170 大きな牙のデカいやつ
ワキガ村で一晩を過ごして早朝に村を出た
村長のアッパレさんと村人たちが見送ってくれた
村民が十数人しかいない本当に小さな村だが良いところだった
ミズムシ街へ戻るにはフリンの森を抜けないといけない
再びゴブリンを回避したり倒したりしながら進む
ミズムシ街に入り冒険者ギルドへ向かう
「みなさん、おかえりなさい」
受付で依頼達成の報告をする
交換した作物は他の職員が倉庫へ運んでくれた
この日は街でのんびり過ごした
翌朝、街から出る手続きを済ます
「また来て下さいね」
「はい、必ず来ます!」
アオイくんが元気よく答える
「ブリダイコン山に行くのですよね」
「はい」
「最近新種の魔物が出るようなので気を付けて下さい」
「新種?」
「イノシカチョウより大きくて毛むくじゃら
大きな牙が二本ある魔物の目撃情報があります
被害は今のところありませんが警戒して下さい」
「わかりました」
そんな魔物いたかな?
FPOにはいなかったはず
ゲームと現実の違いってとこかな
「アンナ、知ってるか?」
「私の情報にもありませんね」
まさに新種といったところか
一応警戒しておこう
ミズムシ街の東門から出てブリダイコン山の麓に入る
「カエデがいるか確認だけさせてくれ」
「俺も気になるし構わないよベンケイさん」
あれから一ヶ月以上経っているからいない確率が高い
もちろんベンケイさんもそれはわかっている
だから本当にちょっとした確認程度のつもりだ
「アンナ、探索は頼んだぞ」
「はい」
ガイド精霊上位個体だけあって探索範囲が広い
俺たちは山に入り先へ進む
登って下って通れそうな場所をずんずん進む
「ここは平坦で広いな」
平坦で広場のような場所に出た
「ちょっとだけ傾斜があるけどな」
「そろそろ昼だしここで休憩しようか」
ここで昼飯にすることにした
食べ終わって腹休めをする
「そろそろ行くか」
「お兄さん、なにか近づいて来ます」
アンナがこちらへ来る反応が探索に引っかかったことを教えてくれる
すでにあちこちに生物反応はあったけど近づくものはなかった
そばに崖があってその上に反応が3つあったが動きはなかった
その3つに複数の反応が合流してそのままその3つと一緒に来ているそうだ
「ゴーレムか?」
「ゴーレムなら湧いたらすぐに動きがあるだろ?」
「他に冒険者がいてイノシカチョウでも討伐しているとかかしら」
「来ます!」
アンナが崖の上を見たので俺たちも顔を上げる
崖の上からでかい岩が3つ落ちてくる
「岩? 違う、あれはイノシカチョウだ!」
「なんでイノシカチョウが三匹も落ちてくるのでござるか!?」
ズドン、ズドン、ズドン!
三匹のイノシカチョウが落ちて横たわる
まだ息はあるようでヨロヨロしながら立とうとしている
翅はボロボロ、身体中に焼け跡
何かに突き刺されたような大きい穴が身体にあった
「イノシカチョウが何かに襲われたってことか?」
「攻撃魔法かしら?」
たしかに焼け跡はファイアボールの連弾でついた可能性はあるな
身体の穴はランス系の魔法かも知れない
「お兄さん、さっきの複数の反応は消滅しています」
「イノシカチョウの反撃でやられたのかな」
「あ、また何か落ちてきます!」
イノシカチョウよりも大きな物体が落ちてくる
ズドンッ!
俺たちの前に弱ったイノシカチョウが三匹
その三匹の向こう側に落ちた、というか着地した
「なんだありゃ」
「すげえ」
「でかいでござる」
「でもあれって」
ミズムシ街を出る前にケイトさんが言っていた
『イノシカチョウより大きくて毛むくじゃら
大きな牙が二本ある魔物の目撃情報があります
被害は今のところありませんが警戒して下さい』
たしかにでかい、イノシカチョウの三倍はあった
大きな牙もある毛むくじゃらの魔物
FPO時代に見たことのない魔物だ
でもその姿には見覚えがあった、みんなも同じものをイメージしているはず
本物は絶滅しているから図鑑とかでしか見たことはないが知っている
「「「「マンモス!?」」」」
マンモスがなんでいるんだ?
魔物? 魔獣? わけがわからん
「お兄さんたち、このマンモスは魔物でも魔獣でもありません」
「アンナ、このマンモスがなにかわかるのか?」
「僕もわかるよー」
「私もです」
「私もわかります」
「そりゃわかるわよ」
ガイド精霊全員がわかっている、ということはまさか・・・
「動物型ガイド精霊、種別はマンモスです」
久々にガイド精霊発見!
ていうかヒマワリといい、旅するごとに出会うってどういうことだよ!
やっぱあの平原でイレイのことを言ったからフラグか?
「このイノシカチョウをやったのはこいつなのか?」
「身体の穴は牙で刺したのだと思いますが焼け跡がわかりません」
マンモスが炎を吐くわけないしな
だとすると消滅した奴らか?
炎系の魔法を使った奴がいたのかも
消滅した反応の奴が使ったのだろう
そいつの反応が消滅したのなら死んだってことだ
あとで埋葬してやろう
ガイド精霊といたということはFPOプレイヤーの可能性があるし
同郷の人間が死んだかも知れない、少し辛い
「あなたガイド精霊ですよね」
「そうじゃよ、人型ということは上位個体じゃなお前さん」
「私は上位個体序列一位、アンナ・イニンです」
「ワシは動物型ガイド精霊マンモス、名はラッキーと申す」
名前があるということはやっぱりFPOプレイヤーと契約していたんだ
契約時に契約者が名付けるからな、でもそいつはさっき死んだのだろう
というかマンモスで名前がラッキーって、マンモスラッキーってことか?
やっぱりFPOプレイヤーのネーミングセンスはおかしい ※オマエモナ




