16 冒険者登録
冒険者として活動するために必要なアイテム
それがギルドカード
ゲームで持っていたがこっちで破棄されてしまった
なので新たに登録して作らないといけない
ゲームでの登録の流れ
冒険者ギルドの受付に行き登録申請する
自動でプレイヤーデータを確認して登録完了
さすがゲーム、1分も掛からない
しかしここは現実世界
受付で申請して登録用紙に必要事項を記入
受理されるまで待機
この間にギルドや冒険者のルールを説明される
そのあと出来上がったギルドカードを渡される
ようやく冒険者登録の完了である
現実の手続きと言うのは面倒くさいものである
身分証になるので転々とする冒険者には必須なのだ
街などに出入りするときに提示したりする
また素材などを売買するのにも必要となる
そして今、俺とアンナは冒険者ギルドの扉を開ける
中にいた冒険者たちがこちらを見る
俺たちに限らず誰かが入って来たら見てしまうのだ
待ってたパーティーメンバーが来たのか
自分たちと組めそうな冒険者なのか
おいしい依頼を持ってきた依頼者なのかなど
とりあえず確認するのだ
(何だ? 子連れの冒険者?)
(子供をギルドに連れてくるなよ)
(ガキとおっさんかよ、ちっ)
俺の子じゃねえよ、舌打ちすんなよ
「いらっしゃいませ」
受付嬢がスマイルで迎えてくれる
「あら、可愛いお子さんですね♪」
「「違います」」
「え?」
俺とアンナの否定を受けて一瞬戸惑う受付嬢
そして何を思ったのか俺を疑いの目で見る
「言っておくけど勘違いしないでくれよ?」
「勘違い、ですか?」
「人攫いとかじゃないからな」
「それじゃ、ま、まさか、ドレ「違うからな!」」
奴隷でもねーよ!
「お姉さん、私は攫われたわけでも奴隷でもありませんよ」
「・・・・・本当に? 脅されてそう言っているのではないの?」
酷い、俺そんなに悪人に見えるのか? 泣くよ?
「お兄さんは私を助けてくれた良い人ですよ」
「そうなの?」
「はい、なので疑わないであげて下さい」
「わかったわ、ごめんなさい」
受付嬢が謝ってくれた
おっさんより少女の言葉を信じるのは当たり前だよな
でもおっさんだって傷付くよ
「では改めて、ご用件は何でしょう」
「冒険者登録に来た」
「え?」
何だその反応は
「登録しに来たんだけど何か問題でも?」
「すみません、新規の方とは思わなくって
すでに冒険者の方だと思っていました
今日は何か依頼を受けに来たものだと」
ああ、おっさんだから新規とは思わなかったってことか
たしかに登録は若いうちにするからな
「俺が登録するのはダメなのか? 年齢制限でもあるのか?」
「いえ、そのような制限はありません
ですが今から冒険者になるのは厳しいのでは?」
「心配しなくても問題ない」
「そ、そうですか、まあ本人の自由ですし」
「お姉さん」
「何かしら?」
アンナが受付嬢に声を掛ける
「私も登録に来ました」
「え?」
アンナにもその反応なのか?
「えっと、規定で13歳以上でないと登録できないのよ」
「私、13歳ですよ」
「本当に?」
アンナはギリギリ13歳にも見えるが12歳が妥当だ
「規定年齢だから私は登録できますよねお姉さん」
「嘘は言っていないわよね?」
「なら鑑定とかで調べてもらってもいいですよ」
「疑ってばかりで悪いけどそうさせてもらうわね」
水晶板を持ってくる受付嬢
アンナはそれに手を置く
(ステータス操作、年齢設定13歳、、、 書き換え完了)
「年齢・13歳、本当だったわ」
「わかっていただけましたか?」
「疑ってごめんなさい、でも冒険者は危険が伴うのよ
言い方は悪いけどあなたには厳しいと思うわ」
受付嬢の心配や言いたいことはわかる
アンナの見た目では戦闘に不向きに見えるからな
実際、マネキンにボロボロにされていたし
「あのさ、俺もアンナも冒険者になりに来たんだ
心配とか疑心とかあるだろうけどほっといてくれ
早く登録手続きを始めてくれないかな」
「そう申されましても、、、」
「お姉さん、早く手続きを始めて下さい」
ゲームと違ってこういうところが現実は面倒だ
「おい、おっさん」
20代前半ぐらいの冒険者が声を掛けてくる
「何だ?」
「いい年して今更冒険者になろうって馬鹿じゃないのか?」
「いつなろうが俺の自由だろ、それにまだ30歳だ」
「30からなるって死に場所でも探してんのかよ」
ギルドで絡んでくるの定番だねえ
ゲームではこんなの無かったからある意味新鮮だ
「受付さん、さっさと登録用紙くれよ」
「おいコラ、無視すんなよおっさん!」
俺がおっさんなのは認めているよ
だけどお前のようなイキってる奴に言われるのはムカつく
「煩いなあ、邪魔だからあっち行けよ」 シッ、シッ
「はあ? やんのかコラ!」
「ちょっと、ギルド内でケンカはやめて下さい」
ギルド内で暴れるのはご法度だ
でも手を出してきたら制圧しちゃうよ?
「お前ら落ち着け、何の騒ぎだ」
「あ、ギルマス、じつは・・・・・」
筋骨隆々なギルマスの登場だ
受付嬢が状況を説明する
「ふむ、あんたとその子が新規登録か」
「別に規定違反じゃないだろ」
「ああ問題はないな」
「だったら手続きしてくれよ」
「あんたは30歳、その子は見えないが13歳
周りが心配してしまうのはわかるだろう?」
「わかるが俺たちの意思を無視するのもダメだろ?」
「そうだな」
ギルマスは少し考えて
「ではこうしよう、試験を受けて合格したら手続きをしよう」
「ギルドってのは年齢や見た目で差別をするのかよ」
「登録させてすぐに死なれたら責任問題だからな」
「そうかよ、じゃ実力を示せってことか」
「そういうことだ、お嬢ちゃんもそれでいいな?」
「いいですよ」
ギルドの裏手に訓練場がある
そこで試験をすることになった
「どんな試験をするんだ?」
「模擬戦をやってもらうだけだ」
「相手は?」
「俺だよおっさん」
さっき絡んできた野郎だ
「私は?」
「お嬢ちゃんの相手は私だ」
ギルマスが相手かよ
というかアンナは戦えるのか?
いや俺までこいつらのように疑ったらダメだな
でもマネキンの件があるし、どうなんだろう?
「さっさとやるぜおっさん!」
「おっさん言うな! 俺の名前はケンタだ」
「俺はセマカ、Eランクだ」
名乗り返してくれるとは思わなかった
冒険者ランクは上からS、A、B、C、D、E、F、Gの8段階
Eランクならまだこれからってとこだな
「武器、魔法、どちらも使用可能だが過剰攻撃は禁止だ
模擬戦だから殺すのはもちろん禁止だ
状況によっては私が止めに入るからな」
この世界のEランク冒険者の実力を見せてもらおうか
「では、始めっ!」
現実の手続きは本当に面倒です、お役所とか特に
ギルドで絡まれるのはファンタジー作品の仕様ですね
次回は模擬戦、ケンタ対セマカ、アンナ対ギルマス
そしてようやくステータス関連の疑問が解けます
アンナパイセン!




