167 恋のチャンスは逃さない
なんだかトテトテと足音が聞こえる、うるさいなあ
「んん? なんかうるさあい・・・」
目をこすりながら身体を起こす
ドタドタ パタン
誰かが部屋から出た音がした
アンナちゃんかな?
わたしとアンナちゃんは同室だからそう思った
部屋を見渡すと服と下着が散らばっている
ちょっと蒸し暑かったから脱いじゃったみたい
ベッドから下りて下着をつけて服を着る
「うーん?」
部屋をもう一度よく見ると違う部屋だと気づいた
わたしとアンナちゃんの荷物はなくケンタくんの荷物があった
ここケンタくんの部屋だわ
なんでわたしこの部屋で寝てたんだろ
んーと、思い出せるだけ記憶を辿る
昨夜はケンタくんの奢りでみんなで大宴会
わたしとケンタくんはヨッパでアンナちゃんに怒られたわね
宿屋に着くまで説教され続けてそれぞれの部屋に別れたっけ
ベッドにダイブしてそのまま寝てしまった
でも少ししてお手洗いに起きて・・・
ああそうか、部屋を間違えてケンタくんの部屋に入ったんだわ
たしか入ったらケンタくんが宴会でくすねてきた高いお酒を飲んでいたわ
「だってネミロフさんが美味しそうに飲んでいたから」
「ずるい、わたしにも飲ませてよ!」
「ようし、飲もうぜ!」
「わーい♪」
そして二人で二次会やったのよね
盛り上がって暑くなったからケンタくんが上半身裸になった
「きゃあエッチ♪」
「上だけじゃん!」
「じゃあわたしも脱いじゃお♪」
「わーいラッキー♪」
「あはははははは♪」
あははじゃないわよわたしっ!
酔いも覚めた今思い出すと恥ずかしくなってきた
それにもっととんでもないことを思い出した
「飲んだ飲んだ♪」
「あーもー眠気がきたー」
「俺も~」
「じゃ寝ましょっか」
「寝よう、暑いからこれも邪魔だ!」 ポイッ
「わたしも~」 ポイッ
「サクラたんおやすみー」
「ケンたんおやすみー♪」
お互い下着を脱ぎ捨ててベッドに入りそのまま爆睡
ぎゃぁぁぁっ! なにしてんのよわたしぃっ!
全部思い出して顔が絶紅潮になった
恥ずかしい、恥ずかしすぎるっ!
サクラたんとかケンたんとかバッカじゃないの!?
いやそこよりも下着を脱ぎ捨てるなわたしっ!
ケンタくんもよっ!
見ちゃったじゃない・・・ ドキドキ
わたしも見られただろうけど覚えているのかな?
記憶が飛んでいてくれると助かるけど・・・ ※正解
待って、さっき出て行ったのってケンタくんじゃ
ということは先に起きていたってこと
ということは記憶が飛んでいても起きたときに見たかも
「見た?」 とか言っていつものようにからかう?
無理! 本当に見ているかも知れない状況では無理!
見ていないことが前提でならからかえる
でも見ている可能性がある場合はからかえない
そんなのわたしの方が恥ずかしい!
「うう、どんな顔して会えばいいのやら・・・」
それよりさっさとこの部屋から出よう
アンナちゃんとかに見つかったらまたお説教されちゃう!
わたしは慌てて部屋を出ようとする
ゴトン! 「あいたっ!」
慌てていたため椅子の脚に左足の小指をぶつける、痛すぎる
すると扉が開いてアンナちゃんが中を覗き込む
ヤバいわ、なんとか誤魔化さないと!
「あら、おはようアンナちゃん♪」
「・・・おはようございます、サクラさん」
やましいことはないわよという感じで普段どおりの笑顔で挨拶をする
アンナちゃんが一瞬思考停止したように見えたけど
「ちょっと椅子に足の小指が当たっちゃった、いたた」
「そうなんですね」
アンナちゃんの目が静かに色を失っていく感じがした
気のせいよね?
「サクラさんの朝食もありますから食べて下さいね」
「ありがとうアンナちゃん♪」
気のせいではなく死んだ魚のような目をして無表情で話していた
恐い! でも頑張って笑顔でありがとうと言ったわたしエラい
アンナちゃんはそのままパタンと扉を閉めて出て行った
お説教もイヤだけど無言なのもイヤだわ・・・
少し気持ちを落ち着かせてから部屋を出ます
扉を開けるとケンタくんがいた
平静を装い挨拶をする
「あ、ケンタくんおはよう」
ケンタくんの顔が少し強張っていた
これは裸を見たのか見ていないのかどっちだろう?
それとも同衾したことに動揺しているだけなんだろうか
「えっと、サクラさん」
「なあに?」
少し緊張しながら聞いてくるケンタくん
わたしも緊張してるんだからね!
「そこ、俺の部屋なんだけど」
「・・・そうね」
探るように聞いてくる
ケンタくんは全部覚えているのかな?
見た感じではわからない
「その、なんでいたの?」
「・・・・・」
どうやら覚えていないっぽい
少しホッとした
軽く上を向き考える
正直に全部話す?
でもあんなの黒歴史だよ
うん、話すのやめよう
「えへ、秘密♪」
全裸になった経緯とか思い出してしまうので照れてしまう
誤魔化すように照れ笑いながら言う
でも覚えていないみたいだから良かった♪
わたしは鼻歌交じりに食堂へ行きました
ケンタくんは立ち尽くしていたけど知~らない♪
用意されていた朝食を堪能する
少し安心したので食も進む
ケンタくんが少し遅れて食べ始める
困惑した顔をしながら食べている
ごめんね、黒歴史だから言えないの
時折目が合った
「えへっ♡」
わたしは可愛らしく照れ笑いで誤魔化す
ケンタくんには悪いけどこれは利用させてもらうわ
多分ケンタくんの性格上、わたしのことを意識するはず
わたしもアオイちゃんたちのようにケンタくんのこと好きだもの
だけどケンタくんは仲間に対しては一切異性として意識しないのよね
それでも全裸で同衾なんてさすがに意識するでしょ
既成事実のあるなしがわからなくてもね
異性として意識してくれなければ始まらない
すでにわたしのことを意識してくれているはず
だからこれはチャンスなの!
これからいっぱいアプローチするから覚悟してねケンタくん♡
2025年最後の投稿です
今年もお読みいただきありがとうございました
来年も引き続きお読みいただけるよう楽しみながら頑張ります
ラブコメ(?)で今年が終わってしまった(冒険はどうした)
それでは皆様良いお年を♪




