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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
1 愚者の楽園

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17 アンナパイセン

ギルマスの合図で模擬戦が始まった

すぐさまセマカが短剣で斬りつけてくる


<身体強化>で速さも上がっているので全て躱す


「年の割にはいい動きするじゃねえかおっさん」

「だからおっさん言うな」


斬りつけながら蹴りや体術も混ぜてくる

それなりにセマカは戦えるようだ


「必死に避けてばかりだな」


全然必死じゃないんだが

よし、鬱陶しいからもう終わらせよう


セマカから距離を取る


「お、逃げたか?」

「ちげーよ」


俺はセマカに向かって


「ウインドショット」


風の弾丸を数発放つ

見えない弾丸だ


「ちっ、風魔法か!」


短剣で風の弾丸を弾いていく

見えないのに全弾防ぎやがった


「やるじゃないか、予想外だ」


じゃこれはどうだ


「アースバレット!」


硬質化させた石の弾丸をセマカに飛ばす


「見えてるから風より防ぎやすいぜ!」


言葉どおり余裕で弾いていく


だがそれは囮だ


「終わりだ」

「何!?」


セマカはアースバレットに集中していた

その隙に俺はセマカの背後に回り込む


「サンダー」 バリバリ!


「ぐああっ!」


セマカの背に手を当て雷撃を喰らわす

痺れて倒れるセマカ


「そこまで、ケンタの勝ちだ」


ギルマスが俺の勝利を告げる


「く、くそっ、、、」


倒れたまま悔しがるセマカ


「これで俺の登録は問題ないだろ?」


「ああ問題ない、疑って悪かったな

 セマカの攻撃はかすりもしなかったし動きもいい

 魔法も複数属性使えるし大したもんだ」


ギルマスが認めてくれたようだ

あとはアンナだな


俺まで疑うのは良くないとわかっている

でもマネキンの件があるから心配だ


「私の番ですね」

「本当にやるのかお嬢ちゃん」

「私の名前はアンナです、やりますよ」


「仕方がない、魔法でも武器でも自由に使え

 私は攻撃せず力量だけ見よう」


「別に遠慮なさらず攻撃して下さい」


「子供にケガをさせるわけにはいかんからな

 お嬢ちゃんこそ遠慮なく好きなように攻撃していいぞ」


「・・・・・・・」


アンナの笑顔が固まった

もしかして怒ったのか?


少女相手に攻撃しないのはギルマスの優しさなのだろう

でも冒険者になろうとしている相手への侮辱でもある


「ギルマスさん、ケガしても文句言わないでね?」 ニッコリ

「ん? ああ言わんぞ」


受付嬢がギルマスの代わりに開始の合図を出す


「始めて下さい」


瞬間、アンナが消える


「うぬっ、どこへ!?」


そして次の瞬間にはギルマスが宙高く飛んでいた


「へ?」


何が起きたのかわからないギルマス


落下地点にアンナが立っている


ベキャッ!


落ちてくるギルマスの顔に裏拳をかます


「が、はぁっ!」


そのまま訓練場の壁に飛ばされぶつかる


「ごめんなさい、ちょっとキレました♪」 ニッコリ


怖えっ!


アンナこんなに強かったのかよ

マネキンに何で不覚を取ったんだ?

絶対マネキンに勝ててただろう


「ギルマス、大丈夫ですか!?」


受付嬢がギルマスのところへ駆けつける


「う、ぐ、大丈夫、だ」


さすがギルマス、ダメージはデカそうだが意識がある

頑丈なんだな


ギルマスは受付嬢から回復薬を受け取る


「お嬢ちゃん、いやアンナ、なめて悪かった

 見た目で判断するとは私もまだまだだな」


素直に謝罪するギルマス


「わかっていただければいいのですよ」 ニッコリ


「二人とも合格だ、ジョー、登録手続きをしてやれ」

「はい」


受付嬢さんの名前はジョーさんなのか

受付嬢、受付ジョー、、、 さすがFPO(納得)



登録用紙を受け取り俺とアンナは記入していく

ジョーさんに渡して説明を受ける

そしてカードを受け取った


新規だからランクは一番下のGからだろう


「あれ、Eランク?」

「私もです」


「初期ランクは実力に合わせて下の3ランクから設定される

 ケンタとアンナの実力ならもっと上でもいいんだが

 規定で高くてもEランクからとなってしまう、すまんな」


「いえ充分です」「私も」


色々あったがやっと登録完了した

これでこの世界で冒険者活動を始められる



俺のギルドカード


名前 ケンタ・ウロス

年齢 30

性別 男

職業 魔導士

ランク E

称号 なし



アンナのギルドカード


名前 アンナ・イニン

年齢 13

性別 女

職業 精霊術士

ランク E

称号 なし



「精霊術士?」

「精霊の力を行使する者です」

「アンナ自身が精霊じゃん」

「だから自分の力を行使するから同じことです」

「そういうものなのか?」

「そういうものです」


ほぼステータスと同じだな

そうだ、ステータスと言えば、、、


いやステータス以外にも色々おかしな点があった

アンナに聞けばわかるかも知れない


宿屋に戻って夕食まで部屋でくつろぐことにする


「アンナ、いくつか聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

「いいですよ、そのためのガイド精霊なんですから」


「姿が現実の俺でゲームキャラではないよな」

「現実世界に転移するんですから現実の姿なのは当たり前ですよ」


何を当たり前のことを聞いているんだと言う顔をするな!


「でも名前はゲームキャラじゃないか」


「それはこっちの世界での名前ですから

 あっちの世界の名前はあっちの世界のものです

 だから別世界の名前として真名になっているんです」


「まあどっちにしてもケンタだから問題ないけど

 だけど一部のプレイヤーは困るだろうな」


「なぜですか?」


「例えば俺のフレにパンティさんと言う名前の人がいる

 多分中身はメイド好きのおっさんだと思う

 そんなおっさんがパンティと名乗ることになる

 パンティさんはきっと死にたくなるだろう」


「なるほど、だけどそんな名前にした人の自業自得でしょ?」


こいつ、容赦ねーな


「次にレベルのことだけど、1になってたんだが」


「現実なんですからゲームのレベルは関係ないですよ

 現実ではレベル上げしていないのだから1からです」


「でもゲームのときに覚えた魔法やスキルが使えているぞ

 それに所持品と所持金も持って来れている」


「それは神様からの転移ボーナスです

 さすがに何もなしで転移させませんよ」


だったらレベルや能力値もそのままにして欲しかった

あ、そうだ


「この世界、レベルと能力値が無いみたいなんだけど

 サイショノ村でどちらも知らないって言われた」


「はい、この世界の人たちにレベルの概念はありません

 また能力値のことも知らないです」


「たしかに俺も能力値が表示されていない

 でもレベルは表示されているんだが」


「この世界ではどちらも隠しステータスなんです

 なのでこの世界の人たちはどちらも知りません

 お兄さんたちは元プレイヤーなのでレベルは見れます

 でも能力値はこの世界の人たちと同様に見れません」


「レベルは見えて能力値は見えないってなんでだよ」


「神様曰く、『数値に頼るな、考えるな、感じろ!』だそうです」


神、うぜぇ


「だったらレベルも見せなくていいんじゃね?」


「一定レベル毎に神様からボーナスが入ります

 そのために見えるようにしているらしいです」


「え、そうなの? 転移させてほったらかしかと思ってた」

「さすがにそこまで薄情ではないと思いますよ」


そうなるとレベルはモチベーションアップのためなのか


「何が貰えるんだろう?」

「それは私にもわかりません」


ステータスに関してはこんなところか


「次だけど俺がサイショノ村スタートってわかっていたんだよな?」

「はい」


「だったら何でサイショノ村へ来なかったんだ?

 俺はガイド精霊のことを知らなかったからな

 アンナの方から来ればすぐに会えただろ」


「私たちは配置された街や村から出られません

 私の場合だとツギノ村から出られません

 パートナー契約をしないと他の場所へは移動できないの」


酷いな、それじゃマネキンたちからの逃げ場所が限定される


「そうか、すぐに来てやれなくてすまなかったな」

「いえ、知らなかったんだから仕方がないですよ」


「そういやあれだけ強いのになんでマネキンに倒されていたんだ?

 俺でも簡単に倒せた相手だぞ」


「あれは最後の一体だったんです」

「最後の一体?」


「50体ほど襲って来まして各個撃破していました

 ですがさすがに魔力と体力も尽きまして不覚を取りました」


いくらマネキンが大したことなくても一度に50体はたしかにキツイな


「アンナパイセン、強いっすね」

「バカにしてます?」

「いやマジで強いんだなって感想だよ」

「ふーん」 ジト目


戦ったら俺が負けるかも知れない

怒らせないようにしよう

ステータス関連回収です

そしてアンナパイセンは強いのです

まあこういうのも定番だからバレバレだったでしょう


次回、おっさんが少女にダメ出しされます

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