表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
1 愚者の楽園

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/159

25 トナリ街

次の目的地は隣の街、トナリ街だ

このハジメノ街から300キロほど西にある街


「ハジメノ街は結構長居したなあ」

「そうですね、ほとんど狩りばっかりでしたが」

「悪うございました!」


ギルドへは昨日報告を済ませてある


「また立ち寄れよケンタ、アンナ」

「ああ、ギルマスも元気でな」

「お世話になりました」


ゼンとコホウは昨日旅立った


「修行のやり直しだ」

「わたしもです」

「またどこかで会えたら声を掛けてくれ」


そして今日、ラインハルトも北へ旅立つ


「ケンタはオシリペンペン街を目指すのか」


イケメンに言わせる街名じゃねーな


「そこにプレイヤーたちが集まりそうだしね」

「そうだね、俺も精霊を見つけたら行こうと思うよ」

「見つかることを祈っておくよ」

「ありがとうケンタ、アンナも元気でね」

「はい、ラインハルトさんもお元気で」


乗り合い馬車に乗り込むラインハルト

そして北へ向かって馬車が走り出す


「それじゃ俺たちも行こうか」

「はい」


街の西門から出て少しだけ歩いて進む

そしてスーパーカブを出す

荷台をタンデムシートにしてアンナが座る

俺もシートにまたがりハンドルを握る


「よし、出発だ」


ハンドルから魔力を注入すると走り出す

速度は時速200キロにしておく


「速いですね、でも風圧とかもないので快適です」

「ホント、便利なアイテムだ」


西へグングン進む

1時間ちょっとでトナリ街へ着いた


「ガレージ」


スーパーカブが白い玉に戻る

置場にも困らない、本当に優れものだ


ここはトナリ街の東門

門兵にギルドカードを見せて街の中に入る


ちなみに俺たちはDランクへ昇格している

ウソピョン討伐の功績として上げてもらえた


門兵がアンナとカードを見比べて驚いていた

Dランク冒険者には見えないからな


「まったく失礼ですね」 プンスコ


お姫様は御立腹だ


「そう怒るな、実力を知らないんだから」

「それはそうですけどー」


昼食にケーキを奢ってやったら機嫌が直った

本当にチョロいお姫様だ

食べ物に釣られて知らない人に付いていくなよ?


「この街では食料の補充ぐらいしかないなあ」

「たしかに観光には不向きですしね」


ハジメノ街の方が規模が大きい

トナリ街は観光するところも少ない

何よりすぐそばに山があるので流通も難しい

村をほんの少しだけ都会化した街なのだ


「三日ぐらいゆっくりしたら先へ進もう」

「わかりました」


この後は宿屋でゴロゴロした

アンナは街に遊びに行った

遊ぶところなんてあったっけ?

まあいいや、好きにさせておこう



夕食前になってもアンナが帰って来ない


時間を忘れて遊べる場所なんてこの街には無い


まさかマネキンに襲われているのか?

いや、パートナー契約しているガイド精霊は襲われないはず


悪い奴に攫われた?

いやいやアンナは強いからそれは無いだろう


まさか本当に食べ物に釣られて付いて行ったとか

さすがにそこまで子供じゃないか


じゃあどうして帰ってこない

くそっ、心配かけるんじゃねーよ!


俺は宿屋を飛び出してアンナを探しに行く


この街はそんなに広くない

きっとすぐに見つけられるだろう


しかしどこにもいない


それなら人気の無い路地裏とかかも


片っ端からそういう場所を探しまくる


そして見つけた


戦っていた、数体のマネキンと


「パートナーがいれば襲われないんじゃなかったのかよ!

 なんで襲われているんだアンナ!」


「お兄さん!?」


マネキンの鞭を躱しながらこっちに来る


「ウインドカッター」


俺は左右から来る鞭を風の刃で斬り落とす


「助かりました」

「えらく苦戦しているじゃないか」

「ちょっと戦い辛い状態なので」


何か抱えているようで手が使えず苦戦していたようだ

よく見たら小さい犬だ


「その犬は何だ?」

「説明はここを切り抜けてからではいけませんか?」


たしかにさっきから鞭攻撃が鬱陶しい

ウインドカッターで斬り落としているけどしつこい


「わかった、俺がやるからアンナはそいつと隠れていろ」

「お願いします」


アンナは犬と一緒に物陰に隠れる


「それじゃさっさと片付けるか」


マネキンは5体

身体強化で速度を上げて片っ端からクラッシュで砕いていく


犬を抱えてなければアンナなら余裕で倒していただろう

こいつらは大して強くない


「全部やっつけたぞ」

「ありがとうございますお兄さん」


「とりあえず腹減ったし宿屋で夕食だ

 事情は部屋でゆっくり聞く

 あ、犬は隠しておけよ」


「はい」



夕食後


「それでマネキンになぜ襲われていたんだ?

 パートナーがいたら襲われないはずだろ

 それにその犬は何だ?」


どこから見てもポメラニアンだ

毛は茶色でつぶらな瞳が可愛らしい

もしかして飼いたくて拾ったのか?


「ガイド精霊です」

「んんー?」


予想外の答えが返ってきた


「ガイド精霊ってこの犬が?」

「はい」

「ガイド精霊って人型じゃないのか?」


「いえ、人型なのは上位個体の私たち三人だけです

 他は動物型、植物型、物体型です」


うん、動物型はまだ理解できる


「植物型と物体型って何?」


「植物型は草花や木などの形をしています

 物体型は椅子とか剣とか物の形をしています」


「それら全部動けないじゃん!」


「いえガイド精霊なので自我もあり話せて動くことができます」

「すげーなガイド精霊、じゃこの犬も喋れるのか?」


「うん、助けてくれてありがとー♪」


本当に喋った、おじさんビックリだよ


「この街に入ったときにこの子の存在を感じました

 それで宿屋に着いたあと探しに出掛けました」


街を見てくるってのはこの犬を探しに行ったのか


「やっと見つけ出したので連れて帰ろうとしていたら

 この子をデリートするためにあいつらが来ました

 それで守る私も排除対象と認識されてしまったのです

 この子を抱えていたから戦えず逃げ回っていました

 お兄さんが来てくれて本当に助かりました

 ありがとうございます」


マネキンたちは無関係な相手には何もしない

でも排除対象を庇う邪魔者には攻撃する

だからパートナーのいるアンナも襲われた


「でもどうするんだこの犬

 この街に他のプレイヤーはいるのか?

 パートナーがいないとまた襲われるだろ」


「はい、ですからお兄さんのところに連れて来ました」

「どういうことだ?」

「この子のパートナーになってあげて下さい」


何を言っているんだこのお嬢さんは


「俺はもうアンナのパートナーだからダメだろ」


「ガイド精霊の上位個体はパートナーが完全固定です

 でも他のガイド精霊たちとプレイヤー側は複数契約可能です」


「上位個体の三人は自由にパートナーを選べないってことかよ」

「はい、でも私はお兄さんがパートナーで嬉しいですよ♪」

「うっ、そうかよ」


少し照れる、そんな恥ずかしくなること言うんじゃねーよ


「それで、その、この子のパートナーになっていただけますか?」

「いいのか? 俺のパートナーが増えても」

「はい、構いません」

「おまえは俺でいいのかよ」

「僕はお兄さんがパートナーだと嬉しいよ♪」


つぶらな瞳で訴えてくる

飼って、飼ってとペットショップでアピールしてくる犬のようだ


このままコイツを放置したらマネキンに消されるだろう

さすがにそれは寝覚めが悪い


「わかったよ、パートナー契約するよ」

「ありがとうお兄さん♪」

「僕、お役に立てるよう頑張るね♪」


「それでは二人とも、パートナー契約をして下さい」


犬がお手をしてくるのでその手を掴む


「お兄さん、この子に名前を付けてあげて下さい」


そういや上位個体以外はパートナーが名付けるんだったな

犬だし、茶色だし、、、


「おまえの名前はポチャだ、気に入らなくても決定だ」

「ポチャ、僕の名前、えへへ♪」


喜んでくれたようだ


「では契約開始」


ポチャの身体が薄く銀色に輝く

アンナのときと同じだな


『プレイヤー、ケンタ・ウロス

 ガイド精霊、ポチャ

 パートナー契約処理開始

 契約承認中、、、 完了

 パートナー契約を完了致しました』


ポチャの周りの光が消える


「これでポチャはお兄さんのパートナーです」

「わーい♪ 僕、頑張るねお兄さん」

「おう」


「ところでポチャという名前にしたのはなぜですか?」

「犬と言えばポチだろ? 茶色のチャを合わせてポチャだ」

「お兄さん、、、」


どーせセンスないですよーだ


「お姉さん、僕は気に入ってるよ♪」

「ほら、ポチャも喜んでいるからいいだろ」

「はあ、当人同士が良いのならいいです」


こうして旅の仲間が増えた


癒し系ペット、ゲットだぜ!

ガイド精霊増えました

今後ポチャは色々と活躍してくれます

でも時々出番がありません(マテコラ)


次回、癒しは大事

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ