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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
1 愚者の楽園

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19 ウサピョン

少女にダメ出しをされるオッサン、俺だ

そのおかげで自分を見つめ直すことができた

でもちょっとだけ辛い


「おはようございますお兄さん」

「おはようアンナ」


今日はギルドに行って初依頼を受ける予定だ

この世界での初依頼だ



朝食後、俺とアンナは冒険者ギルドにやって来た


建物の中に入る


昨日と同じくみんなこっちを見るがすぐに戻る

だがまだアンナを見ているのが数人いた


ギルマスを殴り飛ばしたからな

そりゃ注目を浴びるだろう


俺たちは依頼書が貼ってある掲示板に向かう

ランクごとに分かれているのでEランクの依頼板の前に立つ


FとGだと薬草採取や雑用が多い

Eから討伐系も入るので助かる

まああまり強くない魔物ばかりだが


「アンナパイセン、どれにする?」

「パイセンじゃありません」 ギュウ

「いたた」 太腿つねられた


「お兄さんが選んで下さい、初依頼ですから」

「そうだな、そうさせてもらうよ」


さて、どれにしようか


ゴブリン、モグラ、ウサピョン、ワッフル、スネーク


魔物の名前を気にしちゃいけない


ゴブリンだけ普通だ

モグラとスネークは魔物じゃないと思うはず

でも一般に知られているモグラやスネークとは別物だ

ワッフルはお菓子だろとツッコみが聞こえてくる

だがそういう名前の魔物なのだよ


ファンタジーの定番、普通にゴブリン討伐にするか

それとも他のおかしいやつにするか、迷うなあ


「よし、ウサピョンにしよう

 いいよなアンナパイセ、、、 (睨まれる)

 アンナいいよな?」


「はい、構いませんよ」


俺は依頼書を受付に持って行く


「おはようございます、依頼の受諾ですね」


今日の受付はジョーさんではなく男の職員だった

まあジョーさん以外にもギルド職員はいるからな


「初めましてケンタです」

「アンナです、よろしくお願いします♪」

「初めましてガカリです、よろしくお願い致します」


ガカリ、受付ガカリ、受付係、、、


不憫だな、この世界の人たちは



手続きをしてギルドを出る


冒険者として本当の冒険の始まりだ

ワクワクしてきた


街の東門から出てまっすぐ進む

小さい森に入り少し南に行くと草原に着く


ケバブ草原、草原だが点々と木も生えている


「まずはウサピョンを探さないといけないな」

「探索使いますか?」

「アンナも使えるのか?」

「もちろんです」

「じゃ探索は任せる」

「はい」


ウサピョンという魔物について語っておこう

名前からわかるように兎の魔物だ

動きが速い、跳躍力が高い、好戦的、集団で襲ってくる

知能も高く見た目は兎だが騙されてはいけない


アンナが探索を使ってウサピョンの位置を教えてくれる


「あっちの木の陰に隠れています

 その右にある木の上下にもいます」


「よし、それじゃウサピョン討伐開始だ!」


ゆっくり右側の木に近付く

木まで1メートルのところまで来た


上から10匹ほどのウサピョンが飛び降り襲いかかる

後ろへ一気に飛び退く


俺への攻撃を外したウサピョンたちは着地する

そのままこっちに向かって飛ぶように駆けて来る


「アースウォール」


いきなり現れた土壁にぶつかっていくウサピョンたち


コロンと転がるがそのまま飛び上がる

三匹が同時に土壁の同じ場所へ体当たりする


ただの体当たりではない

身体を前方に回転させて威力を上げている

ウサピョンの体毛は魔力で硬質化されている

その身体自体が弾丸である


砕け散る土壁、残りのウサピョンが一斉に俺へ飛びかかる

もちろん弾丸化してだ


「フライ」


上に飛んで躱す

俺かいたところにウサピョン弾丸がめり込んでいる

そこを狙って


「サンダーアロー」


雷の矢を放つ

めり込んでいたウサピョンは全滅した


俺は下に降りる

それを狙って先程の体当たり組が襲ってくる

牙、蹴り、爪で襲ってくる

動きが速いが何とか躱していく

しかし攻撃する隙がない


ん? 三匹のはずなのに六匹いるぞ?

いやどんどん増えている


「木の陰に隠れていたのが加勢に来てます!」


増援部隊か

これは躱しきれん


「アンナ、頼む!」

「はい!」


こうなるのも想定内だ

俺がこのままこいつらを引き付けておく

さすがに数が多いので少しはダメージを受ける


「飛んで下さいお兄さん!」


「フライ」 俺は上空へ逃げる


「ウインドショット!」


アンナの放った風の弾丸がウサピョンたちを仕留めていく

俺は地に降り周辺を見渡す


「全滅だな」

「そのようですね」

「そういや右側の木の下にもいたはずだが」

「逃げたようですね」


ウサピョンは無謀な特攻をしない


「それじゃ回収してギルドに戻るか」

「はい」


全部で26匹

依頼は倒せるだけでいいので充分だろう


ウサピョンの肉は柔らかく美味だ

固い体毛は装備の素材になる

どちらもそれなりに良い値段が付く


俺とアンナはギルドへ戻る



ウサピョンの討伐報酬は一匹1000円

体毛が500円から1000円、破損具合で上下する

肉は1000円から3000円、同じく破損具合で上下する


サンダーアローで焦がしたやつは安くなってしまった

アンナに倒してもらったやつはそこそこだった

倒し方は考えないとダメだな、気を付けよう


「全部で9万5400円になります、お受け取り下さい」

「ありがとう」


お金を受け取る

短時間で9万円は悪くないな



「明日はどうします?」


宿屋への帰り道にアンナが聞いてくる


「ウサピョン以外にしますか?」

「んー、ウサピョンでいいかな」


ゴブリンは肉も素材も取れない

討伐証明用に部位(鼻、耳など)を取らないといけないし

死体は処理しないといけない

倒すのは簡単だけど後処理が面倒くさい


他のも色々と面倒な部分がある

ウサピョンは肉も素材も使える

丸ごと持ち帰れるから面倒が少ない


「お兄さんがそれでいいならいいです」

「アンナは他のがいいのか?」

「せっかくなら色々な魔物を狩るのがいいんじゃないかなって」

「たしかにそうだな、でも面倒くさいしなあ」

「面倒って、、、」


ダメな子を見るような目で見るな!




翌日もウサピョンを狩る

それから10~20匹ぐらいずつ毎日ウサピョン狩りを続けた


ラビットキラーとは俺のことだ! ヒャッハー!


日に日に俺を見るアンナの目が冷たくなる

だからそんな目で俺を見るな!

この兎狩りで痛い目見ます


次回、あの男と再会

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