175 ワッフル討伐
「ちょっと待ってケンタさん」
いざ討伐開始しようとしたらアキラからストップがかかる
「どうしたアキラ」
「どうしたもこうしたも各自討伐っておかしいですよ」
「どこが?」
「それじゃソロ討伐じゃないですか
パーティーなら前衛後衛で役割分担するでしょ」
「ああそういうことか、でもワッフルは広い平原に散らばっているんだ
固まって動くよりも散開して討伐した方がたくさん倒せるだろ?」
「たしかに散らばっていますが射程範囲内なら範囲攻撃でいけるでしょ」
「たしかにそうだな、でも編成なんてめんどくさいじゃん」
アキラがポカンとしている
「ええっと、これまでもそんな戦い方をしていたのですか?」
「うん」
アキラがベンケイさんたちの方を見る
「私らはその場のノリと勢いで動いているからな」
「それぞれが動きやすいやり方で戦っているでござる」
「特になにも考えていないわ♪」
アキラがアンナの方を見る
「ごめんなさいアキラさん、こういう人たちなの」
「そういう人たちだったんだ、Bランクなのに・・・」
アンナとアキラが互いにため息をついた
なんか俺たちディスられてるのか?
「アンナちゃん、ガイド精霊ならそこらへんは導いてあげなよ」
「うぐ、返す言葉もありません」
アンナまで諭されている
「でもさアキラ、ワッフルに範囲攻撃なんかしたらハチミツが採れないぞ
あいつら弱いから強い攻撃だと爆散してハチミツもおじゃんだ」
「強い攻撃をしなければいいだけですよ
そもそも各自討伐だとマーヤを出してきたら一人だと大変ですよ」
マーヤというのはワッフルが自己防衛モードのときに産み出す魔物である
一体のワッフルから百匹のマーヤが産み出されるのでたしかに厄介だ
「大変だけど頑張って倒せばいいだけだろ」
「本当にノリと勢いだけなんですね」
アキラ、意外とずけずけいうタイプだな
「じゃパーティープレイでなにか策があるのかよ」
「ありますよ」
即答された
「それじゃ今回はアキラの作戦でやってみるよ」
「わかりました」
アキラはまず俺たちのできることを聞いてきた
それをもとに編成を決めて作戦指示をしてくれた
聞いていて俺たちもなるほどと納得した
俺たちと違って他のゲームもたくさんやっていたようだ
攻略情報などを調べるのが好きでその知識量はかなりあるのがわかった
俺やラインハルトより廃ゲーマーじゃないのか?
こいつの方が序列一位じゃないのだろうか
「それじゃアキラの作戦どおりにワッフル討伐開始だ!」
俺とサクラさんが横に20メートルほど離れて立つ
二人とも正面に散らばるワッフルの方を向く
後方にアオイくんとベンケイさんが待機
その二人の間にアキラ、その後方にアンナが待機
まずは俺とサクラさんが範囲魔法攻撃を放つことになっている
使う魔法はアイスニードル、氷の針だ
火魔法だとワッフルが燃えてハチミツもお焦げになるので却下
水魔法はワッフルが吸収してしまいダメージにならない
さらに吸収した水がハチミツを薄くして味と価値が下がる
雷魔法だとワッフルが爆散してハチミツも爆散する
土魔法だとハチミツに土が混じってしまい食べられなくなる
などなどアキラから全属性のデメリットを教えられた
アイスニードルだと最小限の傷だけで倒せてハチミツにも影響がないそうだ
「「アイスニードル!」」
俺とサクラさんはアイスニードルを広範囲に乱れ撃ちする
散らばっているワッフルたちに次々と氷の針が刺さっていく
ビー! ビー! ビー!
ワッフルたちが悲鳴を上げる
ワッフルの鳴き声はビー
氷の針に刺されたワッフルはプルプル震え始める
自己防衛モードに入った
お菓子のワッフルと同様に格子状の模様がある
そのマス目から黄金色の小さな粒が百粒放出される
その粒が大気の魔素を吸収して姿を変える
その姿はミツバチ、だがサイズが通常のミツバチの十倍
これがワッフルが産み出す魔物、マーヤである
「来るぞ!」
マーヤの軍勢が俺たちに向かって飛んでくる
マーヤは人間の血を吸う、その血を養分にしてワッフルの回復をするのだ
ここで俺とサクラさんが後ろへ下がる
アオイくんとベンケイさんが前に出る
「よっしゃ、暴れるぜ!」
「やるでござる!」
向かってくるマーヤを火雷神で打ち砕くベンケイさん
手裏剣とクナイでマーヤを斬り落としていくアオイくん
だが数が多く二人を抜けて俺とサクラさんへ向かってくる
その群れの中へアキラが入っていく
マーヤの群れは一番近いアキラにターゲットを変更する
アキラに向かっていくマーヤの軍勢
しかしヒラリヒラリと踊るようにかわしていくアキラ
マーヤたちは互いにぶつからないように動く
そのためわずかだが隙間ができる
アキラはその隙間をかいくぐっているのだ
「すげえな、あれが遊び人の圧倒的回避力」
「わたしたちには無理ね」
そしてただ回避しているだけではない
ああすることによってマーヤの群れを一ヶ所に集めているのだ
ベンケイさんとアオイくんに群がっていたマーヤたちもそちらへ向かう
「そろそろいいですよー!」
アキラから合図か来た
「大丈夫かしら?」
サクラさんが心配する
「あいつが大丈夫と言ったんだ、だから問題ないよ」
俺はアキラを信じて全力でやる
「「ウインドカッター!」」
俺とサクラさんは一ヶ所に集まったマーヤの群れに向かって放つ
広範囲に大量のウインドカッターで一網打尽だ
次々と斬り落とされていくマーヤたち
数匹逃れたマーヤがこちらへ向かってくる
しかし上空から落ちてきた岩に押し潰される
その岩とともにアンナが降り立つ
岩に潰されなかったマーヤたちをその拳で砕くアンナ
「これでマーヤは全滅だな」
「でもアキラくん、本当に大丈夫かしら」
ウインドカッターの巻き添えになる可能性が高い
でもアキラ自身が大丈夫と言っていたから俺は信じる
斬り落とされたマーヤの残骸の少し向こう側から立ち上がる姿が見えた
「うえっ、土まみれになっちまった」
ウインドカッターが放たれた瞬間、身体を地面に倒したアキラ
完全に倒れきる前に地面を思いっ切り蹴って後ろへまっすぐ跳ぶ
さらに無数のウインドカッターの影響による乱気流が発生
その乱気流のおかげで勢いもついてウインドカッターから逃れた
「ほんとすごい回避能力だな」
遊び人は運の数値も高い、そのため偶然すらも引き寄せる
俺が序列三位でアキラが序列一位じゃないのか?
俺より主人公っぽいぞ、ちょっとへこむ




