20 狩り過ぎ注意報
今日もウサピョンを狩ってギルドで換金だ
「お兄さん、そろそろ他の魔物に変更しませんか?」
「アンナよ、俺は楽して稼ぎたいんだ」
「ダメな大人がいる・・・・・」
ほっとけ! いいじゃん儲かっているんだから
狩り(仕事)は短時間で済ませて後は遊んでいたいんだよ
ギルドに入ると見知った男がいた
「久しぶりだなラインハルト」
「ケンタ、アンナ、久しぶり」
「ラインハルトさん、お久しぶりです」
ガイド精霊を探して街を回っていたはず
でも誰も連れていないから見つからなかったのだろう
「ラインハルト、どうしてここに?」
「登録まだだったからやりに来たんだよ」
ガイド精霊探しを優先してたからな
「精霊探しは?」
「どうやらこの街にはいないみたいだ」
「そのようですね、この街にいるなら接触してくるはずですから
接触して来ないのはこの街にいないか、あるいは・・・・・」
「アンナ、そういうこと言わないでくれないか」
「ごめんなさい、ただその可能性もあることだけはわかって下さい」
「ああ、でも考えたくはないな」
マネキンに消されている可能性か
ラインハルトのためにも無事でいて欲しい
「それで登録は?」
「さっき終わったばかりだ」
「絡まれたりしなかった?」
「ないよ、何で?」
くそう、イケメンは絡まれないのかよ!
久しぶりに会ったので三人で昼食を食べる
俺とアンナの登録時のことを話した
「へえ、アンナってそんなに強かったんだ」
「驚くだろ、アンナパイセン、マジパネェっす」 ゴン
「パイセンじゃありません」
「いたた、トレイで殴るなよ」
「それでラインハルトはこれからどうするんだ」
「この街にいないなら他のところだろう
だから他の街に行くことにするよ」
「そうか、見つかることを祈っておくよ」
「ありがとう、それでケンタたちはまだこの街に滞在するのかい?」
「もう少しだけこの街にいるつもりだ」
出るのはウサピョン狩りでもう少し儲けてからにする
「ラインハルトさん、聞いて下さい」
アンナがウサピョン狩りばかりする俺のことを愚痴る
「それはマズいよね」
「そうですよ」
ラインハルトがアンナに同意した
「何がマズいんだ? 簡単に儲かるからおいしいだろ」
「ケンタ、金に目が眩んで大事なことを忘れているんだね」
「そうなんですよ、本当にトッププレイヤーなのか疑ってしまいます」
「ええっ!?」
何だよ二人とも、酷くね?
「一種類の魔物を狩り過ぎたら危険なのは知っているだろケンタ」
「んん?」
「ほら、金の亡者になっているから忘れているんですよ」
「悪かったな! だったら教えてくれよ何がマズいのか」
「ケンタ、魔物にも上位個体がいるだろ」
そういや各種魔物には進化した上位個体がいたな
まあそれがボスキャラなんだけど、、、 あっ!
「どうやら気付いたようだね」
「やっとですか、はあ」
「すまん、理解した、でも言ってくれよアンナ」
「お兄さんなら気付くと思ったんです
まさかここまで気付かないなんて思いませんでした」
はい、楽することとお金に目が眩んでいました
わたくしが悪うございました
一種類の魔物を一定以上狩るとその魔物の上位個体が出現する
ようするにボス戦に突入するのである
「でも今日までに100体以上狩ったけど出なかったよ」
「ウサピョンは100から200狩ると出るから次ぐらいに出そうだね」
「もうウサピョン狩りは止めた方がいいと思います」
「そうだね、ウサピョンの上位個体は厄介だから」
うん知ってる、アレは厄介で強い、しかもキモい
ウサピョンは見た目が兎なので可愛い
だが上位個体はどうしてそうなったと言わざるを得ない
倒す自信はあるが出来る限り俺も戦いたくはない
「わかった、ウサピョン狩りはもう止める」
「わかっていただけて何よりです」
「でもアンナ、これからは言ってくれ」
「そうですね、ごめんなさい」
食事も終わりラインハルトと別れる
他の街へ行くため乗り合い馬車の予約をしに行くそうだ
俺とアンナはこの街でもう少しだけゆっくりする
したかったんだが、できなさそうだ
ギルドに緊急討伐依頼が貼り出される
ウサピョンの上位個体が現れた
うん、俺のせいだよね、ごめんね
「お兄さん、どうします?」
「どうしようかね」
「他の冒険者さんたちに任せてほっときますか?」
「そうしようかな? ダメかな?」
「本当はダメですけどここはほっときましょう」
アンナのことだから責任取って討伐しろと言うかと思った
「いいのか?」
「お兄さんの危険回避もガイド精霊の役目ですから」
(アレは気持ち悪いから私も関わりたくないもの)
苦労掛けるね、マジすまん
「ケンタ、ちょっと来い」
ギルマスからお呼びが掛かった
受付の奥の部屋へ連れて行かれた
「何ですか?」
「ケンタ、毎日ウサピョンを狩っているだろ?」
「ああ」
「上位個体が現れたのはそれが原因だろうな」
やばい、俺のせいだとバレバレだ
「この緊急討伐依頼はもちろん受けるんだろ?」
「断ったらダメ?」
「お前、いくらなんでもなあ、、、」
そんなクズを見るような目は止めてくれ
「お兄さん、観念しましょう」(私も諦めよう、イヤだけど)
アンナは諦めたようだ
「わかったよ、やります、やらせていただきます」
こうしてボス戦をやらざるを得なくなってしまった
他の冒険者も募るので討伐は明後日に決定する
そして討伐決行の日
「すまないな、ラインハルト」
「いいよ、FPO仲間の頼みだからね」
ホントに顔も心もイケメンだよあんた
討伐メンバーは俺とアンナとラインハルト
そして他の冒険者が三人の六人パーティーで挑む
「ケンタ、俺の実力はあんなものじゃねえってわからせてやる」
三人の内の一人はセマカだ
「今日は味方なんだから絡むなよ」
「わかってる、絡まねえよ」
大丈夫かなコイツ
「俺はゼン、よろしく」
「わたしはコホウです」
ゼンは20代半ばぐらいのガタイのいい男
某マスターAを若くした感じだ
コホウは高校生ぐらいの女子
短い茶髪で少し目付きが悪い
二人とも口数が少ない
連携取れるか少し心配だ
各魔物は連続して狩り続けると種を守るため最も強い個体が進化する
それが上位個体となっていわゆるボスになる
俺がウサピョンを狩り過ぎたためウサピョンのボスが誕生した
今後は同種ばかり狩らないようにしようと誓った
俺たちはケバブ草原へやって来た
目撃情報のあった場所の近くに来ている
「このあたりのはずだが見当たらないな」
セマカがキョロキョロ辺りを見回す
「む、何かがこちらに向かって来ている」
「ゼンは探索が使えるのか?」
「魔法など使わなくとも気配でわかる」
達人かよ
「かなり強大な力を感じますね」
コホウも気配でわかるらしい
この二人、拳士なのだそうだ
「ようするにあっちから出向いてくれるってことだね」
ラインハルトが臨戦態勢に入る
俺とアンナも身構える
次回、アンナ倒れる




