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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
4 俺たちの戦いはこれからだ

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161/179

161 形見

ベルさんからユザワヤ糾弾の報告を聞いた翌日

ようやく終わったなあと気持ちがゆるむ


だけど一つだけ忘れていたことを思い出した


「ベッキー、トム、ハック、渡したいものがある」


三人を居間に集めて収納庫から一本の剣を取り出す


「これ、シッドさんの剣で間違いないか?」


サジンがシッドさんの剣だと言っていた

もちろん俺に消させないための嘘かも知れない

ベッキーたちなら本物かどうかわかるはず


「お父さんの・・・」


三人は鞘や(つば)を確認する


「父ちゃんのだ」

「うん、間違いないよ」

「お父さんのです」


本物だったか、消さなくて良かった

でも剣なんて子供たちが見てわかるのだろうか?


「シッドさんの剣ってどこで判断したんだ?」

「鞘の傷だよ」

「僕たちが付けたんだ」

「いたずらするなってお父さんに叱られたわよね二人とも」


鞘に傷がたくさんあるなと思っていたが

トムとハックがやんちゃした跡だったのか


「姉ちゃんだってツバをこっそり削ってたじゃないか」

「そうだよ、でも叱られなかったのはずるいよ!」

「だってあれは、、、」


(つば)は気づかなかったな

ちょっと確認してみる


「なんか模様っぽい?」


メビウスの輪、無限大のマークが(つば)の外周に点々と彫られていた


「おまじないです」

「おまじない?」


「冒険者は危険な仕事だから無事に帰って来ますようにって

 身を守るおまじないなんです」


「こんなおまじないがあったんだな」

「教会の図書室で調べたの」

「そうか」


シッドさんが無事に帰って来ることを願って彫ったんだろう

だけどその願いは叶わなかった


「この剣、どうする?」


叶わなかったおまじないの付いた剣

持っていても思い出して辛くなるかも知れない

見せなければよかったのかも


「おじさん、たしかに辛いけど大丈夫だよ」

「ベッキー」


思っていることが顔に出ていたので気を使わせてしまった


「願いは叶わなかったけど大切な形見だもの」

「父ちゃんの形見、取り返してくれてありがとうおじさん」

「僕たちは嬉しいよ」

「お前ら・・・」


「家と一緒に想い出の品は全部燃えちゃった

 だけどこうして一つだけでも戻って来た

 だから嬉しい、ありがとうおじさん」


三人は剣を愛おしそうに握りしめる

剣という形だけどシッドさんが無事に帰って来たのかも知れない

この剣にはシッドさんの魂と家族の想い出が宿っているんだ


「収納袋にしまっておけよ」

「はい」


「僕のに入れるよ」

「そうね、トムが持っていて」


トムが成人の15歳になったらあげる約束をしていたらしい


「15歳になるまで使ったらダメよ」

「わかってるよ」


この日の夜、三人は剣を枕元に置いて眠ったようだ




翌日、俺たちは冒険者ギルドにやって来た


「領主様からの依頼の達成報告、たしかに受理しました」


マニーの一件は領主様からの依頼ということにしてくれた

おかげで俺たちは襲撃犯にならなくて済んだ


「改めて私からもお礼を言わせていただきます、ありがとう」


キットさんから礼を言われる


「俺たちが勝手に動いただけなのにすみません」

「そうなのですが我々ギルド側の落ち度でもありますから」


ユザワヤは王都のサブマスだったからな


「それからBランク昇格の手続きはもうそろそろ完了するはず

 受付に戻ってベルさんからギルドカードを受け取って下さい」


「わかりました、ありがとうございます」


俺たちは応接室から出て受付へ向かう


「お待たせしました、ギルドカードをお返しします」

「ありがとうベルさん」


ベンケイさん以外、全員Bランクになった

ベンケイさんはAランクなので今回は更新なし


「これでパーティーもBランクパーティーになりましたね

 あとパーティーランキングが5位に上がりました♪」


10位から一気に5位に上がったようだ


「5位? そういやあいつら5位だったよな」


風の戦士団が5位だった


「はい、その風の戦士団の悪事を暴いて捕まえたのです

 その功績と領主様依頼の達成などにより入れ替わりで5位になりました」


もちろん風の戦士団は冒険者資格はなくなったからランキングに載らない


「なんかまた目立ちそうだな」

「めんどくさいよな」


俺とベンケイさんはやれやれとポーズをとる


「このまま1位を狙ってみませんか?」

「やだよ、めんどくさい」

「もう、ケンタさんってばしょうがない人ですね」


ベルさんが苦笑する


「それじゃまたねベルさん」

「はい、お待ちしております♪」


冒険者ギルドから出て屋敷へ戻る

これでやることは一通り終わった


「さあゴロゴロするぞ!」

「引きこもるわよ♪」


俺とサクラさんはゆっくり休むことを決意する


「私は討伐にでも行くかな」

「わたしも行きます」


ベンケイさんとアオイくんは討伐が趣味だからな


「私はお兄さんたちの怠惰を叩き直すとしますか」


「「やめてっ!」」


アンナ、勘弁してくれ

ここんところ忙しかったからマジでゆっくり休みたいんだよ!


あ、ベッキーがわたしも手伝いますとアンナに同意した

俺とサクラさんに安寧の日々は来るのだろうか

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