
「すごいな、さすが忍者」
「我が主はすごいのです」 フフン♪
「そんなにすごくないですよ、、、」
照れるシュリ
ズシン! ズシン! ズシン!
「げ、新手が来た!」
ズシン! ズシン! ズシン!
どんどん増えていく
「どんだけいるんだよ」
「お兄さん、私たちもやりますよ」
「おう」
ワラワラと出てくるゴーレムを俺とアンナとシュリで倒していく
シュリはさっきと同じようにクナイで倒していく
アンナは必殺の拳でゴーレムを砕く
その拳で俺を殴るなよ?
俺はウインドカッターやアイスランスで応戦する
デカい魔法を使えば一掃できるがやらない
下手すれば崖崩れとかを起こしてしまう
「それにしてもゴーレムは厄介だな」
「そうですね、弱いけど数が無駄に多いですから」
シュリの言う通りゴーレムは弱い
動きが遅く力任せの単調な攻撃しかしてこない
だけど一度に出てくる数が多い
怪力と物量で攻めてくるので厄介である
「そういやこの山のゴーレムって一度に何体湧くんだったっけ」
「たしか1000体のはずです」
全部倒さないといけないんだよなあ
ゴーレムは出現数が元々多いのでボス化しない
それだけが救いだ
「僕も戦うね」
戦闘形態になったポチャも参戦する
咬みついたり咥えて放り投げたり大活躍だ
そういやサスケは?
よく見たらシュリの頭の上に乗っていた
サスケは戦闘ができないガイド精霊なのかな?
シュリはかなりの速さで動いている
よく振り落とされないな
それから1時間ぐらいしてようやく倒しきった
「さすがに疲れた、、、」
「私もです」
「僕はへいきー♪」
ポチャは元気な子だな
「そろそろ夕刻ですがどうしましょう」
シュリが聞いてくる
「この岩場では寝れそうにないからこの下の平地で休むとしよう」
下の平地に下りて野営の準備をする
アンナとサスケの二重結界で外敵対策はバッチリだ
みんなで夕食タイムだ
「サスケってポチャみたいに戦闘形態とかないの?」
「ありません、ですが主の補助をしています」
「補助?」
「わたしの能力を底上げしてくれるんです
それにわたしの死角を見てくれています
わたしは速く動くため全体を見づらいので」
「頭に乗っていたようだけど関係あるの?」
「はい、ああすることによって脳に直接情報をくれるんです」
いわば第二の目になっているのかサスケは
夕食タイムも終わって就寝
シュリの周りに結界を張って眠るサスケ
「主に手は出させません」
「出さねーよ!」
信用ないなあ 「ふっ」
おいアンナ、今鼻で笑ったろ
くそう、どいつもこいつも
「お兄さん、僕が隣で寝るね♪」
ポチャだけだ俺の味方は
「ポチャはこっちです」 ヒョイ
アンナに持っていかれた クスン
寂しい夜は更けていった
翌日、岩場を乗り越え少し険しい山道を進む
あと少し進めば緩やかな下りに入る
そこを真っ直ぐ行けば麓に出る
「このペースなら今日中に山を出れそうだね」
「ケンタ、さん、ここでそれを言うのはフラグでは?」
「やめてくれシュリ、それこそフラグになっちまう」
「ですね、ごめんなさい」
名前で呼んでくれているけど何で「ケンタ」と「さん」に間があるんだ?
敬称付けるの苦手なのかな?
だったら別に呼び捨てでもいいんだけど
そんなどうでもいいことを考えていたら
「お兄さんのせいですよ」
「フラグが立ってしまいましたねケンタ、さん」
「俺か? 俺が悪いのか? いや俺だよね、、、」
「まったく、だからこの方は信用できないのです」
「お兄さんは悪くないよー」
猛スピードで頂上から奴が下りてきた
山の主の登場だ
フラグ回収いただきました
「何でわざわざ下りてくるかな」
「ゴーレム戦で岩場が崩れたからかと」
「何の関係があるんだよ」
「崩落の影響で住処に何かあったのかも知れません」
「ああそれで怒って下りて来ちゃったと」
「倒すしかありませんね」
シュリの言う通り倒すしかない
俺たちを見逃してくれはしないだろうし
このまま麓まで追いかけられるわけにはいかない
俺たちは戦うことにした
山の主はアフリカゾウほどの巨体だ
身体は猪、頭には蝦夷鹿の角、背中に揚羽蝶の翅
突進力があり、角の攻撃も威力があり、空も飛べる
その山の主の名は、イノシカチョウ!
名前はアホだが強くて厄介な魔物である
「わたしが撹乱しますから攻撃して下さい」
「わかった、でも無理はするなよ」
サスケを頭に乗せてイノシカチョウの周りを動き回る
クナイで攻撃をするが分厚い肉壁には効果がない
鬱陶しくなったのか空へ回避するイノシカチョウ
そのまま空中から俺に体当たりをかまそうとする
「丸焼きにしてやる、ファイアスト「ストップ!」」
アンナに止められた
とりあえず素早く飛び退く
ドズンッ!!!
体当たりをギリギリ躱せた
イノシカチョウの足元は抉れていた
あんなの喰らったらヤバ過ぎだ
「何で止めるんだよ!」
「ここには木がたくさんあります」
「あ、、、」
ファイアストームなんて使ったら大火事だ
「それなら火属性以外でやらないとな」
イノシカチョウが俺に向かって突進してくる
「背中ががら空きです!」 ザクッ!
シュリがイノシカチョウの背中に刀を突き刺す
そして飛び退いて印を組む
「壊鬼激喰!」
イノシカチョウの身体から黒い霧のようなものが出る
それを刀が吸っていき刀全体が黒くなる
そして真っ黒になった刀は霧のように消えていく
苦しみ弱るイノシカチョウ
「全部は無理だったようですね」
このスキルを俺は知っている
刀に相手の魔力と生体エネルギーを吸わせる固有スキルだ
それを何でシュリが、、、
「お兄さん、何呆けているんですか、来ますよ!」
イノシカチョウが弱りながらも突進してくる
頭を下げて角で攻撃してくる
シュリのことを考えていて初動が遅れた
見事に角で宙に弾き飛ばされる
「お兄さん!」
「ケンタ殿!」
ああ、やっぱりシュリは、、、
ネーミングネタ
イノシカチョウ … 花札の役の一つ、猪鹿蝶
壊鬼激喰 … 皆既月食




